ニュース

パスワードの次は「パスキー」が個人情報を守る、FIDOアライアンスの説明会

 FIDO(ファイド)アライアンスは9日、報道陣向けに説明会を開催し、フィッシング耐性のある「マルチデバイス対応FIDO認証資格情報」を「パスキー(Passkeys)」として展開するための取り組みについて説明した。

 説明会には、FIDOアライアンス エグゼクティブディレクター兼最高マーケティング責任者のアンドリュー・シキア(Andrew Shikiar)氏が登壇。

 また、NTTドコモのチーフ セキュリティ アーキテクトであり、FIDOアライアンスで執行評議会・ボードメンバー・FIDO Japan WG 座長を務める森山光一氏が、フィッシング詐欺に対するドコモの取り組みなどを紹介した。

左から、FIDOアライアンス スポンサーメンバー・FIDO Japan WG 副座長の板倉景子氏(楽天グループ)、FIDOアライアンス ボードメンバー・FIDO Japan WG 副座長の伊藤雄哉氏(ヤフー)、森山氏、シキア氏、FIDOアライアンス アジアパシフィック マーケット開発マネージャーの土屋敦裕氏

FIDOアライアンスについて

 日本での説明会に登壇するのが2019年12月以来となるシキア氏は、冒頭でFIDOアライアンスについて説明した。

シキア氏

 「高速なオンラインID認証」を意味するFIDO(Fast IDentity Online)アライアンスは、2012年7月に設立されたグローバルな非営利団体。「FIDO認証」を標準化することで、オンラインサービス利用時におけるセキュリティと利便性の両立を目指している。

 人々がパスワードに依存している状況を打破すべく、“シンプルかつ堅牢な認証”の拡大を図るFIDOアライアンス。アップル(Apple)やグーグル(Google)などのグローバル企業をはじめとして、ボードメンバーの数は250以上にのぼる。

「パスキー」の拡大に向けて

 シキア氏が「2022年の大きな成果」と語るのが「パスキー」だ。「パスキー」では、ユーザーの秘密鍵(プライベートキー)をクラウド上で同期することで、複数の端末からWebサイトやアプリへのログインが、これまでより容易かつ安全になる。

 FIDOアライアンスが発表した「パスキー」のコンセプトについて、5月、アップルやグーグルなどがサポートを表明。iOSとAndroidで、新機能として提供が始まっている(Androidはベータ版)。

 また、日本国内ではドコモも、2023年2月から「パスキー」に対応する意向を表明している。

 シキア氏は「『パスキー』は、パスワードレスでのサインインを代表するような単語。これまで消費者向けの単語がなかったが、今後はこの単語とともに、“パスワードのない世界”の実現に向けた取り組みを進めていきたい」と語った。

フィッシング詐欺を防ぐドコモの取り組み

 シキア氏に続いて登壇した森山氏は、「パスキー」について、「パスワードに代わる一般的な言葉として使われるよう、広く展開を図る」とコメント。スマートフォン端末の機種変更などの際にも、認証設定を簡単に引き継げるメリットを強調した。

森山氏

 ドコモでは、9月からオンラインショップでFIDO「パスワードレス認証」を積極的に必須化するなど、フィッシング詐欺を防ぐための取り組みも進めている。

 森山氏は、「予断は許さないが、(取り組みへの効果については)確かに実感がある」と語り、手応えをにじませた。