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NTTモビリティが挑む自動運転、最大の壁「コスト」解消で普及図る
2025年12月17日 14:25
NTTグループで、自動運転サービスの開発・提供を専業とする「NTTモビリティ」が、本格的に始動する。自動運転の導入・運用にかかるコストをおさえたシステムを提供することで、普及を後押しし、2030年代に全国で1000台規模の運行を目指す。
移動の自由を守る
日本では、1年におよそ1500kmの路線バスの路線が廃止されている。ドライバー不足の影響も大きく、日常的な交通手段が失われている地域が拡大しつつある。NTTモビリティ代表取締役社長の山下航太氏は「交通の担い手が減少し、移動の自由が奪われることにつながっている」と危機感を示す。
NTTグループを含めて、さまざまな事業者が自動運転の実証実験を行っているが、実現に向けた課題は山積している。そのひとつには、一般車と一緒に安全に走行できることなどの技術的な面や、全国規模でのサービス展開における人員や設備がある。しかし、最大の課題と山下社長が指摘するのが「コスト」だ。自動運転サービスの導入にかかるコストは大きく、その低廉化は全国規模でサービスの浸透を図るうえで欠かせないと語る。
これまで、NTTグループでは、NTTドコモやNTT東日本など各社が個別に自動運転の実証実験を行ってきた。個別に設計されてきたサービスを統合し、パターン化することで、コスト適正化につなげる。
NTTモビリティでは、全国の自治体や交通事業者などに向けて、自動運転車の車両や統合モニタリングのシステムを提供する。自治体や交通事業者との窓口は、地域密着の強みを活かし引き続きNTT東日本やドコモなどのグループ各社が担う。路線バスやオンデマンドバス、タクシーなどの事業者を想定しており、当初は路線バス事業者に向けてサービスを提供する。
コスト低減とNTTの技術で展開
NTTモビリティが目指す、コスト低減策のひとつにはシステムの共通化がある。異常発生時のモニタリングシステムなど運用体制を共通化することで、維持運営の適正化につなげる。
東京都にあるNTT武蔵野研究開発センタ周辺では、複数の車両やベンダーによる自動運転車の実証実験が計画されている。車両を統合モニタリングシステムで管理する仕組みは、車両のセンサーが異常を検知すると、モニタリングセンターに情報が送られ、自動的に、またはオペレーターが対処する。
ドライバーが不要な自動運転レベル4に向けた取り組み。地域や交通サービス、利用する車両などにより、求められるものはさまざまだが、モニタリングシステムを共通化することでさまざまなケースに対応できるシステムを作り上げる。
また、地域ごとに蓄積されるデータを統合して活用することで、効率化を図るという。将来的には、現在は車両側に搭載されることが一般的な自動運転に関わる走行制御機能の一部を、クラウド上に移設して高価になりがちな車両コストの低減も図る。May Mobility、NAVYA Mobility、ティアフォー、先進モビリティの4社と連携しており、事業者の要望などに応じて選定する。
技術面では、通信技術の安定化で車両内外のモニタリング品質の向上を目指す。モニタリング対象の車両が増えるに従って、大量のデータ通信が発生するが、途切れた場合はモニタリングができなくなる。そうしたリスクを減らすための開発も武蔵野の拠点で進める。













