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防災のデジタル化へ、ソフトバンクが会津若松や竹芝で進める取り組みとは

 地震や洪水などの自然災害が発生した際は、命を守るため、避難行動などにおいてすみやかに正しい判断を下すことが重要になる。ソフトバンクでは、防災領域にデジタルの力を取り入れる、いわば“防災のデジタル化”に関する取り組みを続けてきた。

 今回、同社が進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)について、法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部 会津若松デジタルトランスフォーメーションセンター センター長の馬越孝氏と、同本部 スマートシティ事業統括部 スマートシティ事業推進1部 部長の関治氏が紹介した。

左:馬越氏、右:関氏

会津若松での取り組み

 馬越氏は「自然災害をはじめとして日本には多くの課題があるが、社会構造を変革するための基盤がない」とコメント。そこでソフトバンクでは、次世代のデジタル社会基盤を構築し、今回の防災などさまざまな領域でDXを推進する取り組みを進めている。

 高齢化率が30%を超えており、全国平均と比較して高齢化が進む福島県会津若松市。政府による「デジタル田園都市国家構想推進交付金」のタイプ3に採択され、スマートシティ化が進められている場所でもある。

 ソフトバンクはこの地における防災の取り組みとして、アプリ「会津若松プラス」のなかでさまざまな防災情報を提供している。位置情報を活用したデジタル防災サービスとして、利用者にとって最適な避難行動を促す。

 また、自治体向けのツールも用意され、市民の安否確認などに活用できる。

「会津若松プラス」におけるデジタル防災サービス
「会津若松プラス」では、地域の情報が提供されている
災害時、避難所などの情報もチェックできる
自治体向けのツール

 「デジタル防災を単体でやるのではなく、ヘルスケアサービスや物流との連携にも取り組んでいる。さまざまな領域の垣根をこえ、ひとつひとつ地道にやっている」と馬越氏は語った。

竹芝での取り組み

 街づくりにおけるデータ利活用の課題として関氏が挙げたのが「横断的にデータを活用できるようになっていないこと」。ソフトバンクでは、ビルと社会インフラとでデータが異なるような状態を解消し、街全体でデータを活用できるよう取り組む。

 同社はスマートシティプラットフォームを開発し、東京・竹芝エリアで運用してきた。ビル内に1400超のセンサー、街区で防犯カメラなどを設置し、人流データなどを取得。港区や竹芝エリアマネジメントと連携し、交通の利便性向上や防災力の強化を図っている。

 防災DXが目指す世界として、関氏が紹介したフレーズは「もしもの時に全ての人が正しい行動ができる」。街の情報をひとつのプラットフォームに集約し、リアルタイムに街の管理者や住民に届けることで、最適な行動が取れるようサポートしていく。

 プロトタイプとしては、LINEを活用した災害情報の配信サービスと、管理者が被害状況を容易に把握できる情報統合サービスの2つを開発。住民の適切な避難行動や防災業務の効率化に関する検証で、一定の成果をあげている。

LINEによる情報配信の例
管理者向けツール。さまざまなサイトの情報がひとつの画面でチェックできる。情報の一斉配信機能も用意されている

 関氏は「竹芝での取り組みを、ほかの都市にも展開していきたい。また、事業の拡大も図っていければ」と語り、今後への意欲を見せた。