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ドコモがアジア大会で計38エリアの通信対策を実施、「高所作業車」を使った現場を見てきた

 9月19日~10月4日まで、愛知県名古屋市やその近郊で第20回アジア競技大会(愛知・名古屋2026アジア競技大会、アジア大会)が開催される。アジアの国と地域から多くのアスリートが参加し、メディアセンターなどを含めておよそ57の施設でさまざまなイベントや競技が行われる。

 一方、アスリートの姿を一目見ようと多くの観戦客が訪れる。なかには平時よりもはるかに多いユーザーが来場する施設もあり、そういった場所では、通信キャリアが臨時で基地局を設置するなど対策を進めている。

 今回は、会場の1つである岡崎中央総合運動公園におけるNTTドコモの取り組みを取材した。

高所作業車によるエリア対策

岡崎中央総合運動公園野球場

 岡崎中央総合運動公園は、岡崎市の丘にある運動公園で、体育館や野球場、陸上競技場などさまざまなスポーツ施設で構成されている。最寄り駅の名古屋鉄道東岡崎駅からは自動車で約20分程度と離れており、日頃は市民のレクリエーションや競技会などが開催されている。

 アジア大会では、野球場などが野球競技会場として、9月21日~27日まで利用される。野球場では最大2万人の観戦客を見込んでおり、常設の基地局では、通信状況の悪化が懸念された。

 ドコモでは今回、隣接するグラウンドからバケット(高所作業)車を使って臨時の基地局を設置し、通信環境の改善を図ることにした。

 エリア対策では、車載基地局やコンテナ型基地局をよく見かけるが、バケット車を使った臨時基地局が運用されるケースは少ない。担当者によると、野球場の観客席は高い場所にある箇所もあり、高い場所からエリアをカバーする必要があるという。車載基地局のポールでは力不足であり、今回の取り組みとなった。

地上に降ろされたアンテナ

 バケット車の上には、合計4つのアンテナユニットが備えられている。4G(1.5/1.7/2GHz帯)と5G(3.7/4.5GHz帯)のものが用意されており、さまざまな周波数帯域をカバーしている。一方、Massive-MIMOユニットの搭載は、高所であるが故に重量と通信需要のバランスを鑑み、今回は搭載していない。

アンテナ
どんどん上がっていくアンテナ
最上部の高さはおよそ25mになるという

バックボーンは近隣の基地局から、電源車も

 市街地のイベント会場と異なる装置もいくつか見られた。

 たとえば、バックボーン回線は、近隣の基地局と無線で通信するかたちで確保している。光ファイバーを引き込める環境が周囲にないためだといい、基地局の近くには基地局と通信するためのアンテナが別に用意されている。

近隣の基地局と通信するアンテナ

 また、ドコモでは電源車を配置し、電源車から基地局設備に電力を供給する形にしている。これも、野球場の電源だけでは容量を超過してしまうため、独自で電源を確保している。ドコモ以外にも野球場の周辺には、電源車や発電機と思われる装置が数多く設置されており、国際大会を支える裏側を垣間見られた。

電源車

総勢250人で保守運用にあたる

 ドコモは、本大会で利用される計57の施設のうち、38施設で何かしらのエリア対策を実施している。たとえば、既存の基地局で周波数帯を増やすなどの調整で済む場所もあれば、車載基地局、コンテナ型基地局でエリア対策を実施している場所もある。

 バケット車によるエリア対策は、高さが要求される場所かつ、安全が確保できる広い空間がある場所に設置できる。対策するエリアの環境や実情にあわせて、最適な対策方法をAIシミュレーションも活用しながら計画し、対策を行っており、同社グループ社員総勢250人以上が保守運用の業務にあたっているという。

 今回の取り組みでは、会場が観戦客で満員になっても、ブラウジングや動画視聴ができるレベル以上の体感レベルになるよう、対策を施すとしている。