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Apple Watchの「高血圧パターン通知」はどんな機能? 緊急時“メディカルID”など

 4日、日本国内でも提供が始まったアップルのApple Watchの「高血圧パターンの通知」。手首から高血圧の兆候をとらえる新機能で、Apple Watchに搭載されている光学式心拍センサーを活用。血管に光を照射して返ってきた波形を機械学習で分析することで、高血圧に関連する特有のパターンを見つけ出す。

 この機能は、すでに高血圧と診断されている患者ではなく、まだ診断を受けていない人が自身の健康状態に気づくきっかけになることを目的としている。そのため設定時には、高血圧の診断歴について確認が行われる。

 ユーザーは普段通りにApple Watchを装着して生活するだけで計測が進み、30日分のデータが蓄積されると分析が行われる。高血圧に関連するパターンが見られた場合には通知が届き、医師への相談を促す案内や、血圧計の利用を勧めるメッセージなどが表示される。

 医師との連携をスムーズにするための工夫も加えられている。ヘルスケアアプリに記録したデータはPDFとして書き出すことができ、診察時に経過を共有しやすくなる。

睡眠の「質」をスコア化し、無呼吸の兆候を検知

 もうひとつ知っておきたいのは、睡眠に関するもの。自身の睡眠状態を直感的に把握できる「睡眠スコア」と、隠れた疾患のリスクを知らせる「睡眠時無呼吸の通知」だ。

 睡眠スコアは100点満点で表示され、「睡眠時間」が50ポイント、「就寝時刻の規則正しさ」が30ポイント、「睡眠の中断」が20ポイントという構成となっている。

 単に長く眠るだけではなく、生活リズムの規則性や途中で目覚めずに深く眠れているかといった点が総合的に評価される仕組みで、スコアの内訳を見ることで改善の手がかりも得られる。

 「睡眠時無呼吸の通知」も注目される機能。睡眠時無呼吸症候群は自覚症状が乏しく、未診断の人が多いとされる。Apple Watchでは加速度センサーを用い、睡眠中の呼吸に伴う細かな動き(呼吸の乱れ)をモニタリングする。

 中等度から重度の睡眠時無呼吸の兆候が見られた場合に通知が届くため、早期の気づきや受診につながることが期待されている。

体調の変化を可視化する「バイタル」

 日々の健康状態を包括的に把握できる「バイタル」アプリもチェックしておこう。「バイタル」では、心拍数、呼吸数、手首皮膚温、血中酸素ウェルネス、睡眠時間の5つの主要指標を一覧できる。

 特徴となるのは、他者との比較ではなく、ユーザー自身の過去データにもとづく「通常範囲」と照らし合わせる点。数値が通常範囲を外れると「外れ値」として強調され、体調不良やストレス、アルコールの影響などが示唆される。

iPhoneが保険証に、医療機関での受付がよりスムーズに

 医療機関での体験を変える機能として、iPhoneでマイナンバーカード機能を利用できるようになった。

 物理カードの場合、カードを取り出してリーダーにセットし、顔認証や暗証番号入力を行うなど手順が多かったが、iPhoneではサイドボタンのダブルクリックでFace ID認証を行い、そのままリーダーにかざすだけで受付が完了する。カードを探す必要も、暗証番号を思い出す必要もなく、より簡単で安全に手続きできる点は利点に挙げられる。

 紛失時にも「探す」アプリから遠隔で機能を停止できるため、物理カードを持ち歩くよりセキュリティ面で安心できる。

聴覚保護と緊急時の備え「メディカルID」

 日常や緊急時の安全を守る機能にも触れられた。Apple Watchの「ノイズ」アプリはマイクで周囲の騒音レベルを測定し、聴覚に悪影響が出る可能性があるレベルになると通知が届く。

 AirPods Proには聴力テストやヒアリング補助の機能が備わっており、ライブ会場などの大きな音から耳を保護する用途にも活用できる。

 さらに、万が一の事態に備える「メディカルID」は、ユーザーが意識を失った際などに、救急隊員や医師がiPhoneやApple Watchからアレルギー情報、血液型、服用中の薬、緊急連絡先などを確認できる。

 ロック画面の「緊急」ボタンをタップするか、iPhoneではサイドボタンと音量ボタン、Apple Watchではサイドボタンを長押しすることで、パスコードを入力しなくても第三者がメディカルIDを表示できる。

 自分自身だけでなく家族の端末にも設定しておくことで、緊急時の迅速な対応に役立つ機能だろう。