スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

EcoFlowの高出力ポータブル電源を4カ月使ってわかった「意外なほどの役立ち度」

1500W出力のEcoFlow「DELTA 2」がスゲくツカエる!!!

 2022年の秋頃からEcoFlow(エコフロー)のポータブル電源を使い始めた。使用機種はEcoFlow「DELTA 2」。容量1024WhでAC最大出力は合計1500W(サージ 2250W)。たいていの家電製品を動かせるハイパワーなポータブル電源だ。

EcoFlowのポータブル電源「DELTA 2」。サイズは40.0×21.1×28.1cmで、重量は約12kg。メーカー直販価格は14万3000円だが、ネット通販でセール販売されることが少なくなく、12万円台で買える。

 この「DELTA 2」を使って約4カ月が経過。当初は「たまに使うくらいかな」と考えていたが、けっこー頻繁に使うようになった。予想以上の汎用性があり、「あっココでもDELTA 2が役立つ」「この用途にも使える」と、なんだかんだで役立ちまくりなのであった。

「DELTA 2」の正面。給電用ポートは、USB-A×2、USB-A急速充電×2、USB-C(100W)×2がある。ディスプレイ上にさまざまな情報が表示される。スマートフォンと無線(Wi-Fi/Bluetooth)接続して、アプリから状態をモニターしたり各種設定を変更したりできる
「DELTA 2」の背面。給電用ポートは、AC出力ポート(100Vコンセント)×6、シガーソケット出力ポート×1(12V)、DC(5512)出力ポート(12V)×2がある。上部には充電用AC100V入力ポートとソーラー充電入力ポートがある

 USB給電ポートやAC出力ポートを豊富に備える「DELTA 2」。でも結局、よく使うのはAC出力ポートこと100Vコンセントだ。

 モバイルバッテリーにも100Vコンセントを備えている機種があるが、あまり高い出力は出せない。だが「DELTA 2」の場合は合計で1500Wまで出せる。なので、ほとんどの家電を動かせる。これが決め手となって「DELTA 2」が「スゲく汎用的に使えるポータブル電源」として役立ちまくっているのであった。

 巨大モバイルバッテリーとしても捉えられる「DELTA 2」だが、実際は高出力モバイルコンセントって感じ。「そうか、移動式コンセントってこんなふうに役立つのか!」と使ってみてあらためて気づいた次第。てなわけで以降、「DELTA 2」についてアレコレ見てゆきたいッ!!!

必要な場所でAC100V出力(コンセント)が使えるのが便利!

 「DELTA 2」はバッテリー容量1024Whのポータブル電源で、電池としてはリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO₄)バッテリーを採用している。リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、従来のリチウムイオン系バッテリーより耐熱性が高く(熱分解が起きにくく)安全性が大幅に高いと言われている。

 で、ヒッジョーに便利なのが「DELTA 2」のAC出力ポート(100Vコンセント)。背面に6つのコンセントを備えており、ここに各種家電をつなげて使える。

背面に6つのコンセントを備えており、合計出力は1500W(サージ出力は2250W)。コンセントプラグがあるたいていの家電製品を使える出力だ

 ちなみにサージ出力(「DELTA 2」の場合は2250W)は、瞬間的に出せる最大出力のこと。電気製品は電源オンの使い始めの瞬間に起動電力として定格消費電力より大きな電力を消費することがある。「DELTA 2」の瞬間最大出力は2250Wなので、つまり「瞬間的になら2250Wまで出せるョ!」てな感じだ。ただし1500W以上の瞬間じゃない出力が続く場合は、「DELTA 2」画面表示にOVERLOAD表示が出るなど、安全機構が働いて電源が落ちる。

 それから「DELTA 2」にはX-Boost機能があり、これが働くと合計出力が最大1900Wになる。ただしこれは実際に「DELTA 2」が1900Wを出力しているわけではなく、家電製品の消費電力を抑えつつ動作させるという特殊な機能だ。「DELTA 2」の定格出力1500Wを上回る家電でも動かせる機能ではあるものの、家電製品本来の性能が出ないことがある。

 とまあ細かく書いたが、率直に「持ち運べるコンセント」があるとスゲく便利♪ まあ持ち運べるとは言っても「DELTA 2」の重さは約12kg。片手で持って玄関からクルマの荷室まで運ぶくらいならできるが、「DELTA 2」を常時携帯とかは無理。

「DELTA 2」の上面。前後に頑丈なハンドルがあり、ここを持って本体を移動できる。重さは約12kgなので、2リットル入り飲料×6本が入った飲料箱を運ぶ感じ。短距離運ぶなら可能だが、長距離運ぶのはまず無理。なお本体上面はフラット(周囲に傾斜のあるフチ付き)で、「DELTA 2」の容量を倍増させる「DELTA 2」専用エクストラバッテリー」やほかのバッテリーを重ね置きしたり、モノを置いたりできる

 重いものの運べるので、「ココでちょっと家電使えたらなぁ」がほぼすべて叶う。「こっちのコンセント周辺はいま散らかってるから、DELTA 2を臨時的にコンセントとして使おう」みたいなことが多々できるのだ。

 これまでやって「意外なほど便利」だと感じたのは、「DELTA 2」でのミシン利用、「DELTA 2」での半田ゴテ作業、「DELTA 2」でのグルーガン使用、「DELTA 2」での充電式家電製品の充電など、イロイロとある。「コンセントがないけどあの家電を使いたい」というのが全部叶いつつ、「そうかDELTA 2があるとこのスペースが新たな作業スペースになるわけか」的に生活がけっこう変わる。

アウトドアでも「DELTA 2」が役立っている

 キャンプがブームになって久しいが、いまどきのオートキャンプには「ポータブル電源が必須」だとか。家族でキャンプすると「やっぱりキャンプの場でも家電を使いたい」ってことですな。一度、屋外ロケでそういう「キャンプで家電利用」を経験したが、確かに便利&快適だった。

 俺の場合はキャンプから遠ざかって久しいが、「DELTA 2」を外で使うことがけっこーある。そして「あーキャンプとか行かなくてもDELTA 2のアウトドア利用は便利だニャ〜」と痛感している。

「DELTA 2」をアウトドアで使うことがけっこうある。その場合は「DELTA 2」をクルマに積んで出かける

 ひとつはバイクの充電。コンセントがない場所にモーターサイクルを置いていて、モーターサイクルにはたまに乗る程度なのでバッテリーが自然放電しがち。エンジン始動時に「あっヤバいか、バッテリーが上がったか?」みたいなギリギリのこともある(冬場はとくに)。

 具体的には、モーターサイクルやクルマのバッテリーを適切に充電しつづける機器を、「DELTA 2」を電源として使っている。そういう機器はコンセントがないと機能しないものが大半だが、「DELTA 2」がコンセントとなるので、どこでも使えるというわけだ。

たまにしか乗らないモーターサイクルを、コンセントのない場所で保管している
そこにコンセントとして「DELTA 2」を持ち込んで……
モーターサイクルやクルマの12Vバッテリーを最適な状態に充電できる機器を使用。オプティメイト(OptiMATE)シリーズの「オプティメイト6(OptiMate 6 Ampmatic)」という製品で、コンセントから電源を取り、12Vバッテリーを充電し続けてくれる。モーターサイクルやクルマのバッテリー上がり防止にとても便利なのだ
モーターサイクル側には12Vバッテリーにつながったコネクターを出している。充電時にはオプティメイトから伸びるケーブルをここにつなぐだけでOK。
「DELTA 2」をコンセントとして使い、オプティメイトでモーターサイクルの12Vバッテリーを充電中♪

 「DELTA 2」をこの用途で使い始めてから、たまにしか乗らないモーターサイクルのバッテリー上がりの懸念は完全に払拭された。ちなみに俺の場合、このスタイルでの充電は2〜3週間に1度程度。オプティメイトは、本来はずーっとバッテリーにつなぎっぱなしにしてバッテリーを充電し続ける(過充電は防止される)製品だが、2〜3週間に1度程度(4〜5時間程度)の充電で俺のバイクのバッテリーはビンビンなのであり問題ナイのである。

 もうひとつ、試してみたら楽しくもあり充実感もあるので、その後ちょこちょこ続けていること。屋外に「DELTA 2」と電気ケトルを持ち出してのコーヒータイム堪能である。

ドライブに行くとき、たまに「DELTA 2」と電気ケトルとインスタントコーヒーセットを持ち出している
単に出先でお湯を沸かしてインスタントコーヒーを飲んでるだけではある。電気ケトルはタイガー「PCM-A081」で、マグカップ1杯分(約280ml)のお湯なら2分弱で沸く
電気ケトルの定格消費電力は1300W。湯沸かし中には「DELTA 2」から1252Wが出力されていた
すぐ沸いた。「DELTA 2」のバッテリー残量は3%減って97%となった
ドライブ先でコーヒー堪能♪ スープやカップ麺も楽しめますな

 クルマを基地として仕事したり移動したりする人は少なくないと思う。そんなところに「DELTA 2」のような高出力ポータブル電源があると、家電を使った簡単な調理ができて、クルマをより充実した基地にできるのではないかと思う。

充電が超速く、スマートフォン連携も充実

 「DELTA 2」を使っていていつも「スゲっ!」と思うのは、充電の速さ。バッテリー切れの状態から「わずか50分で80%まで充電可能」だそうだ。ホントに確かに、「DELTA 2」に対する充電は速く、いつも「もう満充電なのか! スゲっ!」と驚かされる。

ある日、「DELTA 2」のバッテリー残量が30%台へと減ってきたので充電することに
充電開始直後、INPUT(Watts)表示に604の文字が。604Wで充電されていることを示す
充電が進むとINPUT(Watts)表示の数値が増えていく。これは1207Wで充電中を示している。充電開始から約5分後だ
充電開始から約40分後、92%まで充電された。再び入力が抑えられて605Wで充電中なのがわかる

 といった感じの急速……というか爆速充電。「DELTA 2」のAC充電入力は最大1200Wで行われるとなっているが、確かに充電中は入力1200Wあたりの表示がなされていることが多い。

 ちなみに「DELTA 2」には外付けの箱型ACアダプターはない。付属ACケーブルでコンセントにつなげば充電開始。ACケーブルは太めではあるがACアダプターのようには保管場所を必要としないので、充電時もスッキリ使えて気分がいい。

 あとスマートフォンとの連携機能。これがなかなかナイスであり実用性が高い。スクリーンショットとともに説明してみたい。

 これは専用の「EcoFlowアプリ」のスクリーンショットだ。詳しくはリンク先をご参照いただきたいが、スマートフォンと「DELTA 2」などのEcoFlowポータブル電源製品を無線(Wi-Fi/Bluetooth)で接続し、ポータブル電源の状態をモニターしたり、ポータブル電源の機能を設定したりできる。

 現在の出力は? バッテリー残量は? みたいなことがモニターできて興味深いのだが、まあそれは本体の表示パネルにも出るので、「スマートフォンからも見られるんだ」という印象となる。

 興味深いのが入力や出力の設定を細かくできるところ。たとえばAC充電スピード(の入力ワット数)やシガーソケット入力の入力アンペア数などを細かく設定できる。これは「DELTA 2」の充電に使う電源に「どの程度負荷をかけていいのか」を設定できるもので、たとえば「DELTA 2を充電するコンセントで電気ケトル使用中だから、「DELTA 2」への充電は200Wくらいに抑えてブレーカー上がりを防ごう」といったコントロールができる。

 クルマのシガーソケットから「DELTA 2」に充電する場合も、シガーソケットのヒューズアンペア数をオーバーして充電するとヒューズが飛んじゃうので、「このクルマのシガーソケットは5Aまでしか出せないから、シガーソケット入力の項目は4Aにしておこう」といった設定ができる。逆に「このクルマのシガーソケットは10Aまで出せるから、DELTA 2の設定上限の8Aにしておこう」といったコントロールもできる。

 スクリーンショットの「待機」の項目にはAC出力待機時間がある。ここでは「DELTA 2のコンセントが無負荷状態になって何時間したらAC出力をオフにするか、あるいは常時稼働するか」といった設定ができる。たとえば前出の「モーターサイクルのバッテリーを充電しつづける機器」などの場合、機種によっては充電中に1時間くらい電気を消費しない時間がある。そこで「DELTA 2」のAC出力がオフになっちゃうと、その先はバッテリーの充電がされないことになって困る。こういったことを防ぐため、AC出力待機時間の項目が用意されていると思われる。

 こういう設定項目を見ると、EcoFlowポータブル電源の開発者は、ポータブル電源の現実的な使われ方について幅広い知見があるのだと思う。ただ単に「スマートフォンとつなげてアプリで操作もできますョ!」ってだけではなく、ユーザーが「この設定ができてよかった」という、より現実に即した細かなコントロールまで可能にしているのは非常にありがたい。

 ……んんん、お、や? EcoFlowアプリの「ファームウェア」にオレンジのマークが。ファームウェアアップデートがあるのか?

ファームウェアアップデートを見逃していたらしい。え? 2度アップデートされたけど……アプリのアップデートと「DELTA 2」本体のアップデートってこと? よくわからなかったが、無事最新バージョンになったらしい
(おそらくだが)「DELTA 2」本体のアップデート中にはこのような「UP」の表示になるようだ

 てな感じのポータブル電源「DELTA 2」。俺的コンセント生活をけっこう変えてくれて、なんかちょっと楽しいしスッキリ感もあるのだった。問題なく使えており、使用感も機能性も価格を上回るものがあると思うので、興味のある方はぜひジックリとチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。