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2021年度版の「周波数再編アクションプラン」、2025年度末までに約16GHz幅の帯域確保を目指す

5Gや無線LANの帯域幅拡大に向けて

 総務省の総合通信基盤局電波部電波政策課は、令和3年度(2021年度)版の周波数再編アクションプランを公表した。2025年度末までに周波数の再編などで合計約16GHz幅の帯域確保を目指すほか、公共業務用無線システムのデジタル化などが盛り込まれている。

2020年度末までの再編目標は達成

 2020年度末までの帯域確保状況について、2020年8月時点で合計約3.6GHz幅を新たな周波数として割り当てられている。内訳は、3Gおよび4G通信に約900MHZ幅(周波数の転用による5G通信)、無線LANに約420MHz幅、5G通信に2.2GHz幅、ローカル5Gに100MHz幅。

 さらに、2021年3月末までにローカル5G用に1.1GHz幅の新規割り当てが実施されており、あわせて約4.7GHz幅の実績となった。目標に設定していた約4GHz幅を上回る周波数割り当てを達成している。

2025年度末までに約16GHz幅の新規帯域確保

 また、当面の目標として、5G/Beyond 5Gなどで6GHz幅、衛星通信/HAPSで9GHz幅、IoT/無線LANシステムで1GHz幅、次世代モビリティシステムで30MHz幅の合計約16GHz幅を、2025年度末までの新規割り当て目標として目指していく。

 周波数再編アクションプランでは、この目標の達成に向けた周波数再編の指針が示されている。

公共業務用周波数の有効利用促進

 国や自治体が使用している公共業務用無線局のうち、ほかの用途での需要が顕著化している周波数を使用するものと、アナログ方式を使用するシステムについて、周波数の有効利用を促進する。

 前者の例として、1.2GHz帯画像伝送用携帯局(ほかの用途として、放送事業用)や5GHz帯無線アクセスシステム(同5G通信)、40GHz帯固定マイクロ(同5G通信、衛星通信)などが挙げられる。

 今後は、廃止やほかの無線システムへの移行、周波数の共用に向けた取り組みを進める。

 また、後者の例として、路側通信用(1620kHz、ハイウェイラジオなど)や水防用など防災用や災害時に利用される無線システムなどが挙げられている。これらのシステムに対しては、デジタル化やPS-LTE化(公共安全LTE)などに向けた取り組みを進めていく。

ダイナミック周波数共用などでの周波数の有効利用

 2.3GHz帯について、携帯回線などの移動通信システムの導入に向け、既存の無線システムなどと周波数を共用する「ダイナミック周波数共用システム」を活用した制度整備、運用ルールの策定を進める。

 また、2.6GHz帯について、衛星移動通信システムとの共用を検討すべく、「平時と災害時のダイナミックな周波数共用」を含めた移動通信システム導入の可能性を検討する。

 さらに、4.9GHz帯について、新たな5G候補周波数として、「公共業務用無線局以外の既存無線システム」の移行や再編を含めた移動通信システム導入の可能性について検討するとしている。

 このほか、26GHz帯や40GHz帯について新たな5G候補周波数として「ダイナミックな周波数共用」や「既存の無線システムとの共用」を検討する。

 ローカル5Gについては、開発実証を重ね導入の促進を図るほか、2025年頃に最初に再免許交付時期を迎えるのに合わせ、広域利用に関する検討など、ローカル5G導入ガイドラインの改定を含め検討する。

無線LANの高度化

 無線LANの6GHz帯(5925MHz~7125MHz)への周波数帯域の拡張について、技術的要件の検討を行っており、2022年3月頃までに情報通信審議会から答申が示される。また、5.2GHz帯の自動車内の利用についても検討されている。

衛星通信システムの高度利用やPHS周波数の有効利用など

 このほか、「1.7GHz帯/1.8GHz帯携帯電話向け非静止衛星通信システム」の技術的要件や免許手続きの在り方などの検討や、1.9GHz帯の公衆PHSサービス終了後の周波数有効利用方策などを検討していく。

 また、「Beyond 5G」の実現に向けた取り組みを推進する。産学官の連携やユースケースの創出、免許手続きの在り方などの検討が進められている。

 テラヘルツ波といった高周波数帯域における技術開発、実証実験の推進のため、150GHz帯及び300GHz帯を特定実験試験局の対象として追加しており、引き続き簡素な手続きで利用できるよう、2023年度中を目処に制度整備を目指すとしている。