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Y!mobileガン社長、Nexus 6は「パフォーマンス重視のユーザーに」

「シェアプラン」で複数端末の利用を促進

 ワイモバイル(Y!mobile)は、スマートフォンの新たなラインナップや新サービスに関する発表会を開催した。通信キャリアとしては、Googleの「Nexus 6」を日本で独占的に提供することを正式に発表したほか、1契約で複数台の端末を利用したいとうニーズに応えた「シェアプラン」を発表、8インチのタブレットや「車載用モバイルWi-Fiルーター」など、「シェアプラン」での利用を見越した端末の提供もアナウンスされた。

「Nexus 6」を紹介するワイモバイル 代表取締役社長兼CEOのエリック・ガン氏

量販店の新規契約で好調

 発表会で登壇したワイモバイル 代表取締役社長兼CEOのエリック・ガン氏は、8月1日から本格的にスタートした「Y!mobile」についてこの3カ月を振り返り、「Y!mobileでスマホデビューしたユーザーが54%」と、低価格なプランでフィーチャーフォンからの乗り換えを促進したと強調する。

 また、GfK Japanのデータとして、有力家電量販店でのAndroidの新規契約ではY!mobileのシェアが8~10月で40%になったことや、同様に過去1年間のAndroidの新規契約で「Nexus 5」の販売数が1位になったことを紹介。「Nexus 5」については、海外の通信キャリアと比べても、「Nexus 5」を多く販売したのがY!mobileで、「ほとんど1位か2位」(ガン氏、囲み取材で)としており、「AndroidスマホならY!mobile」とアピールする。

「Nexus 6」をハード、OSの両方で紹介

 「Nexus 5」を積極的に販売してきた同社が新しいスマホとして紹介したのが、「Nexus 6」。「Nexus 6」は、Googleがグローバルで発表しているほか、台湾で開催されたGoogle主催のイベントや、前日の11月12日にGoogle主催で開催された日本での体験会で報道陣に披露されている。

 ガン氏からは、「Nexus 6」のハード面の特徴に加えて、搭載されるOS「Android 5.0 Lollipop」についても「触ってみないとわからない。面白い。かわいいアニメーションもある」と気に入っている様子で、便利な機能や特徴が解説された。OSについては発表会当日の13日から、「Nexus 5」向けにAndroid 5.0へのバージョンアップが提供されたことも合わせて発表、「Nexus 5」は「Nexus 6」発売後も併売するとし、端末ラインナップのバリエーションが拡大した様子を語った。

「Nexus 6」の価格、キャンペーンは「検討」

 質疑応答の時間には、「Nexus 6」の価格が比較的高額であることから、対象ユーザーがこれまでとは異なるのかと問われた。ガン氏は、「Nexus 5」は価格を重視するユーザーにも評価されていたとした上で、「今回はパフォーマンスを重視する路線に(端末のコンセプトが)変わった。我々のユーザーも、パフォーマンス重視のユーザーが、これから増えてくるのではないか。月3000円(※24回払い)で、決して高いとは思わないが、パフォーマンス重視のユーザーに対して、ベストのOS、ベストのハード」と、回答。同社の「Nexus 5」のユーザーのうち、パフォーマンスを求めるユーザーの乗り換え先として位置付けた。

 一方で、販売価格に関連したキャンペーンは「これから検討していく」ともしており、価格について、なんらかの施策を準備していることも明らかにされた。

 なお、「Nexus 5」が併売されることなどから、ワイモバイル 取締役兼COOの寺尾洋幸氏は、「Nexus 6」について「選択肢を広げるという意味ではハイエンドでもいい」と回答し、ハイエンドモデルを求めるユーザーの要望にも応えるものとしている。

「シェアプラン」で複数台の利用に対応

 発表会では、ガン氏からはサービス面の強化も発表された。Yahoo!JAPANのWebサイトにアクセスするだけで毎日マイルが貯まるといった「パケットマイレージ」の取り組みについては、「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」「ヤフオク!」の3つのサービスが新たに対応したことを発表した。プラザクリエイトの「なんでもダビング」をY!mobileショップの店頭で受け付け、「Yahoo!ボックス」と連携させられるサービスも明らかにされている。

 そして、一部MVNOでは実現しているものの、大手の通信キャリアとして「新しい挑戦」と位置付けたのが、親回線に対して最大3枚のSIMカードを発行でき、通信容量を共有できる「シェアプラン」だ。3大キャリアと比較して「パケットシェアはできていないが」とするものの、親回線が「スマホプランL」なら利用料が無料になるといった特徴を紹介。「シェアプランでも使える」と、ファーウェイ製の8インチタブレットや「カーWi-Fi」呼ぶ車載用モバイルWi-Fiルーターなども紹介。1契約でのSIMカードの追加が容易になり、複数端末の利用が簡単になったことで、今後端末ラインナップが拡大していく様子を示した。

 寺尾氏は囲み取材の中で「これからいろいろなものがネットワークにつながってくる。そこを何とか狙っていきたい。あらゆるものがネットワークにつながってくることを想定して、今回のサービスも設計した」と語り、今回発表した「シェアプラン」もY!mobileが当初に掲げたコンセプトに沿ったものであるとしている。

 「シェアプラン」で追加できるSIMカードがデータ通信専用となっている点については、ガン氏は「これからのIoTの世界では、データ通信専用の端末でやりたい。シェアプランの場合はデータ通信専用でやりたい」などとした。親回線の通信容量が7GBでも足りなくなるのでは? という懸念については、利用実態を見ながらさらに大容量のプランも検討していくとしている。

「Nexus 6」のCAは非対応も、グループで電波の一体運用は強化

 囲み取材では、「Nexus 6」が仕様として対応しているキャリアアグリゲーションのうち、バンド3(ワイモバイル)とバンド8(ソフトバンクモバイル)のキャリアアグリゲーションについて、「インターカンパニー(グループ会社間)でのキャリアアグリゲーションはしていない」とし、総務省から新たな判断が下されない限り、利用できないとした。なお、このインターカンパニーでのキャリアアグリゲーションについては、ネットワーク側でも準備はしていないと、会場の説明員が回答している。

 「Nexus 6」は、さまざまな周波数帯に対応することから、ソフトバンクモバイルのネットワークに繋がるのか、旧イー・モバイルのネットワークに繋がるのかと聞かれた。ガン氏は、「(端末の)周波数は1.7GHz、2.1GHz、2.5GHzとかほとんどに対応し、どっちのSIMとか、こういう古い発想は早くやめたい。(旧イー・モバイルに付与された)1.7GHz帯だけのユーザーがどのくらい、いるのか? 減っているのではないか? こういう発想に非常に悩んでいる。(グループ会社の周波数に対応しているとかを)ユーザーは気にしていない。SIMが1枚になり、いろんな電波を利用すればハッピー。1.7GHzだけでカウントとかの古い考え方は早く整理したい」と答え、グループでの電波の一体的な運用をさらに強化していく方針を示した。

 この考えに対し、イー・アクセス時代から(イー・アクセス単独で)要望していた1.7GHz帯の周波数(F0)の獲得について、スタンスを聞かれると、「F0はもちろん、はやく取りたい。これは全く変わっていない。グループとしての話(立場)もあるが、ユーザーの観点から見ると、早めにF0をもらって、もう少し高速なサービスにできれば。ただ、グループで一緒になったので『“ソフトバンク”にはF0を提供できない』ということは、あるかもしれない」とした。

囲み取材に応じるワイモバイル 取締役兼COOの寺尾洋幸氏(左)、代表取締役社長兼CEOのエリック・ガン氏(右)

PHSユーザーはY!mobileのスマホに移行

 10月から開始されたPHSのMNPについて手応えを聞かれると、寺尾氏は、「外から見ると、PHSが大きく減ったように見える。このQ3もそうだと思う。実際に何が起こっているかというと、Nexus 5などのスマホに、(グループの)中でユーザーが動いている。他社とのMNPという点では、ほとんど勝ちのペース。PHSのユーザーがスマホに移行したいと思っても、これまでは障壁があったんだなと、改めて感じている。一番強い要因は料金。アンケート調査でも料金、その次にサービスとなる。格安SIMと比較された結果、我々のほうを選んだというデータも出ている。値段は価値との相対で、そういう意味ではまだまだ競争力がある」と、PHSユーザーの移行について語った。

 なお関係者からは、PHS端末でもおなじみの京セラ製のスマートフォン「DIGNO T」が、安心感や防水性能、価格の面などでPHSユーザーに選ばれているという声も聞かれた。

太田 亮三