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KDDI・ソフトバンク・楽天の3社、NTT法めぐり「廃止ではなく改正で議論を」

 KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの3社は、あらためてNTT法をめぐる議論について見解を発表した。NTT(持株)が7日、決算会見にあわせて示した主張に反論する内容となっている。

 11月7日、NTT(持株)の決算会見で、NTT代表取締役社長の島田明氏は、NTTドコモとNTT東西を統合する考えはないこと、電電公社時代に全国各地で設けられた管路や洞道などの資産はNTT民営化により政府、そして民間が保有する形になっていることなどを説明。ユニバーサルサービスである固定電話の提供や、外資規制などについて同社の主張をあらためて解説した。10月19日の会見では、島田社長は、NTT側の主張に応じた変更が取り入れられれば、結果として、NTT法が廃止されることになるとの見方を示していた。

 3社があらためて発表した見解は、11月7日の島田社長の主張を踏まえたもの。たとえば、NTT東西とNTTドコモの合併禁止について、NTT側が「電気通信事業法で対応できる」とするのに対して、3社は「NTT法の規制範囲は、NTT東西とドコモの合併禁止だけではなく、より広い内容で、電気通信事業法での対処は現実的ではない」「規制逃れの懸念がある」と反論。

 また、ボトルネック設備とも言われる公社時代から引き継がれている洞道・管路などの資産について、NTT側は株主が保有するもの、としている点については「NTT東西が保有し、その100%株主が持株である以上、株主に資産が帰属すると言えるのは会社解散時」としている。

NTTの主張3社の認識
公正競争NTT東西とNTTドコモの合併禁止は、電気通信事業法の禁止行為規制で対応可能であるNTT法の業務範囲規制は、NTT東西とNTTドコモの合併禁止のみならず広範な規制効果を有しており、電気通信事業法での対処は現実的ではない
市場シェアに基づき規制対象の事業者が定められる電気通信事業法の規制のみでは、規制逃れの懸念があり実効性に欠ける
ユニバーサルサービス義務光IP電話はユニバーサルサービスの対象外である光IP電話が対象外なのは、あくまで電気通信事業法のユニバーサルサービス制度においての位置付けであり、NTT法のユニバーサルサービス義務の対象は全世帯(6,000万回線相当)で、光IP電話を利用中のユーザーも保護対象
特定の条件が整えば、NTT東西としてラストリゾートを担うNTTが求める特定の条件は現状整っておらず、NTT法を廃止した場合には全国あまねくサービスの提供・維持が保障できない
外資規制外資規制は主要通信事業者を対象化することが必要であり、実現方法は外為法だけでなく、その他の法令等を含めて検討すべきNTTの特別な資産は、他の通信事業者の設備と同列に扱えるものではなく、NTT法による外資規制が有効であり、また外為法強化による代替は困難
モバイル事業者にも経済安全保障推進法は適用見込み
海外との比較主要国においては、特殊法人法を廃止している特殊法人法の有無は、各国固有の競争政策と競争構造の違いによるものであり、日本は特殊法人法を廃止するための前提条件が整っていない
公社承継資産民営化時に公社承継資産は株主である政府に帰属したもので、現在は株の持ち分に見合い、民間も含む各株主に帰属する公社承継資産はNTT東西が所有し、NTT東西の株主はNTT持株(100%)である上、会社保有の資産が株主に帰属すると言えるのは会社解散時である