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「ソフトバンク/ワイモバイル/LINEMOはバランスを取りながら」――キーパーソンが語るブランド戦略

寺尾氏

 ソフトバンクは6日、オンライン専用料金ブランドの「LINEMO」において、新たな料金プラン「LINEMOベストプラン」「LINEMOベストプランV」を発表した。

 説明会にはソフトバンク 専務執行役員の寺尾洋幸氏が登壇し、ソフトバンクやワイモバイルとあわせてブランド戦略などを紹介した。

 本稿では、同氏のプレゼンテーションに加え、質疑応答や囲み取材の様子もお届けする。

寺尾氏

3つのブランドで夏秋の商戦へ

 ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMO、LINEモバイルの契約数の合計は、法人契約を含めて3000万件を突破。毎年約100万件ずつ伸びている状況で、寺尾氏は「引き続き順調に推移している」とコメントした。

 ソフトバンクでは、PayPayとの連携でお得に使える「ペイトク無制限」に加え、「ペイトク30」「ペイトク50」、「メリハリ無制限+」を主力のプランとして提供。端末購入プログラムとしては「新トクするサポート」を提供している。

 「シンプル2」として3つのプランを提供するワイモバイルは、2024年に10周年を迎えた。「ワイモバイルブランドでも1000万以上の利用客を獲得し、ソフトバンクとしてひとつの柱になってきた」と寺尾氏は胸を張る。

 3ブランド間の動きとして、LINEMOやワイモバイルからソフトバンクへ移行する人の数は増えてきているという。寺尾氏は「3つのブランドをうまくミックスし、顧客基盤を最大化しながら、PayPayやヤフー、LINEとの経済圏を広げていきたい」と意気込む。

 新料金プランが発表されたLINEMOは、元々オンライン専用のブランドとしてスタートした。現在でも店頭での案内はなく、オンラインで完結するしくみを採用する。

 寺尾氏は、「オンラインブランドで大切な3つのこと」として、「eSIM」「サポート」「アジャイル開発」を紹介した。

 eSIMでは「本当に苦労した」と寺尾氏。机上でできていることが実際にはうまく動作せず苦労したが、「eSIM開通アプリ」などを開発し改善に取り組んだ結果、eSIMもの申込比率は2021年~2024年の3年で2倍に伸長。今では、LINEMO加入者のうち約4割がeSIMを使っているという。

 サポート体制として、LINEMOで意識しているのは「わかりやすさ」。ユーザーにとって、できるだけシンプルなかたちで利用できるような設計になっている。

 そして、そういった設計を支えるのが、高速で改善を繰り返す開発体制「アジャイル開発」。サービス開始以来、サイトやアプリなどの累計改善数は4200件にのぼる。

 LINEMOでは月3GBの「ミニプラン」と月20GBの「スマホプラン」を提供しているが、「ミニプラン」で3GBを超過してしまう人が「増えてきている」(寺尾氏)。このままではユーザーの不満につながり、解約率が増加するということから、今回の新料金プランが発表された。

 新料金プランの「ベストプラン」「ベストプランV」では、段階制の料金を採用。7月下旬以降の提供開始を目指し、準備が進められている。料金プランの詳細は、本誌別記事で紹介している。

 それぞれのプランで設けられる速度制限について、寺尾氏は「一部、非常にデータを使い続ける人がいる。その部分の制御、利用の公平性、コストの改善を含めて速度制限を入れた」とコメントした。いずれのプランでも、短期解約に対しては契約解除料も発生する。

 寺尾氏は「3つのブランドの料金プランで、夏秋の商戦に向かっていく」と意気込んだ。

質疑応答

――プランの名称が「ベストプラン」ということで、日本語に直すと「最良」「最高」になり、どこかで聞いた名前だという気がする。段階制の料金設定など、楽天モバイルのプランを意識しているように見えるが。

寺尾氏
 「意識していない」って言ったら「そんなことないでしょ」と言われると思いますので。

 ただ、やっぱりうまく伝えなきゃいけないなということで、ネーミングはすごく考えました。オンラインブランドですので、どう名称を付けるかというのは非常に重要じゃないかなと。

 いろいろな複雑な名前を付ける方法もあるんですけど……よく、皆さんから「条件が複雑」とか言われますけど、今回はまったく条件がなくて非常にわかりやすい料金だし、自信を持った料金ということで、ベストプランという名前を付けさせていただきました。

 他社さんについては、「この名前いいのかな」と思うときも多々ありますが、どうも皆さんは「あれでよい」ということになっているようなので、特に私からコメントはできません。

 我々として自信を持ったプランということで、ベストプランと名付けさせていただいてます。

――楽天モバイルは家族向けの割引なども投入している。(新料金プランは)そういう動きに対する対抗というわけではないのか。

寺尾氏
 特定の会社さんだけじゃなくて、全体として競争関係を見ています。

 また、一方でお客様のニーズのほうにしっかり応えていかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。

 我々として先ほど最初3つのブランドのお話をさせていただいたのも、「ただ安くすればいい」ということではないからです。

 通信というのは、長い年月をかけて世代を上げていかなければいけません。3Gから4G、5Gへ。そしてもう6Gの時代が目の前に来ていますけど、こういう継続的な投資ができる環境を作っていかなきゃいけないっていうのが大きなテーマだと思います。

 我々が儲けるとか儲けない以前に、日本の文化や経済が発展するうえで、通信が遅れてしまったら何も進まなくなると思います。

 そういう中でしっかり継続的にできるような体制を作っていくうえで、料金体系や3ブランドの位置付けを作っています。

 全体としてお客さまのニーズに応えることと、もうひとつ、我々が継続的な投資をできる体制を作っていくこと、この2つを意識した料金にしています。

――以前からのやり取りで、(寺尾氏が)段階制の料金に若干否定的な見解を示すことあったと思う。今回は段階制になっているが、心変わりがあったのか。

寺尾氏
 まあ、3ブランド持つとこういうことが起こるんですけど(笑)。

 わかりやすさという意味で、ここはそれほど複雑にならなかったんじゃないかなと思っています。

 一番危惧しているのは、段階制で(料金が)どんどん上がっていって、「980円だと思っていたのに3000円でした」みたいな。そこのギャップの大きさはちょっと気にしながらやっていました。

 3割ぐらいのお客さんはすでに3GBを超えているということを考えると、バランスできるところをやらなきゃいけないんじゃないかなと思っていて、苦しいですけどそういう感じですね。

――(段階制とはいえ)1000円くらいの差だからギリギリ(OK)ということか。

寺尾氏
 そのような感じですね。これはちょっとやってみてということになります。

 一方で、細かく切り刻んでいくと、オンラインブランドでやるとなかなかこうお伝えしにくい。やっぱり1パッケージということで、「ベストプラン」が中心になっていくかと思います。

 「ベストプラン」を中心にして1パッケージで売っていくことが一番わかりやすいんじゃないかなと思って、こういう料金設計をさせていただいています。

――プランを2つに分けた背景にも、今の説明のような理由があるのか。

寺尾氏
 はい。「ベストプランV」のほうは今、「スマホプラン」ということで20GBのプランを出させていただいています。

 2480円(税抜き)という料金で出していて、音声の定額オプションも(別に)提供しているんですけど、ほとんどのお客さまが音声パックも付けられています。それが500円ですので、多くのお客さんが2980円をお支払いいただいています。

 ですから、今回、正確には値下げと言えないと思いますが、2480円の料金と500円(税抜き)の音声定額をほとんどのお客さんが選んでいるので、そこを 2700円(税抜き)でパッケージ化させていただくことで、より使いやすくわかりやすい料金にしました。

 それと、20GBを超えるお客さまがやっぱり相当数いらっしゃいますので、これをカバーするということで、超過した分をオートマチカル(自動化)にすることで、ご不満をなくしていくということをしくみとしてやらせていただきました。

――料金プランの改定ということで、LINEMOについてテコ入れのような意味合いもあるのか。

寺尾氏
 そうですね、テコ入れがなかったらやりません(笑)。

 先ほど申し上げた通り、3つのブランドでそれぞれのポジショニングを取ったときに、ひとりで低容量という部分について、非常に手薄になってきたと思っています。

 家族を含めて考えるとソフトバンクの「ペイトク」やワイモバイルの「シンプル2」でカバーできますが、色塗りしてみると、LINEMOの3GBを少し超えたところが非常に手薄になっていました。

 ここを強化することで、全体として3つのブランドでお客さまのニーズをカバーできるんじゃないかなということで、今回デザインさせていただいてます。

――LINEMOの提供が始まった当初、通話定額オプションは「必要ないのでは」ということで外されていた記憶がある。実際にやってみたら、必要な人が多かったということか。

寺尾氏
 はい、結論はそういうことです。

 「ベストプランV」のほう、今の「スマホプラン」を見てみると、かなりのお客さまが5分定額を付けています。キャンペーン(による割引)を終えてもかなりの方が継続されているので、これを分けておくよりも、シンプルにセットにしたほうがいいんじゃないかということでやっています。

 一方で、「ベストプラン」、今の「ミニプラン」に入っている方は、やはり安さを求められるお客さまが多い。音声定額を付けられない、キャンペーンで1回入っても残られない方が多いということで、ここは差をつけました。

――「ベストプラン」に重きを置いた説明をしていたように見えるが、「ベストプラン」のほうがユーザーが多いからということなのか。

寺尾氏
 はい、おそらく多くなると思います。実際に「ミニプラン」のほうが多く売れていますし、3/4のお客さんが10GB以下ということもありますので、そのへんを狙っていくとすると、市場的には「ベストプラン」が多くなるんじゃないかなと思っています。

――現時点の状況は。

寺尾氏
 今も若干「ミニプラン」のほうが多いです。

――今回は料金改定という感じだが、LINEMOというブランドにはLINE連携が期待されているような気もする。現状はなかなか難しいのか。

寺尾氏
 はい、大変難しい宿題で頑張っています。

 ソフトバンクやワイモバイルでは「LYPプレミアム」というかたちでLINEとヤフーの新しいプログラムを無料でバンドルしていたりしますので、そのへんとの全体のバランスを取りながらやっているというのが正直なところです。

 LINEさんのほうもいろんなご時世もあって苦労しているので、次々何か考えていきたいところですが、今のところこんな状況です。

――何となくのアイデアはあるが、まだ出していないみたいな感じなのか。

寺尾氏
 そうですね。あまり先の話をすると、過去に大反省したので……常にたくさんアイデアを持ってやっています。

――LINEMOの契約数が公表されなくなってしばらく経つ。昨年の説明会では、ワイモバイルの契約数についてある程度開示されたが、この機会にLINEMOも知りたい。

寺尾氏
 しゃべるなと言われてるんで(笑)。

 決算発表などで、ブランド別の色塗りが出ているかと思いますので、そこからご推察いただくのがよろしいかと。

 正直、それほど大きくは伸びていません。店頭のあるワイモバイルやソフトバンクのほうが売れていますので、なかなか増やしきれていないというのが正直な感想です。

――LINEMOだと、5GでNSA(ノンスタンドアローン)しか使えないという案内がある。サービス品質みたいなところで、3ブランドの中で、LINEMOのそういった要件は今後も維持されるのか。

寺尾氏
 SA、スタンドアローンモードについてはソフトバンクブランドだけでご提供させていただいていて、ワイモバイルやLINEMOではご提供していません。

 そこの価値をどうマネタイズしていくかということはまだ検討中です。SAのエリアが狭いこともありますが、最終的にはブランドの価値づけの中で、SAという機能をブランドに当てはめていくのが最終的なゴールじゃないかなと思っています。

 我々が次のジェネレーションへ投資をしていくうえで、一定の収益を確保していく必要があります。ネットワークの将来的なものに対する差別化は、設計していかなければいけないと考えています。

――今回の新料金プランの中で、「LINEスタンプ プレミアム」については(バンドルされず)外れているということで合っているか。

寺尾氏
 はい、今回の料金プランの中で、「LINEスタンプ プレミアム」は外しています。それは事実です。

 この先、「LYPプレミアム」をLINEMOの中にも導入していくことを検討していまして、その中でちょっと整理をしたいということで、今回外しています。

囲み取材

――契約解除料は、やっぱり設定しないとそろそろ面倒くさいという状況なのか。

寺尾氏
 面倒くさいという言い方はちょっと失礼かと思うんですけど、やはり意図しないお客さんは増えています。

――過去に比べて増えてきているということか。

寺尾氏
 はい。特に(電気通信)事業法の改正などもあって、長期契約などそういうものも全部できなくなっています。

 転入して出て、それを次々回していく方がいて、そこは一定の抑止をかけさせていただこうと。

 KDDIさんはご案内されていますが、今回LINEMOでもということで、LINEMOでは当月内の解約だけ解除料を取らせていただいて。業界内で揃えていかなければいけないことじゃないかなと思っています。

 (契約解除料について)一般的なお客さまには一切不利益がないと思います。これ(短期解約)があることで、コストがほかのお客さまに流れるので、ここは是正していくポイントだと思います。

――オンライン専用のLINEMOからスタートしたのは、タイミングの問題なのか、オンラインゆえに導入すべきと考えたのか。

寺尾氏
 オンラインのほうが(短期解約)をやりやすいというか、対面しないので多いっていうのは事実です。

 料金の差も少しあります。(LINEMOは)900円(税抜き)ですので、そのへんの差もあるのかなと思っています。

――今後、ソフトバンクやワイモバイルに契約解除金を導入する予定は。

寺尾氏
 今検討しています。まだちょっと意思決定していませんが、基本的には僕はやるべきだと思います。

――そういう決定は、やっぱり業界全体である程度まとめてというのが望ましいと考えているか。

寺尾氏
 お互い不利益だし、誰のメリットでもないので、そこはできれば合わせたほうがいいのではと思います。

――LINEMOへの「LYPプレミアム」導入を示唆していたが。

寺尾氏
 頑張ります(笑)。

 経済圏をどうしていくかということだと思っています。ソフトバンクやワイモバイル全部含めて、経済圏をどう大きくしていくかっていうのは、グループとしても大きな課題だと思います。

 その中で、「LYPプレミアム」を(LINEMOに)そのまま入れるかどうかはまだ分かりません。

 LINEだけじゃなくて、ヤフーであったりPayPayであったり、ここに我々のお客さまからアクセスしていただく、そこをしっかり作っていきます。

 最終的にお客さまにメリットがありますし、我々としても、(経済圏の)中にとどまっていただいて、お金が回るというのは非常に大きなメリットだと思いますので、そこはしっかりやっていきたいなと思います。

――LINEMOユーザーは、頭の中で「ソフトバンクグループだからヤフーを使おう」みたいなモチベーションがあるのか。

寺尾氏
 我々の課題だと思います。「ソフトバンクとLINEとPayPayとヤフー、みんな(同じ)グループなの?」とよく聞かれます。知らない方も多いと思います。

 我々からちゃんと発信していかないと、「LINEMOってPayPayと関係があるんだ」とつながらない。そういうことも含めて、「LYPプレミアム」をそのまま入れるかどうかわかりませんが、必ず関係付けしていかないといけないと思います。

――3GBをちょっと超えるユーザーが結構いるという話だが、3GBに到達しない人もそこそこいるはず。それを引き上げていく考えは。

寺尾氏
 難しいんですよね、正直。利用促進はやりたいし、昔のフィーチャーフォンの時代はコンテンツで重たくしてデータを使ってもらっていましたが、そういうレベルではありません。

 動画視聴などの習慣がどんどん広がらないとなかなか難しいですが、わかっているのは、年々データ利用量が増えていることです。

 3GBでおさまる人が減っていって、上の容量の人が増えていく、これは時間の問題じゃないかなと思います。僕がワイモバイルを始めた当時、たしか1GBから始めたんじゃないかなと。

 で、あっという間に今、1GBの人は全体の10%もいません。上へ上へシフトしていきますので、僕らのビジネスチャンスでもありますし、そこにちゃんと応えていきたいです。

――「ベストプランV」は5分定額を使う人にとってはお得だが、使わない人にとっては値上げのような気がする。定額オプションは、キャンペーンがあったから何となく使い続けているという人も多いのでは。

寺尾氏
 最初は6カ月無料のキャンペーンで定額オプションに入っていただきますが、7カ月目の前に複数回「継続されますか」というご案内を入れさせていただいています。でも、ほとんど(利用者が)減りません。

 トータルとしては値上げになる方ももちろんいらっしゃいますが、ほとんどのお客さまについては値下げになっているんじゃないかと考えています。

――「ベストプラン」の上限が10GBというのは絶妙な設定のような気がする。かなり考えたのか。

寺尾氏
 3つのブランドをうまくやらないと、どっかになだれを起こしても(まずい)。なだれが上のほうに行けばいいんですが、そんなことにはならないので、そのバランスを一生懸命考えた結果ですね。

――30GB以上を提供しない理由は。

寺尾氏
 ソフトバンクで「ペイトク30」から作りましたので。大容量などのご質問もいただきましたが、ハイスペックや高機能なものは、ソフトバンク側で最初に提供していくのがいいんじゃないかなと思っています。

 もちろんこれは毎度のことですが、「方針変わりましたね」って軽く言われますけど、そのときどきに応じて変えますから(笑)。

――KDDIは「povo」で、オンラインだから複雑にしているような感じがある。一方、LINEMOでは「オンラインだからシンプルになっている」というような説明だった。

寺尾氏
 どうですかね、povoさん。すごくダイナミックに変えられているんで、何が得かがわかんなくて(笑)。詳しい方に向けてはいくらでも複雑なことができて、非常にいいアイデアだと思います。

 何かするとデータがもらえるというのもすごく面白いアイデアだと思っていて、以前僕らの中でも議論したことがあるんですけど、それを伝えるのにすごくエネルギーが必要です。

 ということで、我々は、シンプルなほうがお客さまにとってわかりやすいんじゃないかと。今日は20分一生懸命しゃべりましたけど、(新プランのスライドは)1枚だけですからね。あれでわからないと言われたら、それはわからないものはわからない人でしょう。

 あれくらいシンプルに絞ってみましたので、契約回解除料みたいなところは入れましたが、それ以外はほぼありません。

――ワイモバイルからソフトバンクに行こうとする中で、端末というのは結構大きかったりするのか。

寺尾氏
 ご相談に見えるお客さまはたくさんいらっしゃいます。

 機種の買替えタイミングで、ワイモバイルとしても端末を用意させていただいていますが、もっといい端末を(ソフトバンクの)「新トクするサポート」で安く手に入れられます。

 相談いただいて、ソフトバンクを契約していただき、「新トクするサポート」を使っていただく循環も生まれ始めています。

 特に事業法が改正されたころ、各社ともに下のブランドへガーッと流れ込んでいました。そういうお客さまが(上に)戻ってきたりもしています。

 (ソフトバンクへの移行について)機種が起因となることもありますが、たとえばお子さんがある程度の年齢になってくると、ソフトバンクの中で子供を入れるとトータルとして(利用料が)大きく上がらずに済むこともあります。そういったかたちで、ソフトバンクへの移行が増えているという感じですかね。

――LINEMOで端末は売らないのか。

寺尾氏
 今は計画していません。ときどき、アウトレットのようなことはちょこちょこやっています。試しながら、です。

 端末をやってしまうと、全体がものすごく複雑になってくるんです。しくみのような部分で、案内や設定などのいろいろなサポートが出るので、ある程度セグメントは切っています。

――ソフトバンクオンラインショップは、通信契約なしで端末を買うのに結構ハードルが高かった。今は変わっているのか。

寺尾氏
 (改善)できているはずですが、買いやすいかどうかっていう意味では、LINEMO、ワイモバイル、ソフトバンクの順で難しくなっているので。

 今はもう、端末を別に我々で買わなくても、メーカーさんの直販サイトなどもあります。買い方が増えてきているのは、良い方向なんじゃないかなと思います。

――端末も含めて3ブランドの役割分担ができてきたということか。

寺尾氏
 満点かどうかっていうのはちょっと別です。当然日々改善していかなければいけません。

 ただ、ニーズに応じて我々の3ブランドへ入っていただく中で、最終的には最も高付加価値なものに行っていただきたいという思いはあります。

――「ベストプラン」「ベストプランV」をまとめてひとつにしても良かったのでは。

寺尾氏
 上(「ベストプランV」)を合わせてしまうと競争力がなくなります。合わせて見ていただくと、あれってあまり良いバランスにならないので。

――楽天モバイルについてどう見ているか。

寺尾氏
 常にすごく工夫されているし、いろんなしくみについては、楽天市場や経済圏を活かしながらやっているなと思いながら見ています。

 当然、各キャリアさんを見させていただくと同時に、その中では意識しています。

――オンラインブランドの価値をどう訴求していくのか。

寺尾氏
 3ブランドをどうやっていくかは非常に難しいテーマです。今回はひとりで低容量というところ(ニーズ)をしっかり守らなきゃっていうところで、新料金プランを)作らせていただきました。最終的にどこに着地するか、我々としても勉強しているところです。

 オンラインだけというのは、割とニーズが小さいところもあるので、ちょっとバランスを取りながらやっています。