レビュー

「Xperia 1 VIII」レビュー カメラの実力アップでデザイン刷新、大幅値上げの新端末は買うべき1台なのか

 5月13日、ソニーのフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 VIII」が発表された。6月11日発売で、ドコモ、au、ソフトバンクのほか、オープンマーケット向け(SIMフリー)モデルも用意されている。

 発表時点から、今年はデザインの刷新と価格が大きな話題を呼んだ。加えて、SNSに投稿されたXperia 1 VIIIのカメラ機能をもとにさまざまな意見が飛び交うなど、何かと注目を集めている。

 発売に先駆け、1週間ほどではあるが同機を試す機会を得たので、使用感について紹介していく。

デザイン刷新も本体サイズはほぼ変わらず

 「Xperia 1 VIII」は、まず背面デザインが刷新されたのが大きな要素となる。これまで縦に並んでいたアウトカメラが、四角形の台座に乗せられたような配置になった。均一に並んだ3つのカメラと、「SONY」のロゴが映えるデザインになっており、個人的に今回のデザイン変更はお気に入りポイントだ。

 カメラの配置に加え、本体素材が変わったのもポイントだろう。

 原石をモチーフとしたデザイン、素材になっているとのことだが、触った感触としては、壁紙や硬い画用紙を想起させるような、ざらっとした手触りだ。スマートフォンらしからぬ手触りに初めは戸惑うが、慣れてくると心地よい。滑りにくい素材になっているため、ケースを付けない派の筆者にとっては、嬉しいアップデートだ。

 本体サイズは約74×約162×約8.3mm、質量は約200gとなる。本体サイズは前モデルからほぼ変わらず、厚みと質量が少しだけ増した格好だ。

 Xperiaシリーズの特徴である、薄く軽いボディはまだ健在だと感じる一方で、近年は薄型軽量化するモデルが多いため、相対的に個性が失われつつある印象もある。何より、わずか3gの増量であり、感触に大きな差はないものの、大台の200gに乗ってしまったのが少し悲しい。

 Xperia 1 VIIIの場合、持ちやすいというほどコンパクトではないものの、操作しにくいというほど大きいわけでもない、絶妙なサイズ感になっている。横幅は比較的狭いため、ある程度は片手でも操作できる程度の印象だ。

上下ベゼルディスプレイは賛否分かれるかも

 ディスプレイは約6.5インチの有機ELで、解像度はFHD+となる。一時期は4Kディスプレイを搭載していたXperiaだけに、いまだに解像度には納得していない人もいるかもしれないが、6.5インチのサイズであればFHD+でも十分だと感じる。いたずらに解像度を上げるより、省電力性などに注力された方が、使い勝手は向上する印象だ。

 リフレッシュレートは、1Hz~120Hzの可変駆動で、動作は快適。Webブラウジングだけでなく、ゲームも楽しめる性能がしっかりと確保されている。近年の基準では、144Hzリフレッシュレートに対応する機種もあるため、“最高峰”とまでは言わないが、120Hzと144Hzの違いを体感できる人は少ないはず。少なくとも筆者は、あまり違いを感じておらず、フラッグシップ仕様と言って差し支えないと感じている。

 気になるのは、上下の帯状のベゼルだろう。インカメラがベゼルに内包されているため、切り欠きのないディスプレイが楽しめる一方で、ベゼルの太さが気になるという人も出てくるはずだ。

 Xperiaシリーズとしては、“こだわり続けているポイント”であり、ゲームや動画視聴を頻繁にする筆者にとっては魅力的だが、パンチホールカメラに慣れた人には、「フラッグシップなのにベゼルが太いなんて……」と思われても仕方ないだろう。ここははっきりと好みが分かれる部分となるので、本体の質感とともに、ぜひ実機を一度チェックしてもらいたい。

望遠カメラが強化された3眼構成のアウトカメラ

 アウトカメラは、24mm広角、16mm超広角、70mm望遠の3眼構成で、いずれも有効画素数は約4800万画素、記録画素数は約1200万画素となる。望遠カメラには前モデル比で約4倍のセンサーが採用されている。

 αシリーズで培った技術を継承しているとされている通り、いずれのカメラでも解像感が高く、明るい写真が撮影できる印象。何より、AFが非常に速く、安定しているため、さっとスマートフォンを構え、きれいな写真を一瞬で撮影するといった使い方が気持ちいい。

 望遠カメラのディテール感が増していることもよく感じられ、暗所での撮影にも強くなっていることが実感できる。焦点距離に柔軟さが減ったのが残念ではあるが、より実用的なカメラに仕上がっているので、使い勝手は良くなっている。

 AF速度、精度の高さが体感できるのは、本体右側面にシャッターボタンが搭載されているためでもある。半押しでのAFロック機能も利用でき、デジカメに近い使用感で写真撮影ができるのはうれしいポイント。

 シャッターボタンは、カメラアプリの起動時以外は、スクリーンショットの撮影にも利用できる。2つのボタンを同時に押さずに済むのは非常に便利だ。

 Xperiaとしては、「Xperia Intelligence」と銘打ち、カメラアプリで利用できるAI機能を搭載している。

 今回話題を呼んでいるのが「AIカメラアシスタント」だろう。カメラアプリを起動し、被写体にカメラを向けた際に、撮影時の細かな設定をAIが4パターン提案してくれるというものだ。

 AIカメラアシスタントで表示される4つの候補は、あくまで「提案」でしかない。そもそも使う、使わないは自由であり、4つの選択肢から自分で使う設定を選択できる。

 AIカメラアシスタントを巡っては、「X(旧Twitter)」のXperia公式アカウントで投稿された写真に対し、厳しい声が数多く寄せられた。件のポストには筆者も絶句したが、結局は気に入った設定を使い、気に入らない場合は使わなければいいだけというわけだ。

通常撮影
提案された設定で撮影

 デフォルトでの撮影は、これまでXperiaシリーズで続けられている、忠実な画作りを踏襲しているように感じられるため、「そんなに気にしなくてもいい部分かな」というのが個人的な感想だ。

Xperia 1 VIII最大の魅力はスピーカーかも

 個人的な所感ではあるものの、Xperia 1 VIIIで最も気に入っているのがスピーカーの品質だ。従来からスピーカー品質にこだわっているXperiaシリーズだが、今回は新たに「フルステージスピーカー」という、左右同一のユニットが搭載されている。

 もともと、豊かな音の広がりが魅力とされていたが、今年はさらにブラッシュアップされた。音量、低音の響き、明瞭さといったあらゆるポイントが強化されていることが実感できる。

 イヤホンを使うことが多い人でも、耳が疲れたり、バッテリーが切れるタイミングはあるはず。イヤホンを使わなくても、細かな音まで聞き取れるスピーカーをスマートフォンが搭載している意義は大きいはずだ。購入時には、ぜひゲームや動画視聴といった音の出るコンテンツを、スピーカー出力で楽しんでもらいたい。

“全部入り”で正真正銘のフラッグシップモデル

 Xperiaシリーズは、他社が徐々に切り離している機能や性能を粘り強く搭載し続けることでも、一定の支持を集めている。

 その最たる例が「microSDカード対応」と「3.5mmイヤホンジャックの搭載」であり、今回もこれらは引き続き採用されている。

microSDカード対応
3.5mmイヤホンジャック

 果たして「スマートフォンに必要な要素なのか」と問われると微妙ではあるが、ストレージを拡張できるSDカードは、コンテンツがどんどんリッチになっていることを踏まえると、将来的に拡張できるという強みになる。同様に、バッテリー残量を気にせず、比較的安価な製品でも高音質が楽しめる傾向のある有線イヤホンが利用できるのも、刺さる人には刺さるポイントであり続けるだろう。他社が軒並み非搭載になっている今こそ、唯一無二のありがたさを感じられる要素だ。

 バッテリーは、容量5000mAhで必要十分という印象。近年は7000mAh台のバッテリーを搭載するモデルも見るが、5000mAhの容量があれば、1日の外出程度であれば問題なく使える。移動時にゲームアプリなどをしていても、筆者の使い方で電池が切れることはなかった。

 チップセットは「Snapdragon 8 Elite Gen 5」。メモリーとストレージの構成は計4パターンがラインアップされている。今回試したモデルは、メモリー12GB+ストレージ256GBの最も安価な構成だった。

 チップセットやメモリーの構成からも分かる通りのハイエンド仕様で、動作性は抜群。ヘビーなゲームもサクサクこなせる。メモリー12GBモデルであっても、ほとんどの人は納得いくレベルではないだろうか。

 また、意外と言っては失礼だが、想像よりも発熱が抑えられているのもお気に入りポイントだ。薄型ボディを採用しているため、発熱が課題とされていた時期もあるXperiaだけに、長時間でも快適にゲームができるように進化しているのは喜ばしい。

 そのほか、IP68相当の防水防塵性能と、おサイフケータイ機能にも対応する。この辺りは、さすがXperiaといった安心感がある。また、本モデルより、SIMフリーモデルでも「ミリ波」に対応している。

 留意しておきたいのが、ソフトウェアアップデートの保証期間。OSアップデートは4回、セキュリティアップデートは6年となっており、他社ハイエンドモデルと比べるとやや短い。近年はスマートフォンの買い替えサイクルが4年程度とも言われているため、キャッチアップできているとも言えるが、フラッグシップモデルだけに、長期利用するユーザーが多いことを考えると、もう少し余裕が欲しいところだ。

最小構成23万5400円、最上位構成は29万9200円のしびれる価格

 さて、最後に価格についても触れておこう。

 SIMフリーモデルは、ソニー直販サイト「ソニーストア」の価格で、最小構成の12GB+256GBモデルで23万5400円、最上位構成の16GB+1TBモデルだと29万9200円になる。

 処理能力のみで比較すべきではないが、同じチップセットを搭載するスマートフォンには10万円台のものがあるという状況を鑑みると、さすがに高いと言わざるを得ないだろう。25万円前後となると、他社折りたたみスマートフォンが競争相手になる点も気になる。

 それでも、新しいデザインや素材、アップデートされた使い勝手のいいカメラ、SDカードやイヤホンジャックなど、唯一無二と言える“全部入り”のフラッグシップモデルに魅力を感じる人はいるはず。筆者も実際にレビュー機に触れ、心が揺れているユーザーの1人だ。

 キャリアモデルは最小構成のみ発売されるが、端末購入プログラムなども吟味しながら、お財布と相談して購入を検討してみてほしい。