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KDDI第2四半期決算、通信の減収をライフデザイン領域で下支え

楽天のローミングには「粛々と対応する」

KDDI代表取締役社長の高橋 誠氏

 KDDIは29日、2022年度3月期第2四半期決算を発表した。上期の連結売上高は2兆6252億円(前年同期比+3.5%増)、連結営業利益は5731億円(同-2.7%)、当期利益は3615億円(同-3.1%)となった。

 携帯電話料金の値下げ影響はあったものの、想定内に推移し成長領域の増益が牽引したとしている。

 決算会見では、同社代表取締役社長の高橋 誠氏(高は新字)が決算の概況説明と質疑に応えた。

5G通信でマルチブランド

 KDDIでは、auとUQ mobile、povoの3つのブランドをもっているが、いずれも5G通信サービスを提供している。

 「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」をスローガンに掲げており、KDDIでは生活動線にこだわったエリア展開を実施。通信品質においても「パケ止まり」を抑制しつつエリアを最大化できるよう、基地局パラメーターを設定しているという。

 なお、半導体不足の影響について高橋氏は「基地局の設備はかなり前から確保している」としつつも「伝送路や一部の部品について影響が出てきている」と説明。しかしながら、大きな影響はないとした。

 4Gと5Gの累計契約数は9月時点で2978万件、5G端末の累計販売台数は470万台となった。22年3月期末には800万台を目指すとしている。

 各ブランドの特徴として高橋氏は「auは(5Gで増大するトラフィック量でも)安心の使い放題や充実のセットプラン、お得な端末購入など、フルラインアップのサービスを推進している。UQ mobileはシンプル、お手頃、安心サポートを提供するサービス」と説明。

 povo 2.0については「新たな体験価値を提供」とアピール。基本料金0円のベースにサービスをトッピングすることで、ユーザーのライフスタイルに合わせた革新性を目指したサービスと説明した。

 通信サービス以外では、5Gならではの体験として「メタバース」への取り組みを挙げ「最先端の技術を活用しつつ、パートナーとともに多彩な体験価値を提供していく」(高橋氏)とした。

 このほか、スペースX社のスターリングとの業務提携についても改めて説明、au基地局のバックボーン回線の高速化や山口衛星通信所に地上局を構築する取り組みなどを取り上げた。

金融/ビジネスセグメント

 モバイル通信の減益をカバーする成長領域について、ライフデザイン領域とビジネスセグメント領域がどちらも通期予想に向けて順調に進捗していることをアピールした。

 特に金融事業について、決済・金融取扱高が上期で5.2兆円、前年比(YoY)で約1.3倍の取扱高となった。また、金融事業の営業利益も246億円と前年比+24.9%の成長を達成した。

 高橋氏は「au PAYを通じて銀行とクレジットカードの連携を強化することに加え、その先の金融事業との連携も推進している。KDDIならではの強みを生かした取り組みを実施していく」とコメント。サービス連携が功を奏し、主要サービスも大きく成長しているとアピールした。

 ビジネスセグメント領域では、DXの推進やIoTに関連するサービスが売り上げを牽引した。これまでのコア事業であった通信と次のコア事業に位置づけているDXのシナジーを共有することで、ビジネスセグメント全体の成長を目指すとしている。

 また、5G通信による高度化とともに、新たなビジネス共創を目指していくとともに、5G SA(Stand Alone)展開などを進めていく。

 5G SAについては、9月に商用環境での通信試験を開始しており、12月に商用トライアル、年度内に法人向けのサービス開始を計画しているという。

カーボンニュートラルの取り組みを推進

 説明の最後に、KDDIのカーボンニュートラルへの取り組みを紹介した。

 同社の3G通信サービスは、2022年3月に停波を予定している。これにより他社に先駆けて消費電力の削減ができるとアピール。

 また、「KDDI Green Partners Fund」を設立し、スタートアップとのイノベーションの創出を図り、KDDIグループの二酸化炭素排出量の削減や社会のカーボンニュートラル実現に貢献することを目指すとしている。

主な質疑

代表取締役社長の高橋 誠氏

――povo 2.0がスタートした。直近の推移と業績への影響は?

高橋氏
 povo 2.0のスタート直後は、お客様にご迷惑をおかけして申し訳なかった。(現在は)だいぶ落ち着いて、11月から本格的に拡販に努めていく

 足下では9月13日(の2.0発表会時点)で90万と申し上げたが、今100万を超えている。1カ月で10万以上契約があるので、順調に立ち上がってきたと思っている。

 0から始まりトッピングをつけていくプランだが、最初はトッピングがそんないにされないのではないかと思っていた。大体半分くらいになると思っていたが、2~3週間で3分の2~4分の3くらい(のユーザーに)トッピングしていただいているようだ。

 グループ全体でUQ mobileを強化し我々のグループからの流出を止めたが、(他社の0円から始まる料金プランへ転出される)ユーザーがまだいらっしゃるので、そこに対してもう一発施策を実施できた。結果的に転出が収まってきたので、一応の戦略通りだと思っている。

 (これまでの料金プランと違い、)povo 2.0ではお客様に継続的にアプローチをしてトッピングしてもらわないといけない。今までだと売っておしまいだったものを、打った後にどんどんお客様とつながっているようなサービスを展開していく。個人的にはとても入れ込んでいるサービスなので、しっかりと取り組んでいきたい。

――ローミング収入について、楽天モバイルが自社回線への切り替えを加速させている。今後の見通しと業績への影響は?

高橋氏
 楽天のローミングには粛々と対応している状況。彼らは「非常に早いスピードで広げます」と言っていたり、あるいは今度は「半導体不足でちょっと遅くなります」と言ってみたり、あるいは今度は「ローミング費用が高すぎる」と言ってみたり、いろんなことをおっしゃるので、ちょっとどうなのかなと思うところはあります。

 基本的なルールは70%を達成されたエリアから順次解除を行っているというふうにしておりますので、楽天さんが発表されているように順次(ローミングを)切っていくというイメージになります。ただ、思っている以上に「70%を達成したエリアでも引き続き貸してほしい」というエリアが結構多く、我々が想定していたよりもローミングエリアが増えるという風に見ている。

代表取締役社長の高橋 誠氏

 ドコモさんやソフトバンクさん、我々は99%のエリアカバー率だが、彼ら(楽天モバイル)は96%を目指している。ローミングを解除したエリアでもエリア展開を行う必要があり、結構大変だと思うが、エリアができていない部分では引き続き対応していく。

 一方で、3G停波に関する撤去費などの負担が、来年から下がってくるので、ローミング収入の減少と3G停波に関わるコストの減少でバランスがとれるのではないかと見ている。

――主なKPIとして解約率を当期0.74%としている。受け止めは?

高橋氏
 少しましになってきているのではと思う。昨年は料金の値下げの話や楽天さんの(基本料)0円からのプランなどがあったが、第2四半期となって解約率が下がってきた。

 (UQ mobileが競合する容量帯のプランで)他社に強いプランがあったので、解約率が上がっていたが、6月にUQ mobileを強化して、解約率が減少してきた。

 足下の10月ではプラスに転じたので、この勢いで年末商戦あたりまで伸ばしていきたいと思っている。

――ドコモの通信障害について、受け止めは?

高橋氏
 他人事ではない話題。

 今の通信インフラは昔と違って複雑になっている。加えて、通信だけでなく、電子決済や交通産業にも絡んでいる。先日のドコモさんの場合では、タクシーの決済端末でドコモ回線が使われているようで、大きな影響が出てきた。

 我々は(多摩の)研修センターのリンクフォレストの隣に運用監視するための施設を備えて集約化と強靱化を図っております。特にIoT回線は、1つあたりは大きくないがものすごく回線数が多いこともあり、一度事故を起こしてしまうとリカバリーするのが難しくなる。

 今回の事故は、ドコモさんだけのことではなく、我がことのように捉えて取り組みを続けていきたい。

――ドコモが先日エコノミーを発表したが、受け止めは?

高橋氏
 我々のグループでは、BIGLOBEモバイルやJ:COM MOBILEなど、(ドコモのエコノミーの)ターゲットに向けて用意したMVNOやプランがあるので、すぐさま何か対応するわけではない。

――3G停波後の電波の再分配について、受け止めは?

高橋氏
 電波政策について、総務省で議論されているところだと思う。

 我々は以前800MHzとその周辺の帯域の再編を経験したが、当時は今ほどお客さんは少なかったけど、かなり、やっぱり大変。(帯域が)開いたからと言ってすぐに使えるわけではなく、お客様に多大な影響を与えるので、丁寧に議論いただきたいと思う。そう簡単な問題ではないと思っている。

――NTTグループの再編について、NTTコミュニケーションズとNTTコムウェアをNTTドコモの子会社とする方針が発表された。受け止めは?

高橋氏
 今年はいろんなことがあった。

 この秋の段階で、ドコモの配下にNTTコミュニケーションズを置くことにしたと、一定の見解を出された。

 NTTグループの一体化には引き続き懸念があり、逆戻りしないように公正競争の観点は強く求めていくが、NTT東西の話は明確になったのでよかった。

 ネガティブになってもしょうがない。ドコモグループ3社が一体となり、相手の目指す「法人部門での売上高2兆円」という目標が明確になった。グループ内システムを除くと1.7兆円の目標額となるが、(この数字で)社内に発破をかける目標ができたと思っている。

代表取締役社長の高橋 誠氏

 ところで、ドコモさんの資料を見ていると、すごく我々の目標に似てきたと感じた。同じような戦略だなというふうに思っている。我々も、ドコモさんとは違う特色をなんとか出していきたいと思う。

――半導体不足、iPhone 13の影響はあるか?

高橋氏
 一部報道されているが、お客様の需要に応じた在庫を確保できている。予約された分についても対応できる状況なので、安心してほしい。

――楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」は影響が大きかったのか?

高橋氏
 明らかな影響があったのは間違いない。これをふまえ(povo 2.0といった)戦略をとった。

――5Gのエリア展開状況について

高橋氏
 年度末のエリアカバー率90%だが、若干黄色信号が出ている。ただ、我々は今年生活動線をエリア化することに非常にこだわっている。お客様に満足いただけるエリア展開に取り組んでいきたい。

――販売店の役割が変化しつつあると思うが、今後どうなるのか

高橋氏
 我々では、ライフスタイルサービスの商材を販売できるスキルを持った「au Style」という店舗を増やしていこうと思う。

 auショップのこれからの役割としては、通信サービス以外の商材の販売を担っていくことになる。

 デジタルデバイドが進んでいる時代といわれている。中国のように皆さんがスマートフォンを使ってもらえるよう、勉強していただく拠点としても、auショップは非常に有効だと思っている。

 端末の販売台数自体が少し減ってきているので、商材を増やしながら引き続き取り組んでいきたい。

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