ニュース

NTTドコモ、通信品質改善の現在地は「道半ば」 都市部に優先投資で年度内の改善目指す

 NTTドコモは、ネットワークの通信品質改善に向けた進捗状況や、今後の計画を明らかにした。基地局の構築や最新装置の導入を進める一方で、ユーザーの体感品質改善については自ら「道半ば」とし、人口集中地域へ優先的に対策を講じている現状を説明した。

基地局構築と最新技術の導入

 NTTドコモは、通信品質の向上に向け、昨年度下期から継続して基地局の構築に取り組んでいる。2024年度第1四半期には約2500局を構築し、うち約1500局が5G基地局となった。今年度は1万局を超える5G基地局の設置を計画している。

 トラフィックが増加し続ける環境下においても、全国主要都市の中心部における平均ダウンロードスループットは向上しているという。地下鉄での5Gエリア拡大も進んでおり、7月時点で全国303駅、東京都内では7割を超える206駅で導入を完了した。

 混雑エリアに対する最新装置の導入も進められている。国内初となるエリクソン製の最新基地局装置は、既存の装置と比べて収容セルの容量を4倍に拡大しつつ、消費電力を50%削減できる。

 さらに、国内最大帯域幅となる「トライバンド Massive MIMO」も導入した。ドコモが保有する3つの広帯域周波数を束ねて280MHz幅を同時利用し、設備容量を3倍に引き上げる仕組みとなる。都心部の混雑エリアやイベント会場など、通信が集中する場所における快適な環境提供を狙う。

体感品質の改善は「道半ば」

 順調な設備投資がアピールされる一方で、ユーザーの体感品質に関する現在地については課題も浮き彫りとなった。

 質疑応答において、「ユーザー目線の体感品質で目標に対して何合目まで来ているか」という問いについては、同社は「全国での計画という意味では、部材不足の影響などもあり、少しビハインドしている(遅れている)」と説明した。

 そのうえで、23区などを含めた人口集中地域や、通信品質に対する要望が多いエリアにリソースを優先的に割り当てており、対象地域においては計画を上回るペースで対策が進んでいることを明かした。

 他社との差を詰めるための増設やチューニングが継続して必要であり、現状については「道半ばであると認識している」とした。

 SNSなどで見られる通信品質への不満の声に対しても、「人口集中地域における容量の確保が課題」とし、課題のある場所へスピーディーに対策を施す方針を示した。「年度内」を1つの大きな目標として据えており、進捗状況を早いタイミングで周知していく考えだ。

HAPSとミリ波の活用

 災害時や過疎地での通信確保に向けた取り組みとして、気球型HAPSの実証実験にも注力している。9月から総務省の事業として、石川県能登地方で実証を予定している。従来から取り組む有翼型の機体と比べ、機体を軽量化する制約が少ないため高解像度カメラなどを搭載しやすいという。

 また、手軽に国内から打ち上げ可能で高度もそれほど高くないため、機動性にも優れる。上空からの通信と撮影を組み合わせることで、災害状況の把握やインフラ監視、一次産業の省人化などに役立てていく。

 新たに獲得した26GHz帯(ミリ波)の活用方針についても言及があった。ただちに基地局を展開するわけではないとしつつも、IoT機器の増加やAI活用に伴う将来的なトラフィック増大を見据え、高い周波数帯域でユーザーの通信をさばけるネットワークを準備していく。既存の28GHz帯と合わせて展開していくことで、品質の高いサービス提供につなげていく構えだ。