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海の上でスターリンクを使う
2025年3月31日 00:00
遠出しようと考えたとき、多くの場合、移動手段は新幹線や飛行機です。
国内であればだいたい1~2時間で目的地に辿り着けるため、移動時間もコストに含めると一番妥当な選択肢でしょう。
ただ、筆者としては前々から「移動に時間がかかってもいいので、船で移動したい」という夢がありました。
昔話をすると学生時代の修学旅行で、離島までの移動に船を使ったこともありますし、マイカーで北海道へ行きたいと、カーフェリーを使ったこともありますが、どちらも10年~20年ほど前の話で、ここ数年は船での移動の経験はありません。
ただ、どうしても船で移動したく「その日の予定が終わった後に、丁度よくフェリーが利用できる機会」が少し前にありました。
もちろんこの移動も新幹線など他の選択肢もあり、そちらの方が時短になっていいのですが、船で移動する以外にも気になることがあったので、船での移動を選択しました。
今回利用したのは瀬戸内海、神戸港と高松港を結ぶ「ジャンボフェリー」です。
就航しているフェリーのうち、新船の「あおい」では、船内のWi-Fiサービスとして「Starlink」を利用することができます。これが筆者の気になることです。
携帯電話の電波は陸地から一定の距離までは「海上エリア」として繋がるよう整備されています。
今回乗船したジャンボフェリーは陸地に囲まれた瀬戸内海を走るため、全域にわたり携帯電話を使用することが可能です。
ただ、それでも船内の場所によっては電波の入りが弱い場所もありますし、繋がるといっても通信速度はそこまで出ないため、動画の視聴などは厳しいシーンも珍しくありません。
そこで利用したいのが船内Wi-Fi。陸上局からの4Gや5Gを船内Wi-Fiとして提供しているものもありますが、最近になって人工衛星経由の通信サービスとなるStarlinkを船内Wi-Fiとして提供する船が増えてきました。
使用方法は通常のWi-Fiと変わりません。
SSIDやパスワードは船内に設けられたポスターや、乗船券などに記載されているので、それを見ながらスマートフォンの端末設定から、指定のSSIDに接続するだけです。
繋がったところで真っ先に試すのはスピードテスト。実測でどのくらいの速度が出ているかですが、今回の乗船時は下りで200Mbps以上、上りも20Mbps以上でした。
何度か測定を行ってもこのくらいの速度が出ているため、通信速度は安定しているといっていいでしょう。
下り速度が意外と速く、乗船前にダウンロードし損ねていた「暇潰し用の動画のダウンロード」を数本行いましたが、これもあっという間に完了しました。
上り速度はもう少し出てくれると……とは思いましたが、カメラで撮影した写真を取り込み、それを自宅のファイルサーバーに200枚ほどアップロードするのは問題なく行えました。
ジャンボフェリーの神戸港から高松港への移動時間は約4時間ほど。今回は行いませんでしたが、ノートPCを開いてスマホやカメラから写真や動画を取り込み、そして原稿を仕上げて送るといったことも、揺れの少ない航路とStarlinkの組み合わせであれば快適に行うことができそうです。
通信品質や速度には満足できる一方で、Wi-Fiを利用できる時間が15分と短い点は使うタイミングに少し不満もあります。
モバイル回線よりも安定して速度が出る分、ダウンロードやアップロードしたいものをしっかり決め、制限時間内に確実に送受信が終わることを狙って使わないといけない点はちょっとばかり不自由です。
そうは言っても海上にいて、陸地にいるのと遜色ない速度でネットが使えるのは感動もの。航路次第ですが、揺れが少なければ海の上にいることも忘れられるくらいに快適なので、移動と予定の組み合わせ次第では今後もフェリー移動を積極的に選んでもいいかなと思ったのでした。
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