法林岳之・石川温・石野純也・佐藤文彦のスマホ会議(仮)

大手キャリアの決算から見える通信事業の難しさとは?

 通信業界を中心に活躍するライター4人による「スマホ会議(仮)」。今回は各通信事業者の決算会見の内容や、MVNOの新料金プランについて会議していきます。

KDDIは社長の交代を発表

佐藤
 各通信キャリアの決算会見が行われました。KDDIは2025年4月1日付けで、現在CDO 先端技術統括本部長の松田浩路氏が社長になることを発表しています。

佐藤

石川氏
 実は前回のスマホ会議(仮)でも、KDDIの社長がそろそろ交代するかもねという話はしていました。先に出しておけばよかった(笑)

 人事については、予想通りと言えば予想通り。最近、松田さんのメディア露出も増えていたし、海外取材で高橋さん(KDDI 現CEO 高橋誠氏)にお会いすると、いつも隣には松田さんがいた。松田さんは、もともとパートナー企業との交渉を担当していたのもあって、AI時代のパートナーと、どう付き合っていくのかと考えると、適任かなと思います。

 小野寺さん(KDDI 元相談役 小野寺正氏)の時代に今のKDDIができて、田中さん(KDDI 現取締役会長 田中孝司氏)時代にスマホ、高橋さんは5Gという中で、AI時代は松田さんだろうと。

石川氏

石野氏
 松田さんがiPhoneをKDDIに持ってくる交渉をしていたとか、意外と知らなかった事実が明らかになりましたね。

石野氏

法林氏
 LTEのバンドの入れ替えを行ったころのエンジニアだよね。3Gのころは、グローバルと日本で、周波数帯の上りと下りが逆に使われていて、そのままiPhoneを持って来られなかった。

法林氏

石川氏
 田中さんが社長のころですね。そこで、日本国内での周波数の使われ方を逆にするという大工事を行った。

法林氏
 3Gの時に、グローバルとも周波数帯をそろえようという動きがあったけど、それ以前は、それぞれの国の事情ごとにやっていたんだよね。その煽りを一番受けたのが、KDDIだった。そのころに、松田さんが現場にいたんじゃないかな。

石野氏
 LTEも、当時は2GHz帯しか使えなくて、大変でしたね。

法林氏
 そうだったね。ただ、KDDIはキャリアアグリケーション(複数のLTE搬送波を同時に用いて通信を行う技術)を早くに導入したし、今回、松田さんが次期社長に選ばれたように、ちゃんと技術を理解している人材が揃っているのがKDDIの強みなのかな。

石野氏
 仮に通信障害が起きたとしても、高橋さんの時みたいに、応対には安心感がありますよね。

法林氏
 起きてほしくはないけど、万が一があっても、松田さんなら応対できるだろうね。

関口
 松田さんがエンジニア出身だとは、存じ上げませんでした。

法林氏
 最初は衛星担当だったんだっけ? KDD(国際電信電話)衛星。山口県にあるパラボラアンテナ群を見て育った。しかも、山口県出身なんだよね。

石野氏
 しかもそこは今、スターリンクの地上局として使われていたりします。

法林氏
 お会計が上手な経営者もいるけど、お会計というか、経営は仕事をしていきながら、ある程度、勉強できる。一方で、技術は下地があってこそ。業界によって違うけど、技術者出身の人がトップに立ったほうがいいのかなと感じています。

石川氏
 高橋さんも、もともと技術の人ですからね。

 松田さんがKDDIの社長になると、4キャリアの社長の中で、ソフトバンクの宮川さん(ソフトバンク 代表取締役社長執行役員 宮川潤一氏)が最年長になるんですね。

法林氏
 そうだね。面白いのは、宮川さんもアナログ回線にADSL(通常の電話が利用しない周波数帯を利用して高速なデータ通信を可能にするサービス)の信号を流すときに、日本仕様のAnnex Cと、アメリカ仕様のAnnex Aのどちらを流すかという議論になり、Annex Aで問題ないと言った人。業界内ではISDN(統合デジタル通信網)に影響があるとさんざん言われたけど、結果問題は起こらなかった。技術の下地がある人です。

 通信キャリア4社の社長人事で言うと、結構、様相が異なる。4社目(楽天モバイル)はどこまで技術の下地があるのか。

石野氏
 代表取締役 共同CEOの鈴木さん(鈴木和洋氏)は、シスコ出身ですね。

石川氏
 代表取締役社長の矢澤さん(矢澤俊介氏)は営業上がりだね。

石野氏
 でも、技術上がりのシャラッドさん(代表取締役 共同CEO兼CTO シャラッド・スリオアストーア氏)は技術畑の人ですね。

法林氏
 このスマホ会議(仮)を読んで、通信キャリアの社長を志す人がもしいたら、理系から進んだほうがいいかもね(笑)

石野氏
 まあ、ソニーの十時さん(ソニーグループ社長 十時裕樹氏)のようなパターンもありますからね。財務畑っていう。

石川氏
 ソニーは、儲けの柱が技術ではないので、そうなるのも納得。クリエイターファーストの会社になっていますからね。

石野氏
 それでいうと、アップルのティム・クックCEOも、オペレーションの人です。

石川氏
 通信業界としては、いかに持っているネットワークをAIに対応していくかという競争なので、技術の下地があるアドバンテージは効いてくる。データセンターを持っているとか、全国に基地局を持っているとか。ここの勝負は、非常に面白くなっていくと思います。

物価高に合わせた料金プランの改定が必要か

佐藤
 ソフトバンクの決算会見では、宮川さんから、タイミングを見ての値上げを示唆する発言もありましたね。

石川氏
 電気代が上がって大変だという話をしていて、AIデータセンターを回そうと思うと、従来のデータセンターの10倍、100倍と電力が必要。なぜ通信業界だけ値下げを求められるのかというジレンマが見えました。

石野氏
 KDDIの高橋さんも、プレゼン資料の最後に、「適正な対価」という形で示していて、2社が値上げしたいというアピールをしていました。宮川さんは直接値上げと言っていたし、高橋さんは値上げという単語は発していませんが、値上げしたいという解釈ができるコメントを残しています。松田さんにバトンを渡すにあたって、道筋をつけようとしたのかなとも思います。

 確かに、基地局を動かすのにも電気が必要なので、電気代が上がれば、当然オペレーションコストも上がる。楽天モバイルは、基地局をスリープさせることで、節約が可能と話していますが、スリープした後の消費電力から、さらに電気代が値上げされてしまうと、その分だけコストは上がります。

 これだけインフレ率が高くなって、電気代が上がっていると、どこかで値上げせざるを得ないかなとも思いつつも、直接値上げをすると、ユーザー離れにもつながるので、難しいなと。

 一方ドコモは、値下げしてでもユーザーを獲得したいという状態。シェア率35%の維持は絶対という指示が、持ち株から出ている。

石川氏
 ドコモはちょっとひどいよね。決算を見ても、モバイル通信の数字が全然回復していない。irumoの導入が遅れて、まだ足を引っ張っているのはわかるけど、その状況でahamoを30GBにするのはどうなのか。他社がつぶれるのを待っているようにも見えてしまう。

石野氏
 最大手がそんなことをやっていいのかっていう話ですよ。

石川氏
 若干過剰な競争になっているよね。ただ、本来は一番値上げをしたいはずの楽天モバイルは、「他社はまだ値下げできる」と言っている。

法林氏
 楽天モバイルは、最初にあの金額にしてしまった苦しさがある。本来は、段階的に下げていくことで、他社を刺激していく流れが選べたけど、最初にドンピシャの金額で出してしまったし、安さを売りにしたプロモーションをしているので、しんどい部分もあるはず。物価が上がっていく中で、どうするのかな。

石野氏
 そこで、「エコシステムARPUアップリフト(楽天市場や楽天トラベルといった他のサービスの収益の一部を、楽天モバイルにつける仕組み)」ですよ。

関口
 あげるとしたら、今のところそれしかないですよね。

石野氏
 ただ、エコシステムARPUアップリフトって、モバイル以外の楽天グループ内の人たちは、納得しているのかな。売上持っていかれているけど……。

 しかも、第4四半期から、エコシステムARPUアップリフトを急に加えて、ARPUが3000円を超えました、目標達成ですって発表しています。すごいやり方だなと。

石川氏
 EBITDA(企業価値評価の指標)で単月黒字化をすると言ってしまったので、無理くりまとめ上げた感じだよね。

石野氏
 まあ、これはソフトバンクも一時期やっていた。苦しいときはみんな、それくらいはします。

石川氏
 ソフトバンクは、端末を割賦にして、その割賦の債権を売り飛ばした。基地局でも似たようなことをしたけど、楽天モバイルはそれができなかったので、楽天モバイル流のやり方で動いたという感じですね。

法林氏
 事業の構造論として、携帯電話事業は、回線の契約をとれば、継続的にお金が入ってくる。それでも楽天モバイルは、もう少し慎重に料金を考えないといけなかったのかなと思う。

石野氏
 会見の質疑応答で、関口さんが「値上げはしないけど、容量の変更はあるのか」としつこく突っ込んでいて、検討はしていると回答していましたよね。確かに、容量をいじれば、ARPUをあげられる。月々3GBまでのデータ利用で、安くなる仕組みを撤廃して、2段階制にしたりとか。奥の手はまだ残されている感じですよね。

関口
 20GB以降は無制限というくくりを、30GBにあげて、他社とそろえることで、あげにくくするとか。

石野氏
 僕は逆にとらえていて、あげにくくするのではなく、例えば3GB以下の段階をやめる。それこそ、すべて無制限でフラットにして、一律3278円/月にしちゃうとか。楽天モバイルの売りは無制限だから、3GBとか関係ないとか言いかねない。もしくは、真ん中の3GB~20GBという部分をなくしてしまうか。

法林氏
 楽天モバイルがやっているキャンペーンを見ていると、ユーザーにはもう少しデータ通信を使ってほしいけど、無制限で数十GBを使う人を増やしたいわけではないというのが本音だよね。

石川氏
 ほどほどの人がほしい。

法林氏
 そう。1078円の人ばかりでは、事業が成り立たないので、3GBを超えた人はポイントバックが多くて、3GB未満の人は少ないという時代が来るかもしれない。

関口
 楽天モバイル的には、1078円の人ばかりだと困るけど、ということですね。

法林氏
 もう一段、上がありがたいはず。

佐藤
 月々3GB~20GBのユーザーですね。

法林氏
 そうそう。そこが増えてほしい。

石野氏
 ARPU的にみると、そこまでは行っていない状況ですね。

法林氏
 以前、石川くんが「月額3278円でどうやってARPUをあげるのか」と質問していたけど、まさにそれ。かけ放題に加入してもらうとか、いろいろネタを仕込んではいるけど、組み立て方がうまくないなと思う。

石川氏
 楽天モバイルでAIをやるのも、ARPUをあげたいだけですよね。

石野氏
 意外と、Rakuten Linkにもちゃんと広告が入っていますよね。

石川氏
 Rakuten Linkの広告って、結局は楽天で売りたいお店が出している。楽天市場に出店している人に支えられている。

法林氏
 トータルで見ると、最初に楽天が免許を取ったときに、グループ内に通信以外のサービスを持っていると話していたけど、グループ内の他サービスの人たちが楽天モバイルをうまく活用できていなかった。

 いよいよ尻に火がついてきたけど、それでも足りない。モバイルの会見に楽天カードの広報さんが来るようになったけど、そういうところだよね。もう少し、グループ内でうまく回らないと厳しい。

 着実にお金が得られるようになっているけど、かかるコストも増えていくので、しんどいはず。

石川氏
 とりあえず2025年は、社債の償還は大丈夫と言っているけど、来年までにユーザーから稼げる土台を作らないと。1000万回線契約もそうでしょうし。

法林氏
 KDDIのネットワークローミングも来年までだよね。

石川氏
 そうですね。なのに、年間で1500億円くらいしか設備投資をしない。

ahamoのeSIMは開通に最長1週間……複雑なオペレーションはいつ改善されるのか

石野氏
 そういえば、金曜日に申し込んだirumoの回線が、3日経った今でもまだ開通しないんですよね。

石川氏
 僕も、金曜日の早朝にMNPでahamoの申し込みをしたら、土日は一切音沙汰なし。仕方なく、月曜日の早朝に新規で申し込みをしたら、半日後くらいに通りました。

石野氏
 え、新規のほうが早いんですか。

石川氏
 MNPは、夜間は止まっちゃうからね。

石野氏
 僕はOCNの回線をirumoに変える契約をしたんですけど、まだ発行されません。

石川氏
 週末、春商戦で盛り上がっているのかもしれないけど、ちょっと時間かかりすぎだよね。僕は楽天モバイルからahamoにMNPをしたけど、楽天側が遅いのか、ahamo側が遅いのか。

 ahamoのサイトを確認したら、eSIM発行でも、最長1週間かかるって記載されているんですよね。そのeSIMはなんだって話ですよ。

石野氏
 僕の場合は、OCNからirumoなので、同じ会社ですよ。システムが違うのはわかるけど、そもそもなんでMNPなのか。

法林氏
 ドコモがeSIMを開始したころから、最長1週間になっているよね。いつまでそのままなのか。

石野氏
 しかも申し込みページには、最短1時間って書いてあるんですよ。

石川氏
 こういうのを見ると、ドコモは大丈夫なのかなって心配になります。ネットワーク品質もそうですけど。

法林氏
 最近のドコモのオペレーションは、本当におかしいと思う。ahamoスタート時の、別ブランドとしての展開を止められたあたりから、ボタンの掛け違いが続いている。ahamoが、独立した別ブランドとしてスタートできていたら、独自の顧客管理システムを作って、eSIMの発行や独自の展開もスムーズにできたはずだけど、ドコモの料金プランのひとつにしてしまったことで、My docomoから見られるようにしなきゃとか、いろいろ苦しいところがある。

石川氏
 ahamoなのに、My docomoを見に行くって、おかしいですよね。

石野氏
 一応、ahamoサイトからも見れますが、深い部分を見ようとすると、My docomoに行かないといけませんね。

法林氏
 ワイモバイルも最初は独立してたけど、結局、My Softbankでやり取りをするようになったので、判断が難しいところだけど、ドコモの裏側のオペレーションはだめだよね。

石野氏
 eSIMで1週間はしびれますよね。

石川氏
 SIMカードだったら最短3日。eSIMに1週間は意味がわからない。

佐藤
 なんのためのeSIMなのか、わからなくなりますね。

法林氏
 eSIM契約で、MNPだとワンストップで快適という時代になってほしいけど、現状を見ると、到底そうはならなさそうだよね。

 しかも、irumoが始まったときに、OCNモバイルONEからの移行を用意していなくて、MVNOの草刈り場になった。今になって、OCNからirumoに移るとポイントがもらえるとか言っている。

石野氏
 それでいて、いざOCNからirumoに乗り換えると、すごく待たされる。

法林氏
 結局、OCNとNTTドコモは別の会社という扱いだからこうなる。

石野氏
 しかも、OCNからirumoへの移行でポイントをもらおうとすると、新しいdアカウントを作らないといけないし、新しいdアカウントにポイントが付く。メインのdアカウントに、新しいdアカウントからポイントを送らないといけない。

 これなら、LINEMOに申し込んで、PayPayのクーポンコードをもらったほうが、よっぽど楽ですよ。

法林氏
 ちょうど春商戦だけど、ポイント進呈をつけているのに、やり方がうまくない。楽天モバイルで言えば、若い人向けのキャンペーンをやっているけど、楽天カードに申し込めるのは、何歳なのかという話。

 PayPayも子ども側にPayPayポイントがついてしまうので、保護者がそのポイントを回収しようとするけど、ポイントのやり取りはできない。意外なことに、Pontaポイントは、家族間でやり取りができるんだよね。

MNOとMVNOのすみわけはどのように行うべきか

石野氏
 料金関係だと、MVNOも新料金を発表していますね。mineoは50GBで月々2948円、IIJは20GBから50GBのプランをそれぞれ5GB増量して、5GB、10G、35GBプランは値下げしました。

 それでも、ahamoとの差はあまりない。MVNO各社からしても、通信キャリアの料金は値上げしてほしいはずです。キャリアとMVNOの差がつかなくなってしまっているのも、本来の形としてはあまりよくない。

 ahamoのショップを使わず、宣伝もせずに料金を下げたというのは、大手キャリアがMVNOをやっているようなものです。

石川氏
 しかも、ahamoは店頭でも普通に宣伝しています。ショッピングセンターとかでも、ahamo受付中という案内を見ます。

法林氏
 どこがオンライン専用なんだっていうね。

石野氏
 オンラインで申し込ませるだけ。

石川氏
 オンライン専用プランって原稿に書くのが、なんだか悲しくなる。料金プランで言うと、MNOもMVNOも、ここに来てまたわかりにくさが増している。MNOは経済圏と絡めてわかりにくくなったし、MVNOはメニューを増やしたことで分かりにくくなった。

石野氏
 IIJは、35GBにして、ahamoよりちょっと多く、ちょっと安いという値付けになりましたが、若干思い切りが足りない。冷静に選べば、こっちのほうが安くて容量も多いことがわかりますが、ahamoユーザーは、それだけでahamoを選んでいるわけではない。

法林氏
 ahamoの評価って、キャリアとユーザーで評価に違いがあるのかもしれない。我々からすると、海外ローミングが料金プラン内に含まれていることが相当大きいけど、他社は単にUQmobile、ワイモバイル対抗としか見ていないので、そこはあまり評価されていない。海外ローミングは出張族とかにとってみれば、圧倒的に便利なんだけどね。

石川氏
 それでも、結局、みんなWi-Fiルーターを借りていますよね。我々にはローミングが響きますけど、一般的には違うのかもしれません。

石野氏
 複数の端末を持っていこうとすると、Wi-Fiでまかなえてしまいますからね。

関口
 家族分がまかなえますからね。

石野氏
 家族分をまかなおうとすると、離れられなくなるという欠点はありますけどね。

石川氏
 MNOしかり、MVNOしかり、菅政権時代の、官制値下げのひずみが出始めている。一斉値下げはできっこないし、どこかが率先して値上げするわけにもいかないし。

石野氏
 値上げはやりにくいですよね。ユーザーが離れてしまうリスクがあります。

法林氏
 携帯電話料金は、歴史的に下がる方向しかやっていないからね。

石野氏
 値上げは、通信方式が変わるタイミングで、新プランしかないといった仕組みにしていたりしましたが、5Gのときはそれができなかったんですよね。当初は追加料金で1000円くらい取ろうとしていましたが、値下げ圧のタイミングで叶わなかった。次のタイミングは、5G SAしかない。

石川氏
 5G SAで値上げは厳しい。ドコモは550円で設定している(現在は無料キャンペーン実施中)けど、ユーザーは5G SAにしたほうが快適だったりもするし、キャリアとしても、5G SAにできるだけ繋げたい。

法林氏
 そのほうが、トラフィックを分散できるからね。

石野氏
 ただ、通信品質が厳しいドコモの現状を考えると、追加で550円払ってしまいそう(笑)

法林氏
 それは逆にハードルが上がらない?

石川氏
 快適になればいいけどね。

石野氏
 でも、やっぱり5G SAは速いですよ。

石川氏
 5G SAで、さらにネットワークスライシング(用途ごとに応じたスペックを持つ仮想ネットワークを作り、それらを切り分けて提供する機能)で、ゲームが快適にプレイできるのが、月々1000円ですとかだったらありかな。

石野氏
 ゲームはありですよね。PSリモートをやると、普通の5Gだと、通信が切れてしまうことがありました。

石川氏
 あとは、野球中継とか。5G SAでタイムラグなく見られるなら、それはありだと思う。

法林氏
 でも、値上げはなかなか受け入れられないだろうな。

関口
 IIJの資料によると、5GBあたりのプランで、申し込みがかなり増えているみたいです。

石野氏
 やっぱり、MVNOの主戦場はそこですよね。ただ、irumoがキャンペーンを開催して、1GB増やす。ドコモはなりふり構わずっていう状況ですよ。

石川氏
 料金は、下からもあげていかないとだめかなという感じもします。例えば、1GB1000円くらいの値付けからスタートすれば、楽天モバイルも最安値をあげられる。

石野氏
 あと、電気代みたいに、物価の上限に合わせて、固定費がスライドする仕組みをつけると、納得感があるかも。

法林氏
 モバイル業界は経済の変動要素を取り込めない構造になってしまっている。そこは大胆に変えていかないと厳しい。ただ、上限がないと、いきなり支払額が上がってしまうといった問題も出てくるので、難しいところ。

石野氏
 難しさはありますけど、燃油サーチャージみたいな、単純な値上げではない仕組みがあってもいいのかなとは思います。

関口
 通信事業をいかに継続してもらうのかという観点と、コンシューマーとして安いものが欲しいという観点では、市場として、MNOとMVNOがはっきりと分かれてくれたほうがいい、という話ですね。

石野氏
 それで成り立たなくなって、つぶれてしまったら大変ですし、電気代が仮に3倍になったら、通信費はこのままでいいのかという話は当然あります。ほかの産業は、ほぼほぼ料金に転換できていて、航空会社もそうですし、JRですら値上げを発表している。そんな中で、通信だけは下げろと言われると、宮川さんのような意見が出てくるのは当たり前です。

石川氏
 菅政権前は健全だったというか、選択肢がしっかりとあった。フルサービスで快適なMNO、混雑する時間は通信速度が遅くなるけど安いMVNOという形で分かれていて、自然な競争ができていた。

 ahamoが登場したことで、各社が立ち行かなくなってしまった。

石野氏
 まさにahamoショック。しかもirumoショックまで起こりそう。

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