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iPhoneが劇的進化。画面や文脈を理解する新生「Siri AI」発表

 アップルは、日本時間9日未明に開催された「WWDC 26」の基調講演において、「Apple Intelligence」と掛け合わせた「Siri AI」を発表した。

 「AIのためのAI」ではなく、ユーザーの日常のニーズを中心に据え、パーソナルコンテキストと高度なプライバシー保護を両立させた、アップルならではのアプローチが前面に打ち出されている。

 「Siri AI」の基盤となるApple Foundation modelsは、GoogleのGeminiを活用し、深い協業のもとで開発された。新たなモデルは、テキストだけでなく、音声や画像の理解・生成などの複数のモダリティ(マルチモーダル)において、最先端の推論能力と理解力を備えているとされる。

 処理は、より強力になったオンデバイスモデルと、「プライベートクラウドコンピューティング」を利用したサーバー処理とを組み合わせて行われる。システム全体を統括する「システムオーケストレーター」が、デバイス内の意味論的(セマンティック)なインデックスや、ウェブ上の幅広い世界知識、そして各アプリの機能をシームレスに連携させる。

 アップルはAIにおけるプライバシー保護を“妥協できない要件”としており、ユーザーのデータはリクエストの実行のみに使用され、保持されることは一切ないと明言。この安全性は、外部の専門家によっていつでも検証可能であるという。

「Siriアプリ」の登場と、より自然で文脈を理解する対話能力

 Siri AIは、これまでの一問一答のタスク処理を超え、より人と人との会話のそうな、自然な言語で動作するアシスタントへと進化。たとえば、「ワールドカップの開幕週のスケジュールを教えて」と尋ねた後、「ブラジル対モロッコ戦のウォッチパーティを企画したいから、両国の代表的な料理を教えて」と深掘りしていくことができる。

 さらにSiriは、「娘が最近メッセージで言っていたデザートも追加して」という曖昧な指示に対しても、デバイス内のメッセージ履歴から「ココナッツクッキー」を探し出し、画像付きのメニューを作り上げ、グループチャットに送信するまでの作業を一手に引き受けてくれる。

 こうした深いやり取りを振り返るために、新たに専用の「Siriアプリ」が各デバイスに導入される。会話履歴はiCloudを通じてプライバシーを保ったまま同期されるため、iPhoneで始めた会話の続きをiPadで確認し、Macで最終的な作業を完了させる、といったシームレスな体験が可能になる。

 また、Siriの音声体験も刷新され、より豊かで表現力に溢れた自然な発音へと進化し、表現の度合いや話すペースをユーザー好みに細かく調整できる機能も追加される。

Macでの高度なファイル操作と、あらゆる場面でのライティング支援

 Siri AIは、システム全体へかつてないほど深く統合されている。Macでは、Spotlight検索にSiriが統合され、テキスト入力から直接会話をスタートできる。

 特筆すべきはコンテキストメニューとの連携。たとえば、書式が異なる複数の見積もりファイルを選択し、メニューからSiriに「これらを比較して」と頼むだけで、瞬時に比較用の表を作成してくれる。さらに、過去のメールやメッセージから特定の条件を抽出し、推奨される業者に対して「納期を早めてほしい」と交渉するメールを白紙の状態から起草することも可能だ。

 文章作成においては、特定の同僚に向けたコミュニケーションスタイルを反映させた文面の作成や、書いた文章に対するフィードバックの提供が可能になる。さらに、アップル純正アプリだけでなくサードパーティ製アプリを含むシステム全体で、ユーザーが意識することなく自動校正が行われる。音声入力の精度も大幅に向上し、スペルや句読点、大文字・小文字の使い分けまで正確にキャプチャされるようになる。

カメラが新たな「目」となる「視覚的インテリジェンス」

 iPhoneのカメラアプリには新しく「Siriモード」が搭載され、カメラのシャッターボタンをタップして、目の前にあるものの情報を取得できるようになる。食事にカメラを向けて栄養情報を調べたり、イベントのポスターを写してカレンダーに予定をそのまま追加したりと、状況に応じたアクションが提案される。iPadではスクリーンショットに本機能に統合される。

 さらにVision OSは、3Dビジュアル化されたSiriを空間内に配置できるようになり、「Hey Siri」という呼びかけすら不要で、Siriを見つめて話しかけるだけで起動する。視覚認識能力も空間コンピューティングに最適化されており、「このバックパックは機内持ち込み可能か」といった質問や、「このブーツはこのバックパックの中に物理的に収まるか」といった、現実世界の物理的なサイズ感に関する質問にも的確に応答する。

 「Siri AI」は、Apple Intelligenceのパワーを反映した新しい流線型のデザインとアニメーションを伴って展開される。まずは英語対応からスタートし、今後迅速に対応言語を拡大していく予定。ただしiOS、iPadOSは、EUでは初期段階での提供が見送られる。