インタビュー
ソフトバンク寺尾氏が真っ正直に語る、「LINEMO」で月額990円/3GBの新プランができた理由とeSIMの難しさ
2021年7月15日 10:00
15日、ソフトバンクは、オンライン専用料金ブランド「LINEMO」の新料金プラン「ミニプラン」を発表した。
これまで20GB/2728円の「スマホプラン」が提供されてきた「LINEMO」だが、月額990円で、3GBという小容量プランがなぜ登場することになったのか。
今回は、ソフトバンクで、「LINEMO」事業をリードする寺尾洋幸氏からのプレゼンテーションと質疑応答をお届けする。前半は寺尾氏が語ったサービス開始から約3カ月半の「LINEMO」の状況と新プランの狙い、後半は質疑応答となっている。
「LINEMO」の契約増、前年のLINEモバイルの倍以上に
「LINEMOはどんな推移を経てきたのか、今日は正直に話したい」と語る寺尾氏は、3月17日のサービス開始からこれまでの「LINEMO」の契約数について「これまで提供してきたLINEモバイルの倍」とわかりやすく紹介する。
具体的な数字は「今後の決算で(語られるかもしれない)」とした同氏によれば、サービスを開始した3月、そして2021年4月~6月(2021年度第1四半期)の契約増加数は、前年同期のLINEモバイルと比べ、ほぼ倍になったという。
しかしそれでも「ahamoなどと比べるとまだまだの数字感」と寺尾氏。NTTドコモの「ahamo」は5月に100万契約突破を発表しており、LINEMOの利用者数の伸びは、ahamoを下回るよう。それでも寺尾氏は、これまでのLINEモバイルと比べ、大きく伸びた「LINEMO」には手応えを感じた様子だ。
LINEMOの「eSIM」「eKYC」とは
LINEMOの大きな特徴として「eSIM」と「eKYC」を上げた寺尾氏は、特にeSIMに関して苦労を重ねたことを紹介する。
寺尾氏
「さすがにお恥ずかしいところもあった。APNの設定やプロファイル、SIMロック解除、ネットワーク暗証番号と、物理SIMのときにはほとんど引っかからなかったことが問題になった」
寺尾氏が挙げた「APNの設定」「プロファイル」「SIMロック解除」「ネットワーク暗証番号(を忘れる)」は、言葉の意味がわからないユーザーも多く、LINEMOのWebサイトでは、手続きのなかで、よりわかりやすい記述にあらためられてきた。
またプロファイルの設定は、LINEMO開始直後に発覚したもので「オートでiPhoneにプロファイルが入らなかった」(寺尾氏)。
週単位で、改善が進められており、これまで改善した点は400項目にのぼる。
こうした改善により、NPS(ネットプロモータースコア、ユーザーのロイヤリティを測る指標)や、デジタルネイティブ世代(ここでは30代以下という定義)で高い満足度となったことがわかった。NPSについては、サービス開始時の物理SIMに対するスコア(寺尾氏によれば0付近)と比べ、eSIMは当初、マイナス40程度だった。その後の改善で、サービス開始時の物理SIMのスコアを超えるまでになったという。
寺尾氏によれば、「LINEMO」ユーザーの7割近くは30代近くで、若い層が多いとのこと。同じくソフトバンクが展開するブランド「ワイモバイル」は、店舗でのサポートを受けられることもあってか、シニア層が多いという。
「ミニプラン」が目指すもの
新たに発表された新料金の「ミニプラン」は、3GB、そして月額990円という設定になった。
寺尾氏は「『2728円で20GB』は本当に満足してもらえるのか。たとえばLINEモバイルの主流は3GB以下だった」と語り、「ユーザーの6割が3GB」というデータもあわせて示しつつ、LINEMOでも低容量プランが必要だった、との見方を示す。
段階制、あるいは3GB以下なら1000円引きといった形ではなく、既存の「スマホプラン」と分けて新プランを用意したのは、「ユーザーがコントロールできるようにするため」(寺尾氏)。
LINEギガフリーをうたう「LINEMO」で、たとえばユーザーがLINE上で動画を観ているつもりでも、何かの表紙に別のサービス上で動画を観てしまい、うっかりデータ通信量が多くなってしまう――そんな状況を防ぐには、段階制ではなく「3GBプラン」にするほうが、ユーザーにとって安心して使えるというわけだ。
寺尾氏は「段階型の料金も検討した。でもお客様からすると、『使うつもりじゃない』『タダだ』と思っていたら、動画を観てしまって3000円になってしまった、とコントロールできないところがある。そういう部分は(ユーザーからすると)受け入れがたいのではないか」と説明。
もし3GBで足りなければ、20GBのスマホプランに切り替えたり、さらなる大容量であればソフトバンクブランドの無制限プランへの乗り換えもできる、として「LINEモバイルの8割くらいは若い方。コストをセーブしたいという意向は必ずある。意図せず(料金が)上がらないようにして、コントロールできるように、ということで2プラン目を用意することになった」とミニプランを用意した背景を説明した。
ミニプランについて
――新プランのターゲット層は?
寺尾氏
若い人というターゲットからはズレていないと思う。ただ、オンラインに慣れているお客様でないと、難しいところはある。そこはご理解いただいた上でのサービスになる。
サポートについては、ワイモバイルブランド、ソフトバンクブランドそれぞれで、(LINEMOよりは高いプランになるため)もう少しお金出していただければ店頭サポートや無制限プランもあります。
――LINEモバイルからの移行はうまくいってないのか?
寺尾氏
まだ(LINEモバイルから)動かれていない方がいるのは事実。価格差があったので、すぐ動かないとは思っていました。
――LINEMOのスマホプランからミニプランに変える人もいるのではないか。どう影響すると見ているのか。
寺尾氏
スマホプランからミニプランへの変更もある程度想定しています。2割くらいの方は、下のほう(のミニプラン)がいいという方もでてくるでしょう。
市場の6割は3GB以下と言われており、(ミニプランの提供による顧客獲得の)機会が創出されると期待しています。
――超過後のデータ通信速度が、ミニプランで300kbspだが、スマホプランでは1Mbpsだ。その違いの理由は?
寺尾氏
想像の通り、少しでも売上をいただきたいというのは正直なところ。1MbpsはMVNOの基準だと無制限クラス。3GBでも同じ1Mbpsだとコスト的に成り立たなかった。
――3GBと20GBの間に料金を設定する考えはなかったか?
寺尾氏
ミニプランを出してから、(中間のプランを)出すかもしれません(笑)。ソフトバンクとしては、ワイモバイルもあり、LINEMOがある。LINEMOで、特徴づけた料金を作るべきところで、ワイモバイルでは、3GBと15GBのプランがあり、キャンペーンでもう少し容量を増やしている。(LINEMOでは)もう少し上の容量にいくかもしれません。今日の時点では、ワイモバイルで埋めきれていないところに踏み込めた、ベストプラクティスかなと。
たとえばワイモバイルでは、家族での割引、あるいは固定回線とのセット割を適用すれば、3GBで990円になります。しかしLINEMOのミニプラン」では、割引のような前提がありません。ワイモバイルとLINEMOできっちり埋めた(ユーザーニーズをカバーできた)と思っているんです。
――ワイモバイルの3GBプランへの影響は?
寺尾氏
いま、ワイモバイルは50~70代という、初めてスマートフォンを手にするような方が結構増えています。そうした方の多くはSプランの3GBを選ばれるんですよね。
そのワイモバイルでも、お客様の年齢層が下がるとMプラン(15GB)が増えてくる。そうした棲み分けがあります。一番下の料金ではたしかに競合しそうですが、店舗のサポートなどを踏まえると、カバーできる範囲だと思います。
やってみないとわからないことがあるので、反省文を書く可能性は高いんですが、でも(宮内謙)会長と(宮川潤一)社長から「反省文を書いてもいいから行け」ということになりました。
――もっと通信量の多い上のプランに乗り換えるユーザーの動きについては、どう見ているのか。
寺尾氏
ワイモバイルの経験をもとにすると、最初1GBで始め、料金プランの容量を増やしてきました。その都度、お客様の属性は変わらず、利用傾向が変わってきた。使用量は増えているように見えているんですよね。
価格面で受け入れていただいて、LINEモバイルからスマホプランに移った方の利用量はアップしている。
そうしたことから、「たくさん使いたい」というデマンド(需要)はあるように思っています。事業としてはそれを引き出せるか、というところはありますが、お客様は望まれているように見えているのです。
LINEMOはまだ始まったばかりなので、LINEMOから大容量への移行はまだありませんが、ワイモバイルでは、無制限へ移行している方がかなりいらっしゃいます。そういうニーズは間違いなくあると思う。
まずは需要の大きなところに向けて「ミニプラン」をご用意しました。大容量については、ソフトバンクとしてのブランド戦略もありますね。
――ミニプランの影響が直撃するのはMVNOだと思える。
寺尾氏
LINEモバイルからの移行もありますが、楽天さんも意識しています。(楽天モバイルは0円~の段階制プランであることを踏まえ)段階制プランがいいのか、シンプルな形がいいのか、お客様に問うてみたいです。
私どもとしては、低容量で安心して使っていただきたいなと。「気がついたら◯◯円になっていた」というのはよくあることですから。
――NTTドコモの料金プランでは、低容量が手薄のようだ。
寺尾氏
ドコモさんは「エコノミー」なプランを出す、と予告されていましたたが、ずっと秘密のままだと認識している。とはいえ、グループには「OCN モバイル ONE」もあります。メインと、「ahamo」と、OCN モバイル ONEなどが彼らのポートフォリオにある。
政府主導による値下げ効果が4300億円とのことでしたが、そのとおりだと思います。非常に大きな流動が起きている。LINEMOとしても、ワイモバイルとしても、過去最高の流動がありました。お客様にとって料金を検討する機会になったと思う。その中で、我々も一定のシェアをいただいています。
どこかに対して勝ち負けがあったというよりも、全体が盛り上がったかと思います。
――スマホプランユーザーは20GBのうち、どれくらい利用しているのか。
寺尾氏
平均15GB前後でしょうか。結構お客様はしっかり選ばれている。料金プランを複数用意するとちゃんと選ばれています。
――「LINEMOの通信速度が昼と夕方に遅い」という声があるようだ。ソフトバンク回線と品質同じと思っているが、実際はどうなのか。
寺尾氏
品質の差はないと認識しています。
――ということはソフトバンク回線自体が遅い?
寺尾氏
遅い場所や時間があってもおかしくないです。LINEMOだけというわけではなく、ソフトバンクのネットワークにおいて朝の東京駅など、かなり遅い状況になっている。そういうことであればわかります。
LINEMOは、特別なネットワーク制御をしていません。むしろ、そんな器用なことができず困っているくらいです。
――LINEモバイルはSNS、音楽フリーというプランがあり、実質的に容量が多いプランだったと思う。3GBでもSNSデータフリーがあれば、選ぶ人も増えると思われるが提供しないのか。
寺尾氏
検討項目としては上がっていますが、入れませんでした。技術的な課題もいくつかある。キャリアとして継続的に出せるかどうかを含めて検討中です。
LINEモバイルは当面、継続してサービスを提供する予定で、強制的にLINEMOへ移行するようなことは考えていません。もちろん移行してもらえるような施策は考えているが、どれを選ばれてもいいでしょう。
実際のところは、SNS放題を選ばれている人の割合はそんなに多くなかった。LINEフリーの需要のほうが多いのも事実です。
――3GBになった理由は、潜在ユーザー数の多さとのことだが、もっと利用量を高め後押しする施策は?
寺尾氏
データ量と料金は、他社やワイモバイルなどとの全体的なバランスを見て決めました。これに1GB、2GBをプレゼントする、という取り組みは今後の施策として考えられますね。
ソフトバンクとしての取り組み
――AndroidとiPhoneでSIMの差し替えができない状況について、改善する方針だったが、いつ頃になりそうか。
寺尾氏
気合としてはやる方向です。ちょっと歴史が長すぎて、苦労しています。
LINEMOは1つのSIM。ワイモバイルは2種類で、いわゆるSIMのみ契約だとiPhoneでもAndroidでも使えます。
一方、ソフトバンクブランドはたくさんある。ひとつにしたら、何が起こるか……苦労している部隊がいます。過去の遺産が大きすぎて苦労しているんです。
――グループ内での連携として、PayPayのキャンペーンで、LINEMOだけ特典が異なることがある。LINE PayとPayPayの統合が予定されているなかで、PayPayとの連携はどうなる?
寺尾氏
今決まっていることはないのですが、やらなきゃいけないテーマです。来年4月、LINE PayとPayPayの統合も発表されていますよね。それに向けてLINEブランドを関するサービスとしては取り組まねばならないなと。
でも、LINEとのシナジーがこれから。ようやく通信部分の土台ができてきました。次のフェーズとして「LINEとのシナジーをどうするか」が大きなテーマと捉えています。
LINE PayとPayPayの統合が予定される中で、マーケティング的に乗ったほうがいいので順次対応したい。しかし、特典は違いが出るでしょう。料金などの組み合わせで決めていくことになるでしょうね。
eSIM関連
――eSIMの契約比率と、eSIMの利用についての受け止めを聞かせて欲しい。
寺尾氏
直近ではLINEMO契約数の2割くらいがeSIM。サービス開始当初はもっと高かった。
最初に説明したとおり、僕らがやったら(eSIMの手続はスムーズに)できる。たとえると、1番~10番までの手続きを順に進めていただければいいんですが、誘導や案内、配慮が行き届かず、「1番」の次に「2番」の手続きではなく「4番」ができるようになってしまっていた、という状況でした。その結果、ご迷惑をおかけしてしまいました。
「eSIM」について、即時開通することについては、非常にポジティブなこと。販売する側としても、その場でクロージングできることはポジティブです。
でも失敗した後のフォローがしにくいのもeSIM。
もうちょっとやり方とか工夫できる余地はある。海外の事例で簡単な方法も出ており、我々も研究してやっていきますよ。
でもたとえばeKYCで「ウィンクしろ」とか、いろいろ(手間になる部分が)ある。そういうものがなければ法的にクリアできないので用意しているが……どっちが楽かは、お客さんの行動によるところがある。
eSIMは、昼夜関係なく、使えるようになる。MNPは時間がかるが、挿せば、あるいは届けばすぐ使えます。とはいえ、切り替えはeSIMだと設定可能な時間もある。一長一短あるなと。
(総務省でeSIMが)すごく推奨されていますけど、誰か成功してくれたら一生懸命真似して同じレベルにしていきたい。
――eSIM導入時に苦労したとのことだが、どういった施策の効果があったのか。
寺尾氏
一番は、オートでプロファイルをダウンロードできるようにしたことだと思う。
こんなに話していいのかというくらい正直に話しているが、eSIMで、お客様がつまづいたところは「APNの設定」「プロファイル」「SIMロック解除」「ネットワーク暗証番号(を忘れる)」、この4つなんですね。
初日、システム的にバグもありまして、それはすぐ直したんですが、「知られていない単語」は、言葉をひとつひとつ直しました。初期の段階では、ワンタイムパスワードを送ったあと、ネットワーク暗証番号を入力して、という流れでした。しかし「ネットワーク暗証番号」もよくわからない、ということで、現在はなくしています。
「SIMロック解除」はどうしようもないんですが、無くす方向にしています。今は「SIMロック解除をご確認ください」と案内し、どこのサイトで、どういう手順で、というのをご紹介しているようにしています。
リテラシーの高い人であればわかる言葉を修正していくことで、NPSも向上していくことができました。NPSがぐっと上がっているのはプロファイルの自動インストールといった対策の効果でしょう。
――LINEMOへ移行しているのは、自社内が多いのか。
寺尾氏
具体的な割合は勘弁してほしいが、ソフトバンクから来ている人が多いです。他社も同じだと思いますね。やはり政府の料金政策があらためて料金考える機会になったかなと。
――ワイモバイルでもeSIMを展開しているとのことだが、トラブルはなかったのか?
寺尾氏
実は同時に始めたが、スロースタートでした。LINEMOの反省を活かして静かに立ち上がったんです。
LINEMOでは、当初、WebサイトでeSIMと物理SIMを並列でご紹介したら、かなりの方がeSIMを選ばれた。しかし初期段階ではリテラシーが高い人向けになっていた。
ワイモバイルは当初から、Webサイトの下のほうに置いて、お客様が頑張って探さないといけないようにしていました。プロダクトマネジメントのチームがスタートをコントロールした形です。
――現時点では、eSIMの割合をどうしていきたいと考えているのか。
寺尾氏
eKYC(オンラインでの本人確認)をしっかりやっていただいて、QRコードを読み込む。この2つが、(手続き上のハードルとして他のサービスとの)差分になっていると思います。QRコードを読み取るという手続きがどこまで受け入れられるのか。
eSIMでは、場合によっては、スマートフォンに2つ、SIMを装着する状況になります。ひとつのSIMを先に外しておくと、より安定して手続きを進められるでしょう。小さな事故としては、(別SIMの)相手方のプロファイルを参照しようとする、というものもありましたから。
海外の事例をみてもまだ模索しています。もう少しこなれる必要がありますね。
――eSIMの発行手続きは24時間対応になるのか。
寺尾氏
eSIMは21時まで対応です。実は……ソフトバンク内に、恐竜みたいなシステムがあるんです。そこでメンテナンスタイムなど設計の問題がある。つまり内部としては、24時間動かせる体制ができるかどうか。
MNPについては、事業者間の時間の取り決めがあります。その関係で、夜中は切り替えられません。
――MNPはともかく再発行は夜間もできると便利そうだが……。
寺尾氏
物理SIMのほうがいいでしょう?(笑)。こういうところなんですよね。eSIMはシステムとハードリンクしちゃう。
システムがだめと言われれば、そのとおり。フロントエンドとバックエンドのコントロールという指摘もあるでしょう。
いま、スマートフォン側はほぼnanoSIM。なので、SIMだけの契約なら、物理SIMであればどの機種でもいけるので簡単は簡単。なにも考えずに挿せば終わり。物理SIMとeSIMのどっちを推すかといわれれば悩みどころです。
たとえばeSIMを申し込んだ後にメールが届かないという事故も起こり得ますよね。一生懸命(総務省が)推されているので、どう見られているかなと思います。
――eSIMの開通成功率は?
寺尾氏
現在は物理SIMと変わりません。
正直に話しすぎかもしれませんが、サービス開始当初は、何回も申し込む方がたくさんいました。
うまく連絡がつかず、開通率が落ちていたんです。それは修正した点のひとつ。何回も申し込まないでと。
今や開通率は物理SIMもeSIMも同じですが、違いはあります。物理SIMだと強制開通というか、開通した状態でお送りします。一方、eSIMはタイマーがあります。一定時間、作業しない方はいらっしゃいますので、強制解約するようにしています。
――eSIMはやりたくなかった?
寺尾氏
僕はやりたかったんです。でも急いでやってはいけなかったなと。
ただ、オンラインの販売比率が今、どんどん上がっています。やはり早く届けることには価値があるのでやりたかったことなんです。思っていたよりも申込みが多くドタバタした。
全員(eSIMを)やるべきかどうかというと、若干疑問視しています。
――総務省は、eSIMを乗換促進策にしようとしている。効果はあると思うか?
寺尾氏
一定のニーズはあるでしょう。乗り換えの機会が増えれば、当然、需要は増えますから。
とはいえ、無理すべきかどうか。店舗のサポートが必要な方もいらっしゃいます。
eSIMは、ほぼ店舗のサポートなしで手続きしていただくことになります。ネットで進めてQRコードを読み込んでという流れ。そこは結構難しいところがあります。
もちろん(キャリア間を)動く方にとっては、楽になったんじゃないかと思いますね。