iPhone駆け込み寺

iPhone向け「iOS 27」や「Siri AI」など続々発表、9日のアップル「WWDC」まとめ

 米アップル(Apple)は9日(日本時間)、開発者向け会議「WWDC26」を開催し、基調講演において、今秋配信予定の各プラットフォーム向けOSの次期バージョン「iOS 27」などに搭載される新機能などを発表した。

 過去のWWDCではOS別に新機能が紹介されるという構成だったが、今回ははその多くがiPhone、iPad、Macなどプラットフォームを問わない、Siriなど共通する機能のアップデートを紹介。AIを軸にアップルが届けようとする新たな体験が示される場となった。

アップルの生成AI機能が次世代に

 今秋のアップデートでの最大の目玉は、何と言っても生成AIを使った機能となる。

 アップルは今年2月、グーグルと提携し、アップルのAIモデルとしてGeminiの技術を採用することを発表しているが、iOS 27世代で導入される次世代Apple Intelligenceは、このGeminiの技術を使った次世代のアップルAI「Apple Foundation Model」をベースとする。

 なお、iOS 27などは今秋のリリースが予定されているが、Siri AIについては今年後半に英語にてベータ版としてで提供される予定。今後の多言語対応については、現在Apple Intelligenceがサポートしているすべての言語について対応するという。

 多くの機能はOSアップデート同様に無料で利用できるが、いくつかの機能、例えば画像生成など、パワフルなサーバー側のAIモデルを使う機能には、1日ごとに利用上限が定められている。しかしiCloud+の有償プランに契約している場合は、この利用上限が増加する。

 また、Apple Intelligenceは従来から対応とされている機種が引き続き対応とされるが、一部の機能「最もパワフルなオンデバイスモデルとそれがもたらす表現豊かな声や一段と進化した音声入力」については、「最も高性能なiPhone、iPad、Macで使えるようになる」とされており、iPhone 17 Air/17 Pro以降など新しい世代のProグレードチップセット搭載モデルが対応モデルとして案内されている。

Siriは「Siri AI」に

 Siriは生成AIを中心に据えて再設計され、名称が「Siri AI」となる。

 Siri AIでは過去の写真やメモなどを元に、ユーザーが何をしているか、何をしたいかといった「パーソナルコンテクスト」を理解し、ユーザーのリクエストに対してアクションしたりできるようになる。こうしたパーソナルコンテクスト処理は、主にiPhone上のプロセッサでオンデバイス実行されるため、あまり複雑な処理はできず、一般知識や最新情報も限定的と見られるが、一方でプライバシーは完全に保護され、サーバー負荷をかけないのでいくら使っても料金は発生しない。

 また、グーグルのGemini技術は、オンデバイス実行されるAIだけでなく、アップルがホストするサーバーAIの「Private Cloud Compute」にも採用される。これにより、Private Cloud Computeがより賢くなり、最初から多くの知識を身に着けているだけでなく、Web上の最新情報をリクエストに応じて検索し、ユーザーからのリクエストへの返答を生成するようになる。Private Cloud Computeは画像生成などにも利用される。

 ビジュアルインテリジェンスが強化され、新しくなった高精度なモデルを使い、カメラで撮った映像や写真、さらに今デバイスの画面に表示されているものをSiri AIが理解するようにもなる。

 こうした新しいSiri AIの例として、WWDC26の基調講演ではいくつかの実例デモンストレーションが披露されていた。

 例えばiPhoneに「先週末、母が送ってくれた犬の写真をスマートに補正し、母に送って」とリクエストすると、写真アプリでクリーンアップ補正された写真がメッセージアプリに添付されていた。

 テキスト作成もより柔軟となる。上司や同僚へのメールも、普段の文体をSiriが学んで、それぞれにあわせたトーンで生成してくれる。

 ビジュアルインテリジェンスモードのiPhoneのカメラを料理に向けると、Siri AIがその料理を識別し、推定されるカロリーや栄養成分を表示してくれる。

レシートをカメラに写し「これを4人で割り勘にして、それぞれの分をApple Cashで請求して」とリクエストすると、金額を自動計算し、メッセージアプリ上で請求メッセージを作成されていた。

Siriのアプリ化

 これまでSiriはOSの機能の一部という扱いで、サイドボタンの長押しや画面下部インジケーターバーのロングタップ、そして「Hey Siri」という呼びかけで起動していた。今後も起動方法は変わらないが、新たにSiriのアプリが標準アプリとして追加される。

 Siriのアプリの最大の目的は、履歴を参照することにある。これまで、Siriでのやり取りはその場限りで、後で「さっき何を聞いたっけ」といったことを確認できなかったし、「昨日のやり取りの続きをしたい」と思っても不可能だった。しかし今後はSiriとのやり取りはチャットスレッドの形で保存され、あとから確認したり、続きの会話ができるようになる。

 チャットスレッドはiCloud経由で同じアップルアカウントでサインインしているiPadやMacとも同期する。iPhoneやApple Watchで音声から開始した会話をiPadでキーボードを使って継続、といったこともできる。

 これらのチャット履歴は、ローカルデバイス上とそれと同期するiCloudにしか保持されない。iCloud上のデータは暗号化が可能で、アップルにも閲覧できない形なので、それがSiri AIのチャットログにも適用される可能性が高い。他社の生成AIは、チャットスレッドを消さない限り、(個人情報は消去したうえで)その内容をモデル学習に使うことを拒否できないが、Siri AIのやりとりはモデル学習にも使われないと見られる。

 このほかにも、Siriの声の表現力やペースを好みにカスタマイズすることが可能になる。音声入力についても、スペルやカンマを正確に認識できるようになるという(日本語でどうなるかは不明)。ただしこれらの音声の機能については、「高性能なAppleシリコン搭載デバイス」に限定される。

 このほかにもiPhoneではSiriの表示方法に調整が入る。従来からリクエストに対する返答は画面上部にポップアップ形式で表示されていたが、ポップアップウィンドウを下に拡大するようにして、フルスクリーン表示に切り替えられるようになる。

各アプリのApple Intelligence機能も強化

 Safariにおいては、Apple Intelligenceを活用した新機能がいくつか追加される。まずトピック別にタブを自動整理する機能が追加される。また、指定したページの更新状況をバックグラウンドで自動確認し、更新があったときに通知するという、初歩的なAIエージェント的な機能も追加される。

 AIエージェント的な機能としてユニークなのは、パスワードアプリの強化だ。以前から流出した可能性のあるパスワードを流用しているサイトについて、パスワード変更を推奨警告機能を搭載しているが、このパスワード変更操作をワンタップで自動実行する機能が追加されている。このパスワード変更手続きはバックグラウンドで実行されるとされているので、おそらくiPhoneのオンデバイスAIやアップルのPrivate Cloud Computeが各Webサイトにアクセスし、手続きを自動実行するという、こちらもAIエージェント的な機能となっている。

 監視カメラやスマートホーム機器などを統合するホームアプリも強化される。動体検知などでの通知について、従来は検出ごとに通知されていたが、通知が連続する場合、一連の記録をまとめ、誰が何をしたといった通知情報にまとめてくれる。

 自動処理を作成・実行するショートカットアプリについては、自然言語で複雑なショートカットを自動生成できるようになる。

 Image Playgroundアプリは大幅に刷新される。こちらは従来からPrivate Cloud Computeを使っていたので、Private Cloud ComputeがGeminiベースに刷新されるのに合わせた変更となる。従来はイラストしか生成できなかったが、新たにフォトリアルな画像生成が可能になり、全体的に精度や出力できるイラスト調などのバリエーションも増えている。

 写真アプリはクリーンアップツールが強化されたほか、フレーム外の背景を補完してより広角な写真を生成する拡張ツールが追加される。さらに撮影後にカメラアングルを調整する空間リフレームツールも追加される。

システム全体の高速化・最適化

 OSの基礎部分のチューニングも強化されている。

 たとえばiPhoneなどでアプリ起動が最大30%高速化する。また、撮影した直後の写真のライブラリ読み込みは最大70%高速化、AirDropの転送速度も最大80%高速化した。iPadにおいては、外付けの高速ストレージとの転送速度が最大5倍になっている。

 iOS 27においてはCPUスケジューラの最適化などにより、旧モデルでもレスポンスが向上する。ちなみにiOS 27はiOS 26と同じくiPhone 11以降で対応し、過去最多モデルで対応するiOSとなるという。

 ネットワーク接続も強化される。とくにWi-Fiとモバイル通信の切り替えが賢くなり、カフェの前を通り過ぎた瞬間に勝手に接続して遅くなる、いわゆる「余計なお世Wi-Fi」のストレスが軽減される。また、メッセージアプリには送信インジケータが追加され、送信進捗がわかりやすくなったため、相手が既読無視なのかメッセージが届いていないだけなのかが判別しやすくなった。

Liquid Glassなど既存機能への改善も多数

iOS 26から導入された新しいデザインテーマ、Liquid Glassも改良が施される。影響の大きなところでは、UIの透明度を調整できるようになり、ユーザーの好みに応じて見やすさを優先できるようになった。

また、アプリのアイコンにはLiquid Glassレイヤーが追加され、アプリアイコン内にガラス的な表現ができるパーツを追加できるようになっている。このほかにもmacOSなどではサイドバーのUIやウインドウの丸みなどの統一感が増している。

ペアレンタルコントロールは大幅強化

 子供のiPhone利用に制限をかけるペアレンタルコントロール機能が大幅に強化されている。これらの機能は米国小児科学会や関連研究機関と協力し、子供の教育・成長に有益となるように設計されている。

まず「お子様用アカウント」が強化され、子供用アカウントに切り替えるだけで成人向けサイトのブロックなどが自動で有効化される。

 こうしたペアレンタルコントロールの内容は推奨セットが用意され、子の成長に合わせて徐々にアクセス範囲を広げる設定アシスタントも用意される。

 従来からアプリダウンロード時に保護者の承認を求めるシステムはあったが、Webサイト閲覧でも承認リクエストができるようになった。

 コミュニケーションの安全性も担保される。従来からメッセージでヌード画像を送受信すると警告が表示されていたが、新たに画像や動画に含まれる残酷なシーンや暴力的な内容を表示前に介入する機能が追加される。

 アプリの利用時間を制限するスクリーンタイム機能も強化される。年齢に基づく1日の推奨許容時間をカテゴリ(エンタメ・ゲーム・SNS)ごとに設定できるようになり、時間帯や週末といった細かいスケジュールにも対応できるようになった。

 また、サードパーティアプリ開発者向けのAPIも用意される。例えばメッセージ系アプリにおいて、新しい連絡先を追加するときに保護者承認を義務付けると言ったこともできるようになる。

開発者向けAPIも強化

 WWDCは開発者向け会議なので、開発者向けAPIの強化、つまりサードパーティアプリが使える機能の強化についてもアナウンスされている。ただし基調講演で公開されているのは一般ユーザーに関連が深い項目のみとなる。

 まずApp IntentsとFoundation Modelのフレームワークが強化される。具体例としては、これらのフレームワークを組み込んだLINEアプリでは、Siriに頼んでアプリ内の会話を検索できるようになる。

 Core AIフレームワークが強化され、アップルによるApple Foundation Model以外のAIモデルについても、Appleシリコンのパワーを活用してローカル実行が可能になる。とくにMacはメモリを増強すると巨大な大規模言語モデル(LLM)が動作させやすいとしてMac miniやMac Studioの需要が増している背景があり、そうした動きへの対応の一貫と見られる。

 開発環境のXcodeについては、従来からコード生成にOpenAIのChatGPTとAnthropicのClaudeが使えたが、これにGeminiも追加される。