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総務省が2023年度の「周波数再編アクションプラン」を公表、5G普及やドローン活用など目指す

 総務省は20日、「周波数再編アクションプラン(令和5年度版)」を公表した。

周波数再編アクションプランについて

 総務省は、電波の有効利⽤の促進などの目的で、2004年度(平成16年度)から毎年度、周波数再編アクションプランを策定し、公表している。

周波数の帯域確保⽬標に対する進捗状況

 「デジタル変⾰時代の電波政策懇談会報告書(令和3年8⽉)」では、2025年度末までの⽬標として、携帯電話網システムなどを含む電波システム全体で+約16GHz幅(2020年度末が起点)の帯域確保が設定された。

 進捗として、+3.046GHz幅の帯域が確保されている。

重点的取組の概要

 周波数再編アクションプラン(令和5年度版)では、9つの重点的取組が設定されている。

 「5Gの普及に向けた周波数確保」のほか、ドローンによる上空の周波数利用や、⾮地上系ネットワーク(NTN)の活用に関する検討などが進められていく。

重点的取組の概要
  • 5Gの普及に向けた周波数確保
  • 無線LANの更なる⾼度化と周波数拡張等
  • ドローンによる上空での周波数利⽤
  • V2Xの検討推進
  • ⾮地上系ネットワーク(NTN)の⾼度利⽤
  • 公共安全モバイルシステムの実現
  • 公共業務⽤周波数の有効利⽤
  • Beyond 5G (6G)の推進
  • その他の主な周波数再編、移⾏等

5Gの普及に向けた周波数確保

 5Gの2.6GHz帯(2645〜2665MHz)については、平時と災害時のダイナミックな周波数共⽤の適⽤を含め、移動通信システムの導⼊の可能性に関して検討が進められる。

 4.9GHz帯(4.9〜5.0GHz)については、2025年度(令和7年度)末までの5Gへの周波数割当に向けた検討が進められる。

 また、26GHz帯(25.25〜27GHz)と40GHz帯(37.0〜43.5GHz)については、携帯電話事業者による28GHz帯の活⽤状況を考慮しつつ、2025年度末を目処に5Gへ割り当てることを目指す。

無線LANの高度化や周波数拡張

 広帯域無線LAN(IEEE 802.11be規格)の導⼊に向け、ほかの無線システムとの共⽤検討が進められ、2023年度(令和5年度)中を目処に制度が整備される。

 屋外利⽤も含め、6.5GHz帯(6425〜7125MHz)への周波数帯域の拡張について、諸外国の動向なども考慮しながら、2024年度(令和6年度)を目処に技術的条件が取りまとめられる。

ドローンやV2X、⾮地上系ネットワークの活用に向けて

 4Gや5G、ローカル5Gなどを使用する広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)については、ドローンなどによる上空利⽤の検討が進められる。

 V2X(Vehicle to X)分野では、自動運転の将来的な普及を見据え、5.9GHz帯(5850〜5925MHz)の最大30MHz幅をV2X通信向けに割り当てることを検討する。

 ⾮地上系ネットワーク(NTN)では、38〜39.5GHz帯を利⽤した固定通信システムや、2.7GHz未満の周波数帯を利⽤した移動通信システムによる通信サービスの実現に向け、研究開発が進められる。上空約20kmの無人航空機に基地局を設置し、災害時の活用などが期待される。

 ⾮静⽌衛星通信システムについて、携帯電話などとの直接通信の早期実現を目指す。

 2025年に開催される⼤阪・関⻄万博では、「Beyond 5G ready ショーケース」として、最先端技術が展⽰される。