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スマホとイヤホンがWi-Fiでつながる、クアルコムの「XPAN」がもたらす新しいオーディオ体験

 ワイヤレスイヤホンとスマートフォンなどをWi-Fiで接続するクアルコムの技術「XPAN」が広がりを見せそうだ。スマートフォンを部屋におきっぱなしで家の中を歩き回っても、ワイヤレスイヤホンからの音楽が途切れることはなくなるという。28日、クアルコムがその技術や展開について報道陣向けに説明した。

クアルコムのリファレンスデザインのイヤホン

BluetoothとWi-Fiで高音質化

 XPAN(Qualcomm Expanded Personal Area Netowork)は、同社のサウンド技術「Snapdragon Sound」に含まれるもののひとつ。BluetoothとWi-Fiの組み合わせで、より高音質なサウンドを実現する。

 BluetoothとWi-Fiの両方を端末とイヤホンの接続に用いていることが特徴で、クアルコムではXPAN対応イヤホン向けに、極小電力のWi-Fiチップを開発。消費電力としては従来のBluetoothイヤホンと遜色ないレベルという。

 ペアリングの手順は通常のBluetoothイヤホンと違いはない。しかし、クアルコムでプロダクトマネージメントを担当するナイジェル・バージェス氏は「音楽を再生してみると(通常のワイヤレスイヤホンと音質に)違いがある」と自信を見せる。XPANは、最大で96kHzのロスレスオーディオの再生に対応しており、将来的には192kHzでの再生を目指している。

 同技術を採用したデバイスとしては、すでに中国シャオミの「Xiaomi 15 Ultra」と「Xiaomi Buds 5 Pro」(Wi-Fi版)が市場に登場している。

家のなかでスマホを持ち歩かなくてもOK

 XPANによる恩恵は、音質だけではなく「Whole Home Coverage」を実現できることにある。スマートフォンなどの端末間とP2Pで接続して高音質な音楽を楽しめるほかにも、アクセスポイントを介してイヤホンと端末を接続できる仕組みを備える。

 端末とイヤホンの距離が離れると、自動的にイヤホンがアクセスポイントにつながる。これにより、自室にスマートフォンをおいたままでも、イヤホンからの音楽が途切れることなく自由に宅内を歩き回ることが可能になる。

 加えて、ジムで音楽を聴きながら運動をするときにも、Wi-Fiにつながってさえいれば、スマートフォンをロッカーにおいたままワイヤレスイヤホンで音楽を聴きながら、ランニングなどができるようになるなど、自宅内にとどまらない利便性の向上が期待される。バージェス氏は「XPANによる画期的な機能。将来的にも多くのアイデアがある」と話した。

クアルコムのリファレンスデザインの端末

 報道陣向けに公開されたデモでは、クアルコムが用意したリファレンス端末で、スマートフォンがある部屋から立ち去っても、アクセスポイント経由でイヤホンとスマートフォンが接続される様子が公開された。

クアルコム ナイジェル・バージェス氏

 Snapdragon Sound自体は、すでに100以上のメーカーから採用製品が登場しており、全世界で6200万台以上の機器が出荷されているという。バージェス氏は「日本は高品質なオーディオへの強い要望がある。XPANが非常にエキサイティングで日本のユーザーに新しい体験を提供できる」と今後の展開への期待感を示した。