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ソフトバンクとグーグルが志摩市のDX化に向け連携協定を締結、生成AIを活用した自治体業務のデジタル化を進める

左から、ソフトバンク 常務執行役員の三宅 富男氏、グーグル・クラウド・ジャパン パブリックセクター営業本部 本部長の和泉 綾志氏、志摩市長の橋爪 政吉氏、衆議院議員の鈴木 英敬氏

 ソフトバンクとグーグル・クラウド・ジャパン、三重県志摩市は13日、志摩市のDX推進と地域活性化に冠する連携協定の締結式を実施した。

 今回の連携協定では、志摩市の行政サービスにGoogle Cloudやグーグル(Google)の生成AI(Vertex AIやGemini for Google
Workspace)を導入し、行政業務の効率化とそれに伴う住民サービスの拡充を図る。これまで、ソフトバンクと志摩市がDX推進の取り組みを実施しており、今回グーグル・クラウド・ジャパンを加えた3社で新たに協定を締結した。

 なお、グーグル・クラウド・ジャパンが自治体とDXに関する連携協定を締結することや、自治体がGemini for Google Workspaceの実証を行うのは、ともに志摩市が国内初だという。

立会人として衆議院議員の鈴木 英敬氏も参加

衆議院議員の鈴木 英敬氏

 締結式には、立会人として衆議院議員の鈴木 英敬氏も参加。鈴木氏は、志摩市が国内初の取り組みを実施することに触れ「誇りに思う連携協定」とコメント。

 また、自身が自民党のサイバーセキュリティやWeb3のプロジェクトチームに関わっており、GIGAスクールなどへの取り組みを踏まえ「デジタル世界はとにもかくにも官民連携が重要」とし、今回の連携モデルが全国に発信され、地域の活性化や次世代の子供たちの未来が見える形を祈念するとした。

減少し続ける人口と、変わらない財政

志摩市長の橋爪 政吉氏

 志摩市長の橋爪 政吉氏は、志摩市の現状について「年間約800人くらい人口が減っている状況だが、市の財布は変わらない」とし、税収が減少しても市の規模が変わらない現状を説明。このギャップを埋めていくためには、デジタル技術を活用した市民サービスを提供していくとし、「デジタル技術の活用は一丁目一番地」と、DX化の取り組みを推進していく姿勢を示す。

 具体的には、職員の業務効率化や経費の削減を実施し、別の市民サービスに変換していくことを進めるとした。

業務効率化を実現できるコラボレーションツール

グーグル・クラウド・ジャパン パブリックセクター営業本部 本部長の和泉 綾志氏

 グーグル・クラウド・ジャパン パブリックセクター営業本部 本部長の和泉 綾志氏は、Google Cloudについて「長くコンシューマーサービスを提供してきたグーグルのインフラ技術やテクノロジーを開発者向けに提供する」、Google Workspaceを「イノベーションを起こすためのコミュニケーションサービスとして、社内向けのものを一般に提供しているもの」とそれぞれ説明。今回の取り組みで、市政のサービス向上に貢献していきたいとする。

 また、生成AIに関しても、グーグルは長い期間、チップセットから取り組みを実施しているとアピール。

 同社では、デベロッパー向けのものと、グーグルのサービスに組み込みユーザーがすぐに生産性向上ができるようなAIサービスをラインアップ。さまざまな素材から実際に記事を作成できたり、Web会議アプリのGoogle meetでリアルタイム翻訳が表示されたり、自治体の業務においても生産性向上と住民サービスの向上に寄与できるとした。

ソフトバンクのサポートや技術も活用

ソフトバンク 常務執行役員の三宅 富男氏

 ソフトバンク 常務執行役員の三宅 富男氏は、同社がグーグルの「プレミアパートナー」として、長年の関係があると説明。

 これまでも志摩市とは、DX化に関し2022年4月に連携協定を結んでいたといい、法人事業統括 公共事業推進本部 本部長の柏木 陸照氏は、トータルで志摩市のDX化に取り組んできたと説明。

法人事業統括 公共事業推進本部 本部長の柏木 陸照氏

 今回の連携では、ソフトバンクがGoogle Workspaceの提供からメンテナンスを含めて担うほか、Chromebook端末の導入からサポートまでを担う。

 また、ソフトバンクのグループ会社の技術も取り入れたサービスを実施する。たとえば、JCVの顔認証技術を利用し、Workspaceへのログインを顔認証でできるようにする。これらの新しい取り組みを段階的に進めながら、約1年間をかけて丁寧に導入を進めていくとした。

JCVの顔認証技術を利用し、Workspaceへ顔認証でログイン。1つの端末でユーザーの切り替えもできる

まずは志摩市の導入を成功させること

 ソフトバンクとグーグル・クラウド・ジャパンが連携して、今回のような自治体のDX化を進める予定はあるか? という問いに対して、ソフトバンク 三宅氏は、「全然まだ決まっていない」とコメント。まずは、志摩市での導入を進め、ほかの自治体からの声を待つことになるとした。

 グーグル・クラウド・ジャパン 和泉氏も「ソフトバンクとはすごく高いパートナーシップを組んでいるため、まずは志摩市の取り組みをしっかりと成功していくところが大事」とコメントした。