みんなのケータイ

eSIMの利点はどこに? 時間がかかった「irumo」へのMNP

OCN モバイル ONEから「irumo」にMNP。レビュー用のiPhone 16eにセットした

 前回、何となく検討していたOCN モバイル ONE回線の移行だが、移行先は(dポイントにつられて)NTTドコモの「irumo」に決定した。ちょうどiPhone 16eが発売されることもあり、事前のレビューではどうしてもBand 21非対応の影響を検証したかったという事情も、「irumo」へのMNPを後押しした格好だ。失ってしまった050 plusは、オプテージのLaLa Callを利用。MWC出張でも転送先として利用したが、普通に通話も利用できた。

 「irumo」へMNPした際に、ややこしかったのがdアカウント。すでに何度か本連載でも触れているように、dアカウントは基本的に1回線につき、1アカウントが紐づく形だ。そのため、新規に「irumo」で回線を契約しようとすると、現在利用中のdアカウントとは別のdアカウントを用意する必要がある。その際、メールアドレスが必要になるが、過去に回線と紐づけて放置したままのdアカウントに利用しているメアドは利用できない。

 また、現状でもメイン回線用とキッズケータイ用に2つのアクティブなdアカウントがある。そんなこんなで個人用のGmailや仕事用のメアド、さらにはdアカウント用に作ったGoogle Workspaceのエイリアスのほか、Yahoo!メールも埋まってしまっており、有効なメアドが少なくなっていた。まだdアカウントにしていないメアドはあったかな……と探してみたところ、iCloudメールは今まで使用していなかったので、これを使うことにして事なきを得たが、もうそろそろ管理も限界。せめてGmailのエイリアスを許可してくれればいいのだが。

過去に複数回線でdアカウントを作ってそのままにしていた関係もあり、使えるメールアドレスが少なくなっていた。しかもGmailのエイリアスのように「+」をつけたものは利用できない

 iCloudメールはまだdアカウントに設定してなかったこともあり、無事にアカウント作成は完了。こちらで、「irumo」移行特典のキャンペーンにエントリーして、回線契約を進めた。iPhoneで使うことは確定しており、かつあまり時間もなかったため、今回はeSIMでの発行を選択。締め切り時間である午後9時を過ぎていたため、翌朝にはプロファイルも届くだろうと考え、とりあえず先にLaLa Callの契約を済ませたりしていた。

午後9時を回ってしまったが、なんとかMNPは完了した

 ところが、翌朝どころか夕方になってもeSIMのプロファイルが届かない。迷惑メールに自動分類されてしまったかも、と思ってそちらも確認したがメール自体が来ていなかったようだ。「irumo」のサイトで進行状況を確認したところ、コーヒーを淹れる画像が表示されていたため、まだ作業が続いているようだった。「eSIM職人は、コーヒー豆を焙煎するところから始めるのか」と皮肉の1つも言いたくなったが、午後9時まで待っても待ってもメールは来ないので、その日は諦めることにした。

 翌日も朝9時ごろにメールをチェックしたが、まだプロファイルが届かない。さすがにちょっと遅いのでは……と思い、チャットサポートに問い合わせみたところ、最長で1週間かかるとのこと。確かに、Webにはそう記載されているものの、どちらかと言えば「最短1時間」の方が目立っていたため、念には念を入れまくって1週間とバッファを取ったのだとばかり思っていた(そして、本稿執筆のためにあらためてFAQを確認したところ、最短1時間の文言は消えていた)。

MNPでは最長で1週間かかるという。なお、現在は最短1時間という表記が消えていた

 結局、申し込みから4日後の昼過ぎにeSIMプロファイルが到着。開通処理をかけて、無事につなげることができた。レビューの締め切りにはギリギリで間に合ったのでよかったが、もっと遅れていたら、国内にいる間にMNPが完了しなかったかもしれない。これまで何度もeSIMでのMNPを試してきているが、ここまで時間がかかったのは初めてで、正直面くらってしまった。

4日後に、プロファイルがメールで送られてきて、ようやくMNPが完了した

 X(旧Twitter)にいきさつを投稿してみたところ、同じような境遇の人から多数のリプライをいただいた。共通項はMNP。筆者に限ったことではなく、恒常的に数日間かかっていることがうかがえる。確かに1週間程度と書かれているが、これならドコモショップに行ってMNPした方が早い。時間や場所を選ばずサクッと契約できるeKYC、eSIMのメリットがまったく生かせていない印象も受けた。

 筆者のように仕事のためにどうしてもドコモ回線じゃなければだめという人でなければ、MNPをキャンセルして、ほかのオンラインブランドを選んでしまいそうな気もする。書き入れ時であるはずの春商戦にこれはもったいない。

 また、筆者の場合、そもそも転出元はOCN モバイル ONEで、これもドコモと契約していたものだ。ドコモからドコモへのMNPになるため、審査に時間がかかるというのは理由として納得しがたい。NTTレゾナントのときのシステムをそのまま使っていることもあり、MNPが必要なのはまだ分かるが、もっとサクッと回線を切り替えられなければ巻き取りも難しくなってしまうのでは。そんな懸念を抱かせるMNP体験だった。