インタビュー
「LINEMO」は常に進化させていくブランド、ソフトバンク寺尾氏に今後の考えを聞いた
ソフトバンク寺尾氏グループインタビュー
2021年2月19日 06:00
ソフトバンクが3月17日から提供開始するオンライン専用ブランド「LINEMO(ラインモ)」。20GBのデータ容量が、月額税抜2480円、税込2728円で利用できる。
eSIM対応やeKYC導入などのほか、一部のLINEサービスのカウントフリーやLINEスタンププレミアム(ベーシックコース)の無料付帯などLINEのサービスとの連携が注目される。
今回は、同社常務執行役員の寺尾 洋幸氏のグループインタビューの内容をお伝えする。
発表会の質疑で「他社との違いは、LINEとのシナジー効果(相乗効果)があること。LINEのサービスをもっと使いやすくするブランド」とコメントした寺尾氏に、「LINEMO」のブランド展開や、今後の対応方針などを聞いた。
「LINEMO」のサービス内容
――「LINEMO」の内容について、ネットワークは“混雑時も含めて”ソフトバンクと同一のものか? 対応端末の発表や「LINEMO」から端末の販売はないか?
寺尾氏
ネットワークは、“混雑時を含めて”ソフトバンクと同一のものを提供する。
端末については、現在検証作業を進めている。基本的にはワイモバイルと同じものが使えると考えている。一部検証に時間がかかっている端末があるが、3月上旬には対応端末を発表できる予定。
端末セットの販売などは、現時点では何も決めていない。MVNOのLINEモバイルはほとんど“SIMのみ”で契約されている。オンライン専用の「LINEMO」で、どの端末を用意したらいいか今試行錯誤しているところ。また、販売方法も、割賦販売などのオンライン受付は、複雑になってしまうことを考えると難しい。
――通話定額などのオプションは、これまで通りオプション契約をする方法で申し込むのか、(KDDIのpovoのように)アラカルト型で申し込むのか?
寺尾氏
悩んでいる。
さまざまな料金システムの開発があるが、どこまでユーザーにわかりやすく使ってもらえるかわからない。理解が難しくならないように、ユーザーに必要だと思う部分はフレキシブルに対応していく。
――家族割が対象外だが、家族での契約は重視していないのか?
寺尾氏
「ブランドをまたいだ契約数のカウント」は、技術的に不可能ではないが、ブランドごとにセグメンテーション(区分)することを重視した。
ユーザーへのわかりやすさ、シンプルさを考え、見送った。
緊急時のサポートやeSIM対応
――店頭でサポートぜず、LINEでサポートするとのことだが、端末の紛失故障時など困る場面は多い気がするが……
寺尾氏
サービスイン時点では、店頭サポートはやらないが、緊急時のサポート体制は議論しないといけないと思う。
販売は、ブランドごとにしっかり分けるが、ユーザーサポートについては、今後なにかしらの案内をするつもり。
――eSIMとeKYCの組み合わせで即日開通できるというが、具体的にどのような方法で開通するのか?
寺尾氏
(ソフトバンクとして)eSIMは初めての経験なので、試行錯誤中だが、「eSIMを端末に登録するQRコードや文字列」をメールで送付する方法を考えている。
本田翼続投
――「LINEMO」のイメージキャラクターとしてLINEモバイルに引き続き本田翼を起用しているが、LINEモバイルのブランドイメージを引き継いだものか?
寺尾氏
本田さん、可愛いですよね
――(一同笑い)
寺尾氏
彼女のイメージがLINEのイメージに合っていると思う。LINEMOのCMについて、LINEのブランドイメージを引き継いだほうがいいと判断し、メインキャラクターとして引き続き依頼した。
今後の「LINEMO」のサービス展開
――ヤフーとLINEの統合が3月に控えているが、統合後にサービスが変わることはあるのか?
寺尾氏
(統合に関して、直接関わっていないが、)統合の結果ヤフーやLINEのサービスに変化があればそれにあわせて対応していく。
――オンライン契約の比率を上げる取り組みとして、どのようなことをしているのか?
寺尾氏
「LINEMO」のオンライン契約システムは、ワイモバイルのノウハウを相当入れている。ワイモバイルは、実店舗中心のブランドと見えているかもしれないが、オンライン契約が年々倍々に増えてきている。
取り組みの一つとして、脳波を測る機器を付けたユーザー役に申込画面を触ってもらい、ストレスを測る取り組みを行っている。たとえば、住所の入力欄で「全角指定」のフォームだった場合、ストレスで測定画面が真っ赤になる。
実施している取り組みに効果があるかはわからないが、さまざまな取り組みでeコマースが広がるのも時間の問題だと思う。
ソフトバンクや他社からの移行
――LINEモバイルからの移行やソフトバンク、ワイモバイルからの移行、他社からの移行予想はあるか?
寺尾氏
具体的な数字は差し控えるが、一定量はあると見ている。
20GBで2480円(税抜)は魅力的な値段だと思っており、(ソフトバンクや他社の)大容量プランからの移行は特に多いのでは(とみている)。
今後、SIMロック解除手続きの簡略化も検討している。
――ソフトバンクから「LINEMO」に移行するにあたり、キャリアメールなど色々ないものがある。ないものについて、ユーザーが自身で判断してもらうのか、ソフトバンクからの移行時に、ソフトバンクからアナウンスするのか?
寺尾氏
(ソフトバンクから)伝えないといけないと思っている。設計中の申込みUI(ユーザーインターフェース)に反映させたい。
――MVNOのLINEモバイルは今後どうなるのか? LINEモバイルから「LINEMO」への移行特典など考えているのか?
寺尾氏
移行特典は、検討している。
現在LINEモバイルのユーザーは、3月の「LINEMO」スタート以降もこれまで通り使ってもらえる環境でサービスを提供していく。これまで支えてきてくれたユーザーを大切にしないといけないと感じており、当然LINEMOへの移行案内はしていくが、(通信)品質を落とすことなく、満足してもらえるものを提供する。
魅力的な価格の「LINEMO」への移行時に嫌な思いをさせないようにしていく。
――PayPayとの連携はあるか?
寺尾氏
検討はしていくことになると思うが、サービス開始時点では連携予定はない。
昨年からの携帯料金に関する動きについて
――昨年からの携帯料金引き下げに関して、どのように感じているか?
寺尾氏
久々に死ぬかと思った(笑い)。
ワイモバイルやウィルコムから、通信を安くすることに携わってきたが、(昨年からの動きで)ユーザーに向かい合えたのではないかと思う。
SIMロックやeSIMなど、反省しないといけない点があった。生活のインフラとなってきている通信を、しっかりと皆さんに使ってもらえるように、ユーザー一人ひとりに何らかの方法で通信を使ってもらえる環境ができたと思っている。
「LINEMO」は、サービス提供後も常に進化していくサービスで、ウィークリー単位での開発手法も取り入れている。
UIについても、水面下で汗を流して常に進化させていく。ワイモバイルとLINEモバイルのノウハウを全力注入していくので、期待してほしい。