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サムスンが「Z Fold4/Flip4」で打ち出す新体験とは? 「Galaxy Unpacked」まとめ

 サムスン電子は10日、新製品発表イベント「Galaxy Unpacked」を開催した。さまざまなストーリーとともにフォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Fold4」などが発表され、新製品がもたらす“新たな体験”がアピールされた。

 同社がユーザーへ提供する新体験とは、いったいどのようなものなのか? 本稿では、「Galaxy Unpacked」の内容をお届けする。

Netflixドラマの出演者も登場

 冒頭で流れたのは、Netflix(ネットフリックス)のドラマ「エミリー、パリへ行く」の出演者たちが登場する、どこかコミカルな印象のショートムービーだ。

 同作の舞台はパリの広告代理店。主役のエミリー(演者:リリー・コリンズ)は今回姿を見せなかったが、「『Galaxy Unpacked』は、モバイル体験を再構築するための場。だから、意欲的で魅力的で、革命的で啓示的な何かが必要」と、思考を巡らせる3人。

 煮詰まった様子のジュリアン(サミュエル・アーノルド)はバゲットをフォルダブル端末に見立てて遊ぶが、リュック(ブリュノ・グエリ)に「バゲットに敬意を払え」と一喝される。

 そんななか、シルヴィー(フィリピーヌ・ルロワ=ボリュー)がテーブルの上のフォルダブル端末に目をとめるところから、今回の「Galaxy Unpacked」が始まった。

楽しくタフに使える「Galaxy Z Flip4」

 サムスンのMX(Mobile eXperience)事業を統括するロー(TM Roh)氏は、これまでサムスンがフォルダブル端末の開発に取り組んできた足跡を振り返りつつ、4世代目となる「Galaxy Z Flip4」の発表について「誇りに思う」とコメントした。

 端末を90度折り曲げた状態でも撮影できる「Galaxy Z Flip4」は、カメラと同時に三脚としての役割も果たし、ユーザーの撮影の自由度を高める。

 その“ハンズフリー体験”をさらに強力なものにするために、「Galaxy Z Flip4」ではNPU(Neural network Processing Unit、機械学習/AI特化のプロセッサー)の性能が強化された。

 デュアルカメラのうち広角カメラのピクセルサイズは1.8μmになり、OISも搭載。夜でも鮮やかな撮影ができるとアピールする。

 撮影した写真を共有する場として、「Galaxy Z Flip4」ではSNSサービスとの連携強化も図られる。

 イベントには、米メタ(Meta)でInstagram(インスタグラム)の責任者を務めるアダム・モセリ(Adam Mosseri)氏が登場。「Metaとサムスンは、何年も前から素晴らしいパートナー」としたうえで、「今年はフォルダブルデバイスでMeta関連のアプリの体験を改善し、パートナーシップを深めたい」と語った。

 InstagramだけでなくFacebookなどの体験の“最適化”も図られており、たとえば端末を90度折り曲げた状態で使う「フレックスモード(Flex Mode)」では、デバイスを置くとハンズフリーで録画を開始できる。

 「Galaxy Z Flip4」のカバースクリーンは、セルフィー撮影時のプレビュー確認だけでなく、友人とのメッセージのやり取りなどにも役立つ。

 アーマーアルミフレームなどの採用によって耐久性を向上させているだけでなく、IPX8相当の防水性能も備える「Galaxy Z Flip4」。ヒンジ部分のスリム化によって、先代モデルより12%アップしたバッテリー容量(3700mAh)を実現した。

 一部の国では、5色のボディカラーと3色のフレームカラーからユーザーがカスタマイズできる「Bespoke Edition」も用意される。

スマートなオーディオ体験を届ける「Galaxy Buds2 Pro」

 「Galaxy Buds2 Pro」は、24bit/48kHzの再生をサポートする完全ワイヤレスイヤホン。16bit/44.1kHzの再生に比べて、256倍も精細なオーディオ体験が実現するとアピールされた。

 5.3mmのツイーターと10mmのウーファーを搭載。アクティブノイズキャンセリング(ANC)性能も従来より40%向上したという。また、空間オーディオ(360 Audio)にも対応し、臨場感のある体験が実現する。

 そのほか、人の声を検知すると自動的にアンビエントモードに切り替え、外の音を取り込みやすくする機能も備える。たとえば音楽を聴きながらカフェに入っても、イヤホンを外すことなくオーダーできるようなしくみだ。

 「Galaxy Buds2 Pro」は、2022年の後半に、Bluetoothの次世代仕様「LE Audio」に対応する予定。

 イヤホンをソファーの間に落としてしまってもすぐに見つけられるよう、「SmartThings Find」機能も用意されている。

より正確なデータを提供する「Galaxy Watch5」

 スマートウォッチ「Galaxy Watch5」シリーズでは、サムスン電子のウェアラブルデバイスとしては初めてサファイアクリスタルが採用された。

 ヘルスケアに関する指標を正確に測定すべく、手首と接する面積がより広くなっている。

 また、3つのセンサーをひとまとめにしたバイオアクティブセンサーや、新しい赤外線温度センサーを搭載。周囲の温度が変化しても正確に測定できることがメリットで、活用方法は検討段階にあるという。

進化したボディでマルチタスクをこなせる「Galaxy Z Fold4」

 フォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Fold4」では、ヒンジの構造を見直すことにより、耐久性を保ったままヒンジ部分の軽量化に成功。詳しい内容は、本誌別記事で紹介している。

 金属の層など多数の層で構成されるディスプレイ部分については、金属層を排除。デジタイザーには、自動車や航空機にも使われるという軽量な強化プラスチックが用いられ、強度アップや軽量化を実現した。

 スポンジによって振動を抑える構造も改良され、ディスプレイは衝撃に対してより強くなった。

 ディスプレイ内のカメラ(アンダーディスプレイカメラ、UDC)に関しては、あまり目立たないようにする改良が図られた。これにより、大画面で映像を視聴する際の没入感がアップする。

 「Galaxy Z Fold4」は、大画面向けに最適化された「Android 12L」を搭載し、ユーザーの生産性を高めるしくみを備えている。

 たとえば「タスクバー」は、パソコンのようにアプリを切り替えられるしくみ。使用頻度が高いアプリなどを自動で表示する機能も利用できる。

 また、マイクロソフト(Microsoft)の「Office」アプリについて、ワード(Word)やエクセル(Excel)のレイアウトが改善され、並べて使えるようになった。

 スタイラスペン「Sペン」などと組み合わせれば、さらなる生産性の向上が期待できる。

 「Galaxy Z Fold4」のカメラは、夜景撮影時に23%明るい写真が撮れるようになった。端末を立てて撮影すれば、プレビューを見ながらセルフィーを撮影できる。

アウトドアにも適した「Galaxy Watch5 Pro」、グーグルとの連携強化も

 「Galaxy Watch5 Pro」の紹介に先立ち、グーグル(Google)の「Wear OS」を統括するビョルン・キルバーン(Bjorn Kilburn)氏からのメッセージが流れた。

 「私たちは、Wear OSをより良いものにすることに専念している」と同氏。続けて、「さらに改良するために、人気のあるアプリをもっと多くWear OSに搭載していく。次世代のウェアラブルデバイスにイノベーションをもたらすために、サムスンとのコラボレーションを続けていけることにワクワクしている」と語り、今後への意欲を見せた。

 「Galaxy Watch5 Pro」は、590mAhのバッテリーを搭載。チタン製のフレームに、サファイアクリスタルのディスプレイを備える。

 また、「ゴルフエディション(Golf Edition)」もラインアップされる。

開発を止めない姿勢、そしてその先の未来へ

 ここで製品の紹介は終わり、別のショートムービーが流れた。「架空(Not the real)のレオナルド・ダ・ヴィンチ」という設定の人物が登場するムービーのBGMは、クイーン(Queen)の「Don't Stop Me Now」。

 ムービーに続いてエンドロールが流れ、ちょうど1時間にわたるイベントは終了。BGMのタイトルが意味する「私を止めないで」と同じように、止まることなく開発を続けていく、サムスン電子の姿勢が垣間見られるような発表イベントとなった。