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ソフトバンクG孫会長「GDPの20%がAI関連に」、SoftBank Worldで15年後のAIビジョンを語る
2026年7月14日 19:03
ソフトバンクは14日、法人顧客向けのイベント「SoftBank World 2026」を開催した。
特別講演としてソフトバンクグループ代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏が、イベントのテーマ「- AX for Japan - 未来をつくる力が、ひとつになる場所。」のもと、15年後におけるAI社会とそれを迎える日本の経営者に「AI革命後のビジョンをしっかりと考えるべきだ」と呼びかけた。
孫氏は、経営者にとって大切なことを「ビジョン、戦略」とし、日本の企業でよく言われる「人の輪」というキーワードは、米国の会社の代表で言う人はほとんどいないと指摘する。そこで孫氏は、今回の講演で「鮮明な輪郭のはっきりした期限と数字を持って、私なりの意見を申し上げる」とし、講演をスタートさせた。
15年後、世界のGDPの20%がAI関連に
インターネット革命が始まった最初期において、日本では「ものづくりこそ日本の経営の魂だ。インターネットなどはガラスの洞窟だ。などと言う人がたくさんいた」と孫氏は振り返る。現在、世界の経済を引っ張っている企業のほとんどがインターネットを本業にした会社だと指摘し、「ものすごい勢いでお金を稼いでいる」と語る。AI革命においては、「日本経済で(インターネット革命と)同じ失敗を犯さないようにしたいと心の底から思う」と、日本の経営者に呼びかける。
孫氏は、これまでのさまざまな革命において「最初の20年でほとんど勝負が決まる」と話す。インターネット革命においても、「最初の20年以内に、そのジャンルでトップの位置を取れなかった企業は、その後もずっと取れていない」とし、AI革命における“最初の20年”後となる2040年に何が起こるかを「数字を持って申し上げる」とした。
孫氏は、2040年の世界のGDPのうち、20%がAI関連、ASI(Artificial Super Intelligence、人工超知能)関連のものになると話す。規模感として、年間7000兆円の売上になり、その利益率は「おそらく50%近くになる」と説明する。インターネット革命では「世界のGDPの1%にあたる広告の世界を置き換えていったに過ぎない」とし、「1%のインターネット」よりも20倍の規模をAIが置き換えていくようになる。
近年叫ばれている「AIエージェント」について、孫氏は「1年前のSoftBank World 2025でAIエージェント元年になると申し上げた。まさにそうなってきた」と指摘。AIエージェントの規模感を孫氏は「100兆個になる」と断言する。「一般社員がこなしている“繰り返しの作業”といったルーティンワークを、AIエージェント同士がコミュニケーションをとりながらこなすことで、エージェント中心の社会になる」と話す。これは、サイバー空間上の話だけでなく、AIエージェントがヒューマノイドロボットに宿って活動することで、人間換算で100億人相当分の仕事をこなすようになると語った。
100億人相当分の仕事を担うデータセンター
そのエージェントを担うAIデータセンターは、いったいどのくらいの規模になるか。孫氏は、電力規模で「3テラW」と答える。現在の世界における発電量の1.8倍になるといい、「ものすごい電気を食う」と指摘する。加えて、「過去約20年で地球上の発電量は倍になった。今から15年後の2040年に倍になっても、そんなに驚くことではない」と語る。
電力の調達については「ガス発電が一番中心だと思う。2040年にはフュージョン(核融合)発電に取って代わられるだろうが、水が原材料なので、クリーンで安全な発電ができる。地球の温暖化問題は、嘘のように消えてなくなる」とし、エネルギー革命も並行して起こると話した。
コンピューティング規模では、「FLOPS」のテラやギガなどのSI接頭語に注目して論じる。NVIDIAの高性能AIプラットフォーム「GB300」では1つで約20ペタFLOPS、1000個使うと20エクサFLOPSとなる。エクサは10の18乗を、その次のゼタは10の21乗を表すが、「これ以降に大きい接頭語は知っているか? 知っている方がいれば、私の腕時計を差し上げる」と孫氏は会場の経営者に呼びかける。孫氏は「ヨタ(10の24乗)と続いていく。ヨタを知っている人は相当なプロ。でもヨタの次『ロナ』(10の27乗)を知っている人はまずいない」と指摘する。近年(2022年)では、世界のデータ量が増大していることを受け、これよりもさらに上の接頭語「クエタ」(10の30乗)が登場し、2040年にはクエタFLOPSレベルの演算能力に到達するとした。
これらの演算能力を実現するために、15年かけて電力や許認可、経営資源を用意しなければならないと説明。費用感として、「年間5兆ドル(800兆円)の投資が必要になると思う」と指摘した。孫氏は続けて「世界のGDPの20%に当たる7000兆円の売上が毎年あるなら、『毎年800兆円の投資』は全然誤差、おつりが来るレベル」と語った。
孫氏はヤフーやアリババ、アームなどこれまで投資してきた過去を振り返り「いろいろ言う人がいるが、真剣に考えて行動している。もう少しやっておけばよかった、と後悔しているからこそ、AI革命においても日本の中でとどまることは絶対しない」とAI革命への取り組みの“本気度”を示した。AIエージェントが自分で進化し増殖するようになる未来では「地球上の頂点が人間である時代が終わる」と孫氏は指摘し、未来を拒否するのではなく、AIと共に進化することが必要であり、「ヒューマン(人間)もスーパーヒューマンになることが、我々人間の生きる道だ」と説いた。
「AIの進化は人間の寿命を伸ばせる」と孫氏は説明する。孫氏は「AIの世界では、自分専用の遺伝子治療薬やパーソナライズされた医療ができるようになる」とし、より的確な診断ができるようになると話す。
実際に、ChatGPT 5.6では、一般的な医者と比較して99%正確な診断ができるようになっているとし、不動産や科学などありとあらゆる専門業種でAIの方が賢くなってきていると指摘。専門業種の1つである通訳業においても、同時通訳がほとんど遅延なく機能するようになってきている。
また、サイバー攻撃という面でも、ソフトバンクが持つさまざまなシステムについて「20数年間一度も倒れたことがないシステムでも、AIが1万以上の脆弱性を見つけた」と孫氏は説明する。同様の“サイバーアタック診断”を大企業を中心に実施したところ、同社と同様の比率で見つかったという。一方で、中国ではオープンソースでサイバーアタックできるAI(孫氏は武器と称している)が登場しており、同社では1000名体制で「サイバーアタックから守るための部隊」を作ったと直近の取り組みをアピールした。
AIを使う企業に仕事を奪われる
最後に孫氏は「ROA」という言葉を挙げた。経営者にとってのROAは「Return On Assets、総資産利益率」を示すが、孫氏が言うROAは「Return On AI」だとコメント。自分の会社をAIで武装し、AIにかけたコストがどれだけ収益アップに貢献したかをチェックしながら意思決定をしていくべきだと主張する。AI投資へのリターンは「3年くらい先を見ながら計算していく意識でAI関連のものを築いていくべき。社長がすべきことは『AIだ! AIを真剣にやるんだ』とビジョンと戦略を示し続けることが重要」と力説した。
目の前の経営者に孫氏は「自分の会社はAIで進化する側に行くんだ、20%の側に行くんだということが、社長にとって一番大切な宿題。半信半疑ではなく、新しい革命の時に、すべてを投入するくらい決心するべきだ」と主張。自身の業態、業種についてより深い知識、データを持っているため、その知見やデータを最大限に使い、業種を変えることなくAIネイティブ企業になれると孫氏はコメント。「AIに仕事を奪われる企業」は、AIが仕事を奪うのではなく「AIを使う企業に仕事を奪われる」と説明し、「15年先のビジョンを、我が事として真剣に考えなくてはいけない」と呼びかけた。






















