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5G時代におけるマネタイズは「SAと差別化」、エリクソンモビリティレポートを鹿島氏が解説
2026年7月24日 07:00
エリクソン・ジャパン(Ericsson)は23日、記者向けに世界のモバイルネットワークの最新動向に関する説明会を開催した。
6月に公開された「エリクソンモビリティレポート」の最新版をもとに、通信事業者向け通信機器を展開する同社が分析したモバイル通信の現況と5年後の予測などを、エリクソン・ジャパン チーフ・テクノロジー・オフィサーの鹿島毅氏が説明した。
なお、本誌では同レポートの日本語版を紹介する記事を公開している。本稿では、鹿島氏が注目する指標や同氏の見解のほか、最新技術と通信トレンドの動向などをご紹介していく。
6Gに向けて「5G SAへの完全移行」を
5Gサービスはグローバルでも継続的に伸長しており、5G契約数は2025年末時点で30億件、2031年には64億件になると予測され、世界の約2/3が5G加入者になると見られている。現在の主流は、4Gと一部の機器やネットワークを共有する5G NSA(Non-Stand Alone)だが、“真の5G”と言われる5G SAの導入も世界で進んでいる。2031年には、全5G契約者の6割となる39億件以上になるとみられており、4Gとの一層の差別化が期待される。
一方、2030年頃に展開が見込まれている「6G」に向けて、早期に5G NSAから5G SAへ完全に移行することが望ましいと鹿島氏は指摘する。まだ、5G SAならではのユースケースの創出が進んでいない一方、2028年頃にはARグラスやデバイスが豊富になってくるとし、世界的にSAへの移行が進むとの見解が示された。
6Gについても、仕様が決まってきているなか、各国で周波数の割り当てに向けての取り組みが進んでおり、すでに中国やシンガポールなどでは、取り組みが加速しているという。
データトラフィックの動向
動画コンテンツの拡大やAIの普及などで、データ通信量も伸長している。2026年第1四半期における世界のモバイルネットワークのデータトラフィック量は、210EBとなった。直近の四半期ベースの増加率は約5%で、年間成長率は20%強で推移している。鹿島氏は、年間成長率に注目し「2025年第1四半期までデータトラフィックの伸びが落ち着いていたのが、近年また少し上がってきている」と指摘する。近年のデータ利用の多くは、動画視聴での利用であり、今回の調査でも約75%が動画視聴だったが、現状で2割以上の伸びとなっており「注視していく必要がある」と鹿島氏は語る。
データ通信のトレンドでもう1つ興味深いデータがある。通信には上り(アップリンク)と下り(ダウンリンク)があり、これまでダウンリンクの通信量がはるかに多く、周波数帯域の割り当ても、ダウンリンクの帯域幅の方が多く割り当てられてきた。2025年の調査で、世界の通信事業者55社のうち43社で、通信量の増加割合がダウンリンクよりアップリンクの方が高い兆候が見られた。鹿島氏は、増加要因のレポートがないため要因は不明と前置きしつつも、AIグラスやAIエージェントの普及により、AIとのやりとりでアップリンクの通信を利用するようになってきたと指摘。将来的に通信に占めるアップリンクの割合は増加していくと予測する。
レポートでは、3つの予測パターンを掲載している。控えめに増加するパターンでも2031年には2025年の2倍の通信量と予測しており、より多くのAIデバイスが登場すれば約5倍にまでアップリンクの通信量が増加するとしている。
ネットワーク全体を見ると、アップリンクが増加したとはいえ、ダウンリンクが9割近くを占めている。ただ、鹿島氏は「現在のネットワークはダウンリンク重視で設計されており、アップリンクの性能向上は困難」と指摘する。ダウンリンクでは、基地局からの送信出力で一定程度コントロールできるが、アップリンクではデバイス側の出力が重要になる。デバイス側の送信出力には大きな制限があるため、これまでの技術で抜本的な性能向上は期待できないからだ。
AI時代における通信の改善には、5G SAにおけるキャリアアグリゲーションやPCell(プライマリセル)の選択などの最適化技術の導入などを進めると共に、6Gでの抜本的な性能強化が求められるだろうと語る。
5G SAにおける差別化サービス
レポートでは、5G SAのネットワークスライシングや優先レーンなど、ネットワークの差別化サービスの事例や調査がいくつか紹介されている。
実際にネットワークスライシングを商用サービスで提供している通信事業者は、グローバルで84件に増加しており、マネタイズ手段として現実味を帯び始めている。
日本でも、ソフトバンクがF1グランプリで実証実験を実施。3日間で31.5万人が来場した会場で、Massive MIMOの展開やマルチバンド運用など性能を強化したネットワークとあわせて、ネットワークスライシングを導入した。会場では、一般用のほかXR用、売店などのPOS端末用、ユーザー向けWi-Fi用、ミリ波と無線カメラ用の5つのスライスに分けて提供し、状況に応じて分単位で制御を自動化した。実際に通信速度は、2025年大会と比較して、下りで4.1倍、上りで14.6倍となるなど、ネットワークスライシングの設計思想が形になっていることが証明された。
また、エリクソン・ジャパンが3月に実施した「日本のモバイル通信品質に関する意識調査」を取り上げる。日本のユーザーでは、通信品質で「安定性」や「混雑時でもつながること」が重視されているといい、電車や駅など外出先や移動時に不満を感じることが多いという。鹿島氏は、電車内などユーザーが不満に思う部分で品質を向上させることで、差別化や収益化につながる可能性があると指摘する。
次に優先レーンをどこで使いたいか? という調査では「QRコード決済やモバイルチケットを表示する場面」が1位となった。優先レーンに対して希望する料金体系は「利用回数に応じた変動課金」が多く、柔軟な課金体系のニーズが示されているとした。













