ニュース

「AQUOS sense7/sense7 plus」にSIMフリー版は出る? カメラの開発エピソードは? 26日の発表会一問一答

 26日、シャープは新型スマートフォン「AQUOS sense7」「AQUOS sense7 plus」を発表した。

 同社のスマートフォンのラインアップでは、ハイエンドの「AQUOS R7」、持続可能性を意識しスペック面ではエントリーモデルと言える「AQUOS wish」シリーズの間に位置する“スタンダードモデル”となる。携帯各社からの発売が同時に発表されているが、いずれも価格は未定。

 すでに本誌では、2機種の特徴や、発表会のプレゼンテーションをご紹介しており、本稿では主だった質疑を一問一答形式でお伝えする。話題ごとに整理したもので、会見通りの順番ではない。

 回答したのは、シャープ通信事業本部 パーソナル通信事業部長の小林繁氏と、商品企画部課長の清水寛幸氏。

AQUOS sense7/sense7 plusのカメラについて

――デザインでは、ハイエンドの「AQUOS R7」と同じく背面中央にカメラが配置された。

小林氏
 Rシリーズと同じデザインを採用した。AQUOS全体でイメージを高めたいです。

――AQUOS R7の技術を応用とのことだが、そのまま搭載しているのか。

清水氏
 そのままの部分と、そうではないところがあります。

 たとえば顔認識で、目や肌などを区分けして認識するセグメンテーション技術や、RAWデータで合成してノイズや白飛びを抑えるナイトモードは、そのまま「AQUOS R7」の技術を取り入れました。

 一方で、SoC(System on Chip、チップセット)は、今回、Snapdragon 695を搭載しているが、「AQUOS R7」は最上位の「Snapdragon 8 Gen 1」となり、(性能差でAQUOS sense7シリーズでは)実現できていない機能が一部あります。

小林氏
 たとえば、枚数を多く撮影して処理するといったことは、Snapdragon 8 Gen 1で実現できます。今回のSnapdragon 695でも、時間をかければ処理できるものの、ユーザー体験のリズムのなかでは、遅くなります。

 機能の有無としては、「AQUOS sense7」でも対応としていても、その処理を複雑に進めるかどうか、という点でハイエンドモデルとの性能差があります。

 とはいえ、お客さまから見ていただく写真としては、(AQUOS sense7でもAQUOS R7に)かなり近い品質にできているかと感じています。実際に試していただいて、比較していただけるとわかるかなと思います。

――Profix 4に関して、「AQUOS R7」ではライカ(Leica)との協業があった。「AQUOS sense7」ではどういった違いがあるのか。

清水氏
 「AQUOS sense7/sense7 plus」では、ライカ社の監修を受けておりません。そこが差分ではありますが、「AQUOS R7」で吸収し、学んだことを反映させています。

 微妙な味付けのところですが、シャープとしては、「スマートフォンAQUOS」の方向をあわせられたと思っています。

――センサーが50.3MPとなっている。(端数の)30万画素という数値に何か意味があるのか。

清水氏
 特別なことはなく、一般的な4:3の縦横比のイメージセンサーになります。縦と横のピクセル数を掛け合わせると、5030万画素になるということです。

――「AQUOS sense6」ではあった望遠カメラが今回はない。その理由は? また前回が4800万画素、今回は5030万画素だが、それは単純にセンサーが変わったからということか。

清水氏
 「AQUOS sense7」のメインカメラは、1/1.55インチの50.3MPです。これで撮影し、(望遠相当に)切り取った方が「AQUOS sense6」の望遠カメラと比べても美しいと判断しました。

 画素数の違いについては、大きなこだわりがあるわけではなく、より大きいセンサーサイズにして、ノイズのない綺麗な写真を撮っていただきたいというところから1/1.55インチといういサイズを選びました。そのなかで、一番良かったのが50.3MPということになります。

AQUOS sense7 plusについて

――AQUOS sense7 plusについて「plus」シリーズが今回復活した背景は?

清水氏
 今回、商品化した背景として、ひとつは「ハイエンドスマートフォン」のポジションが大きく変わったかなという見立てがあります。

 これまで、ハイエンドをお使いになられていたお客さまが次に選ぶ機種という面もありますし、これまでスタンダードクラスを使われていた方が「次はもっと良いものにしたい」というお客さまもいらっしゃると思います。

 特にスタンダードクラスを選ぶ方が、今の段階では、より幅広くなってきたかなと。そこで「AQUOS sense7」に加えて、「AQUOS sense7 plus」が必要かなと考えました。

――AQUOS sense7 plusでフレーム補間をするとのことだが、テレビでは著作権のあるコンテンツでは、製作者の意図をふまえて補間しない傾向にある。

清水氏
 フレーム補間は、アプリごとに切り替えられます。

小林氏
 テレビとの違いとして、スマートフォンではモバイル通信やWi-Fiなどさまざまな映像伝送経路があります。

 多くの映像コンテンツでは、(モバイル通信の不安定さにあわせ)最低限の品質にしている場合が多い。それを補間している面もあります。

――プライスリーダーの他社では、価格帯がどんどん上がっており、ある程度、高めの価格帯でも受け入れられるという市場環境になってきた、ということもあるのか。

清水氏
 実際に「AQUOS sense7 plus」が受け入れられるかはこれからですが、経済環境などを含め、全体的に価格帯は上昇してきたと捉えています。当社のハイエンドモデルも価格が上昇しています。

小林氏
 シャープにとって、「AQUOS sense」シリーズは、やはり非常に重要なモデルです。これまでに1000万台以上の出荷実績がありますので、「AQUOS sense」シリーズで、より幅広いニーズにお応えしていきたい思いはあります。

 「AQUOS sense7」「AQUOS sense7 plus」で、より多くのお客様にお届けしたいという点が、今回のラインアップの意図になります。

価格について

――価格について教えてほしい。最終的な売価はキャリアで決められるだろうが、senseシリーズのポジションは外れないという話もあった。そのために工夫した点は?

清水氏
 スペックを向上させながら、senseシリーズの価格帯を維持するためのコスト削減策ということかと思います。

 細かな点を含めて、いろいろとあるのですが、たとえば望遠を、標準カメラで撮影して切り取るといった手法もまた、(カメラモジュールのコストを)削減するといったひとつになります。

 また、指紋センサーも、これまで画面内センサーを採用していましたが、今回は側面の静電式センサーにしています。利便性の面でも、画面が消えた状態からすぐロック解除ができますし、価格面でも有利に働くことから採用しました。

――円安が続いているが、その影響はどの程度、織り込まれているのか。

小林氏
 急速に進んでいる円安が日々、ニュースになっていますが、シャープの場合、中国で生産して日本で販売しており、円安の影響を受けるのは事実です。

 どの程度か、というのは非常に難しいのですが、私どもの予測や、日々の為替を確認しながら値付けなどをしています。日々変化しているものを考慮に入れながら商品を開発しています。

SIMフリー版やOSバージョンアップ、zeroシリーズについて

――SIMフリーモデル(メーカーブランド)の提供について、「AQUOS sense7」「AQUOS sense7 plus」はどうなるのか。

清水氏

 「AQUOS sense7」はニーズを踏まえ、前向きに検討したいです。

 「AQUOS sense7 plus」はソフトバンクさまでの独占販売となりますので、現状、SIMフリーの予定はございません。

――OSバージョンアップは引き続き最大2年ということでいいか。

清水氏
 最大2年、最大2回となります。一方で、セキュリティパッチは、3年間、提供する方針です。

 OSのサポートの重要性がより高まっているという点は認識しておりますが、現時点ではそういった方針です。今後に向けて引き続き検討したいです。

――plusが復活した一方で、zeroシリーズはどうなるのか。

小林氏

 昨年(2021年)まで、AQUOS zeroシリーズを発表していた時期ですが、今季は新製品を提供する計画はしておりません。この下期においては、少なくとも、「AQUOS sense7」「AQUOS sense7 plus」を提供するというラインアップです。

 一方で、zeroシリーズをもう作らない、というわけではありません。(軽さを追求するという)あの立ち位置自体は存在し得ると思います。

 昨年の「AQUOS zero6」は引き続き、好評ですし、今後もニーズを見ながら商品化を検討したい。

 ただ、軽量(を実現すること)はほぼ定着しつつあるので、もともとzeroシリーズが目指してきた限界への挑戦など、お客様が気づいていなかった新たな価値に挑戦する、そうした領域を見つけて商品化することになるかなと考えています。