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「iモード」「FOMA」終了まであと2カ月、ドコモ3G停波のこれまでとこれから

最後のiモードケータイ「P-01H」

 NTTドコモが提供しているフィーチャーフォン向けサービス「iモード」と3Gサービス「FOMA」の終了が3月31日に迫っている。iモードは1999年2月、FOMAは2001年10月から提供されているサービスで、約25年間にわたり日本のモバイル通信を支えた。

 一方で、長期間多くのユーザーが利用したサービス故、フィーチャーフォンに慣れ親しんでいるユーザーやシニアユーザーの4G移行が進まないのではないかと懸念される。このほかにも、決済サービスなど社会インフラへの利用も進んでいたため、社会的混乱が起きないか心配される。同社では、これまでどのような取り組みを行ってきたのだろうか? また、4月以降空いた周波数はどのように活用されるのか?

DMや訪問販売員、郵便局員による移行案内

1月に送付したダイレクトメール

 同社では、3Gサービスを契約しているすべてのユーザーに向けて、段階を踏んでサービス終了の案内を実施している。たとえば、2025年4月~6月には、郵送によるダイレクトメールや電話で移行を促す案内を実施。また、移行に関するアンケート調査を実施し、移行への懸念点や不安点を洗い出した。アンケートの結果は、店舗や遠隔で移行への操作サポートを実施するなど施策に反映し、巻き取りの促進を図った。

 ユーザー本人だけでなく、家族からも移行を後押ししてもらおうと家族向けの施策を実施。たとえば、移行を促した家族に5000dポイントを進呈するファミリー紹介特典や、家族向けにダイレクトメール(7~9月)や年賀状を送付した。家族が集まる盆と正月に合わせて送付することで、移行の相談のきっかけになることを狙ったという。

 10月からは、訪問販売員による終了の案内や移行サポート、郵便局員による訪問を実施。1月からは、あらためて3月に3Gが停波する案内を送付したり、書類による移行手続きを促すダイレクトメールを送ったりしており、今後書留郵便による最終の案内を送付するとしている。

料金プランや端末の開発、割引など

 3Gユーザーが4Gプランにスムーズに移行できるよう、同社では料金プランや新端末の発売、あわせて割引施策を実施している。

 2021年からは、3Gユーザー向けに「はじめてスマホプラン」の提供がスタート。2023年には4G対応フィーチャーフォン「DIGNOケータイ」が発売され、3Gユーザーへの移行をアシストした。2025年には、このDIGNOケータイとAQUOS wish5やGalaxy A25の端末代金を4Gへの移行を条件に割り引く施策を実施。2025年10月以降、らくらくスマートフォンやらくらくホンなどシニア向けの端末割引を実施したほか、5.5万円の割引クーポン券を送付し、費用面でためらっているユーザーの4G/5G対応端末への移行を促した。

 割引対象機種の価格は、ほかの機種と同様に店舗によって異なり、一部店舗では「頭金」と称して端末代金に充てられない販売手数料が含まれる場合がある。ダイレクトメールでは、「my docomo」に登録している店舗の価格を印刷している。コンシューマサービスカンパニーマーケティング推進営業推進担当課長の小疇伸氏は、「DIGNOケータイ」や「らくらくホン」など0円水準としている端末については「ほとんどの店舗が一括0円で提供している」とコメント。ドコモオンラインショップとの価格も併記し、ユーザーが選べるように配慮されている。

 巻き取りの状況について小疇氏は、個人名義の契約においては、4Gや5Gを含めたすべての個人契約全体の0.5%を下回るところまで進んでおり「計画通り」と説明する。法人契約についても、すべての契約法人とコンタクトを取っており、3Gサービス終了について同意をもらっている状態だという。ドコモ回線を利用するMVNO事業者でも、MVNOからユーザーにメールやダイレクトメールなどで終了の案内が進められている。

4Gスマートフォンでも注意、一部iPhoneでの事象は「原因究明には至っていない」

 一方、プロダクトマーケティング本部プロダクト技術部無線テクノロジー担当部長の飯塚洋介氏は、「VoLTE対応端末か? 設定を確認してほしい」と注意喚起する。

 同社では、2010年から4G対応端末を発売しているが、音声をLTEネットワーク上でやりとりする「VoLTE」サービスを2014年6月から開始している。2010年~2014年までに発売された端末の中では、データ通信は4Gに対応している一方、音声通信が対応していない「VoLTE非対応端末」がある。VoLTE非対応端末での音声通話は、3G回線で接続されるため、3Gサービスが終了する4月1日以降、VoLTE非対応端末では音声通話が利用できなくなる。

 また、VoLTE対応端末であっても、設定でVoLTEの設定がオフにされていると、4月1日以降、同様に音声通話ができなくなる。飯塚氏は、4月1日までにVoLTEまたは4G回線による通話の設定をオンにするよう呼びかけた。

 このほかにも、ネットワーク規制中の緊急通報(緊急呼)で、一部のVoLTE対応端末で3Gでしか繋がらない仕様のものが一部であるほか、IIJが「iPhone 16e」などで通信サービスが利用しづらくなる事象を発表している。同社広報は「現時点で具体的な要因には至っていない。IIJや関連各社と連携し、原因の究明や必要な対応策を検討する」としている。

空いた周波数は4Gや5Gへ活用

 3Gサービス終了後、空いた周波数はどのように活用されるのか。

 エリアマネジメント部エリア品質エリア品質規格の見戸直樹氏によると、段階的に4Gまたは5Gへの活用を進めていくという。

 3Gサービスが終了すると、2GHz帯と800MHz帯の20MHz幅分が未使用になる。見戸氏は例として800MHz帯の活用を挙げ、4Gサービスとして利用している帯域幅を拡張するという。下りの帯域15MHz幅を3Gで5MHz幅、4Gで10MHz幅と分け合って使用していたところを、順次4Gが15MHz幅をフルに利用できるようになるため、4Gとしての通信容量を1.5倍にできる。

 800MHz帯は、ほかの周波数よりも建物の中などに電波が浸透しやすいため、屋内での通信環境の改善に期待できると見戸氏は話す。

 一方、2GHz帯への活用については明らかにしなかった。衛星サービスや5Gへの活用などが考えられるが「ユーザーの通信に実するような使い方を進めていく」というコメントに留めた。

他社の移行施策や今後の端末ラインアップ

 ドコモが巻き取り施策を強化する一方、競合他社も動きを見せている。ソフトバンクは、ワイモバイルで3G契約からの乗り換えで端末を割り引く施策を実施。KDDIもauで端末割引、UQ mobileでは3Gサービスからの乗り換えプランを提供するなど施策が実施されている。

 実際、これらのプランでドコモから他社にMNPで移動した数は少なく、影響は軽微だという。小疇氏は、「3G終了のアナウンスからこれまでの約2年間で、移行への課題(端末価格、プラン料金、操作不安、ショップでの手続き)を洗い出し、不安点を解消できている。これらの施策の結果として、他社に移動する(ポートアウト)のではなく、ドコモで引き続き契約してもらえている」と分析する。

 移行機種としては、「DIGNOケータイ」と「らくらくホン」の割合が大きいという。3Gユーザーの多くは音声を中心に利用しているユーザーが多いため、スマートフォンとの2台持ちや友人との通話を楽しむユーザーも多いことから、フィーチャーフォンタイプの端末が支持されている。移行ユーザー向けの料金プラン「はじめてスマホプラン」でも「5分以内の国内通話無料」を含んでいるのもこれらのユースケースを踏まえたものだという。同社では、フィーチャーフォンタイプの端末ラインアップについて「DIGNOケータイの人気など、ユーザーニーズを鑑みながら、販売戦略を検討していく」としている。