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5G向け4.9GHz帯に携帯各社が意見、ソフトバンクが割当に強い意欲

 総務省は、4.9GHz帯における第5世代移動通信システムの利用に関するニーズを把握するために、3月15日~3月29日に実施した調査結果を公表した。

5G向けの4.9GHz帯の利用に関する意見募集、携帯4社が意見を表明

 総務省の調査に対して、NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー、ソフトバンク、楽天モバイルがそれぞれ回答を提出した。本稿では、意見調査に項目ごとに各社の回答をご紹介する。

第5世代移動通信システムに係る周波数の割当を希望する理由

 NTTドコモは、都市部を中心とした高トラヒックエリアへの利用を検討とした。

 KDDI/沖縄セルラーは、携帯電話網の総トラヒックは年率約1.2倍で増加しており、2025年末までに+6GHzの帯域確保が掲げられていることから、4.9GHz帯はトラフィック需要を支える貴重なsub-6帯域であるとしたが、既存システムの移行方針などの情報を総合的に勘案のうえ、開設計画について判断する必要があるとした。

 ソフトバンクは、総務省が以前提出した資料で最も多くのトラヒックを擁しながらも、他社と異なり連続した100MHz幅の割当が1枠しかないため、将来的なトラヒック増への対応のために、割当を強く希望する意向を示した。

データトラヒック(全国)の調査結果

 楽天モバイルは、既に割当されている3.7GHz帯と同様に、5G展開の核となる周波数帯であるため、現時点では割当を希望しており、今後希望される策定される開設指針や技術的条件などを踏まえた上で、申請を検討すると回答した。

割当希望時期

 NTTドコモは、令和6年度の上期中、できるだけ早期に割当を希望する旨を回答した。KDDI/沖縄セルラーは、既存利用者の意向を踏まえた周波数の使用期限の整理を丁寧に実施した後に、4.9GHz帯の割当が実施されるべきとした。

 ソフトバンクは、円滑な移行を促進する観点から、現時点で想定し得る最も早い時期に割当を実施し、既存の登録人と共に早期に移行の検討および実施に着手することが重要とした上で、2024年9月末までに割当希望とした。

 楽天モバイルは、今後の議論の推移や条件などを勘案した上で、適切な時期に割当を希望とした。

想定する利用シーン、需要見込み

 NTTドコモは、都市部の高トラヒックエリアでの利用をを想定している。KDDI/沖縄セルラーでは、5Gエリアの品質向上および容量確保を実現するため、トラヒック需要の高いエリアおよび、衛星通信システムの干渉回避により、3.7/4.0GHz帯による基地局整備が困難なエリアを中心に、全国的に展開することを想定している。

 ソフトバンクは、将来的に通信トラヒックの大幅な増加が想定されることから、既存登録人と移行について合意できたエリアから、順次全国的に展開することを想定している。

 楽天モバイルでは、既に割当を受けている3.7GHz帯と比べて衛星干渉がなく包括免許でエリア展開が行える周波数帯になるため、トラヒックがひっ迫エリアの整備や、契約者数が増えた場合の対策など5Gエリア展開に向けた利用を想定している。

基地局整備の方針

 NTTドコモは、認定後5年以内に人口カバー率50%を達成することを想定している。KDDI/沖縄セルラーは、既存システムの移行方針などの情報を総合的に勘案して検討する必要がある、とした。

 ソフトバンクは、既存登録人などと移行について合意できたエリアから展開し、最終的に全国で基地局整備を実施する方針。楽天モバイルは、トラヒックがひっ迫するエリアの整備や、契約者数が増えた際のキャパシティ用途として、5Gエリア展開に向けた利用を想定している。その上で、5GHz帯無線アクセスシステムが利用していることから、移行が完了した地域から順次機器局の開設が可能となるため、現時点では人口カバー率を検討することは難しいとした。

既存無線局の他システムへの移行に向けた対応

 NTTドコモは、割当を受けた場合は速やかに終了促進のための窓口を設置し、登録人またはFWAベンダなどとの契約締結を経て、システム移行や周波数移行を促進する方針で、期間や費用については検討中とした。

 KDDI/沖縄セルラーは、既存利用者からの相談窓口の設置、他システムへの移行に係る費用負担などの対応が必要と想定しているが、その詳細については既存システムの移行方針を踏まえた上で、状況に応じた丁寧な検討および対応が必要とした。

 ソフトバンクは、既存の免許人などが十分に移行先を検討できるように、使用期限は10年以上を想定するものの、合意ができたエリアや登録人から、使用期限を待たずに速やかに移行を実施する方針。

 また、既存登録人の利用方法や要望に寄り添い、ローカル5Gや固定FWA、衛星システムなど最適なシステムを提案して移行を促進する。費用負担については、使用期限前の前倒し移行に協力する場合は、既存の登録人の移行費用は原則として5G事業者負担し、その他の費用についても状況に応じて検討するという。

 楽天モバイルは、移行に係る終了促進措置については今後の議論を踏まえた上で詳細を検討する必要があると回答した。

周波数割当方式に関して

 周波数割当方式については、回答した4者が100MHz幅の割当が適切であり希望すると回答した。

 複数の申請があった場合の審査方法について、NTTドコモは項目毎の配点や審査時の詳細な判定方法を含め、関係者の意見を聞く機会を設け、十分な透明性と公平性の担保を求めた。また、審査項目は既存の割当状況に左右されるものでなく、4.9GHz帯の開設計画の評価によって割当が決まることを希望する方針。

 KDDI/沖縄セルラーは、比較審査の実施にあたって、電波有効利用の観点から基地局構築やエリア展開に係る基準が最重視されるべきとした。また、開設指針の策定にあたっては、公平かつ透明な手続きが実施されることが極めて重要で、配点構成や比較審査基準も含めて意見募集が行われることを希望した。

 ソフトバンクは、各事業者の処理する総トラヒック量を、割当済み周波数幅で割った、トラヒックのひっ迫度を考慮すべきで、トラヒックの多寡を考慮せずに単純に割当幅のみを比較することは不適切とした。また、今回の4.9GHz帯と同様のsub-6帯域における連続した100MHz幅の周波数の事業者ごとの割当数を考慮し、既に割当数がより多い場合を劣後すべきとした。

 さらに、基地局整備が着実に遂行できる根拠として、開設計画に係る基地局整備に関する行政指導を受けていないことや、認定満了時に開設計画の未達がある場合には劣後させるべきとした。周波数の有効利用の観点から、自社および同一グループでネットワークを整備している事業者がより評価されるべきであり、既存事業者がグループ外ローミングによるエリア補填の計画がある場合には、その事業者を、ローミングの計画期間が長い場合にはより劣後させるべきと主張した。

 このほか、政府が株式の多数を取得している企業などが申請事業者の主要出資者である場合、その企業を優遇することがないように留意すべきとした。

 楽天モバイルは、4.9GHz帯は5G展開において極めて優位な帯域であるため、事業者間の公正な競争を促進するためには、4.9GHz帯と同一の特性を持つ周波数の保有の多寡に係る基準を設けるなど、配慮した制度設計が適当とした。

 また、基地局開設料が高額化すると、インフラ整備の遅延や料金への転嫁などによって、国民に不利益が発生するおそれがあるため、審査基準の設定にあたって、特定基地局開設料の金額の多寡によって割当事業者が決まることがないように配慮するべきと主張した。