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「個人向けサービスを活性化する」、IIJが新プラン「ギガプラン」を発表

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、MVNOサービスIIJmioにおいて新プラン「ギガプラン」を発表した。4月1日から提供を開始する。

IIJ 矢吹氏
IIJ 亀井氏
ビックカメラ 平賀氏

2GBで780円、5G通信オプションも

 新たなプランでは、2GB、4GB、8GB、15GB、20GBという5種類の容量をラインアップ。これまでどおりNTTドコモ・auの両回線に対応しており、フルMVNOとして提供するeSIMもラインアップ。

 最小容量の2GBは780円から利用でき、20GBでも1880円となる。eSIMの場合は2GBで400円から、20GBで1850円と物理SIMよりも低料金で利用できる。(通話不可)。同一契約内のギガプラン回線であればデータ通信容量をシェアでき、1契約につき最大10回線まで申し込める。

 20GBで1880円という価格設定について亀井氏は「またIIJmioを使ってもらえればと思い設定した」と明かす。eSIMでも20GBで1500円となっているが、こちらについては、eSIMの普及を狙ったものだという。

 5つの容量が設定された経緯は、旧プランの3GBユーザーの受け皿として2GBと4GBを、6GBで物足りなさを感じていたユーザーの容量アップのハードルを下げられるように8GBを設定。その間として15GBを加えたと説明。

 格安SIMを検討しはじめたユーザーにとって、これまでのIIJmioのシェア機能は「分かりづらい部分があった」と亀井氏。そこで新プランでは、1契約の中で容量をシェアする形にしたとしており、これによりライトユーザーに対して訴求するという。

 通話定額オプションは、従来と同じように3分もしくは10分以内のプレフィックス番号によるサービスが提供される。また、固定ブロードバンドのIIJmio光とのセット割も引き続き提供される。

 2021年6月頃に「5Gオプション」も提供される見込みで利用料金は無料。こちらはSMS付きSIMおよびeSIMでは利用できない。eSIMでの5G利用は準備でき次第対応するという。

 無料とした理由について、亀井氏は「MVNOとして、5Gで体感上のスピードを上げるということは難しい。徐々に対応できるとは思うがせっかく5G端末を持っているのにアンテナピクトが4Gでは寂しいので、まずは無料オプションとした」と語る。加えて、IIJmioでも現状のラインアップに加えてさらに5G端末を取り扱うべく準備しているという。

なぜ2GBで780円を実現できるのか

 IIJ MVNO事業部 コンシューマーサービス部長の亀井正浩氏は「MNOが提示してくる新たな接続料を提示されてからプランを検討していては遅くなると判断した。我々でデータ接続料や音声卸料金を予想して今回の価格を設定した」と語る。

 予想と違う接続料となった場合にどうするのかという声に対して矢吹氏は、仕入原価が想定より低かった場合は利益をさらに上げられるが、予想より高かった場合であっても、接続料は基本的に低廉化が見込まれており、中長期的に回収できるとした。

 加えて「将来の予見性や研究会など情報交換した上で、料金設定をしている。そうしたことを踏まえた結果がサービスに反映されている」とした。

 新プランでは通信品質も積極的に行っていきたいという亀井氏。特に昼・夜の時間帯を重点的に改善していきたいとした。

 6月からはビックカメラなどでもパッケージの形で提供される予定となっている。

既存ユーザーは先行キャンペーン

 既存のIIJmioユーザーには、3月1日10時~3月31日~21時の期間で先行エントリーを受け付ける。ミニマムスタート、ライトスタート、ファミリーシェア、ケータイプランの音声通話付きSIMを利用するユーザーが対象で、2000円分の「選べるe-GIFT」がプレゼントされる。

個人と法人を両輪で展開

 発表の場に登壇したIIJ 執行役員 MVNO事業部長の矢吹重雄氏は、新型コロナ禍における同社の事業は良い面と悪い面の2つの影響を受けたと説明。在宅ワークなどによるリモートアクセス需要の増大があった一方で海外ビジネス需要は減退したという。

 加えて、フルMVNO機能によるIoT需要が増加しており、千葉県白井市には5G関連の開発拠点を開設した。今後は5G SAの技術開発に積極的に取り組んでいくと矢吹氏。

 法人需要が好調な一面を見せる一方で、個人向けサービスは苦戦していると矢吹氏。楽天モバイルの新プランや大手各社も割安なプランを相次いで展開していること、コロナ禍による外国人需要の低下で伸び悩んでいるという。

 このタイミングでの提供にいたったことについて「春商戦を意識したことが大きい」と矢吹氏。「かなり大きなテコ入れをした」(矢吹氏)と言うほどシステムの大規模な改修が必要だったということもあり、当初は6月リリースの予定でいたものの、市場や他社の動向を見ているといち早く出すことが必要という結論に至り、4月の提供となったという。

 亀井氏は新プランについて「新規ユーザーが使いやすいように2GBは780円、20GBは他社の動向を見て決定した。既存ユーザーについても、たくさん使う人であれば、4GBや8GBに変更しても不都合無い料金にした」とコメント。新規で入ってくるユーザーでも、これまでのユーザーでも両方に対応できる価格設定だとした。

 矢吹氏は「個人・法人、さまざまなトラフィックを集めて、サービスを効率化することが利益の最大化につながる」と説明。今後も両方のビジネスが重要なことに変わりはないとした上で「今回のプランで、個人向けサービスを活性化。事業を拡大していきたい」と語った。