ニュース

楽天グループ第3四半期決算、povo2.0について三木谷氏「影響はない」

半導体不足で約1万の基地局が納品待ち

 楽天グループは2021年12月期の第3四半期決算を発表した。売上収益は4069億円(前年比+12.6%)、Non-GAAP営業利益は-577億円となった。営業利益のうち、先行投資分のモバイル、物流、投資事業の損益を除いた額は480億円(同+16.5%)としており、好調であるとアピールした。

 本記事では、モバイル事業を中心に紹介する。

39都道府県でローミング終了、自社エリアの拡大を継続

 楽天モバイル代表取締役社長の山田 善久氏は、自社の4G基地局建設が順調に進行していることをアピール。電波発射済み基地局数は、9月時点で3万件を超えているという。

 一方で、半導体不足により特定の部材の納品が遅れているとしており、約1万局が納品を待っての完工となると説明。当初今夏予定していた人口カバー率96%は、この納品待ちの基地局の完工をもって完了するとしている。

 なお、KDDIのローミングサービスの切り替えも順次すすめている。2021年10月1日以降順次、自社エリア拡大が進んでいる39都道府県の一部地域でローミング終了する。

 山田氏は、ローミング回線では5GB超過後の速度制限がかかってしまうが、自社回線の環境を用意することで、顧客満足度の向上にもつながると説明。「ローミングエリアで速度制限を理由に申し込みをためらわれていた方への訴求が可能になる」(山田氏)とし、自社回線エリアの切り替え進捗が、今後の契約獲得ペースの加速につながるとしている。

契約数はMNO/MVNOで510万件

 2021年9月時点での契約数は、MNOが411万、MVNOが99万で合計510万契約と発表した。

 業績については、課金対象のMNOユーザーが増加したことによる増収が、MVNO→MNOの移行ユーザー向けの「3カ月無料」施策による減収を上回り、売上収益は前年同期比で+21.1%となった。

 一方、自社エリアの積極的な拡大によるネットワーク関連費用が増加し、営業損失は前年同期比-438億円となった。ローミングエリアの自社回線切り替えによる費用削減効果は、22年第2四半期以降を見込んでいるという。

モバイル事業は第2フェーズへ

 楽天モバイル代表取締役副社長兼CTOのタレック・アミン氏は「モバイル事業は楽天シンフォニーの始動と共に、第2フェーズに突入する」とコメント。テクノロジーとビジネスモデルの双方で高い透明性を担保し、顧客と真のパートナーシップが築けるとした。

 また、先日ロサンゼルスで開催されたMWC LAにて発表したソリューション「Symware」を説明。O-RANと従来のRANに対応する高性能プラットフォームで、通信業界初の革新的なソリューションだと説明する。顧客に提供するプラットフォーム「Madina」では、アプリストアのようにアプリケーションを提供し、ネットワークのスムーズな展開を実現できるとしている。

 特にドイツの1&1とのパートナーシップでは、O-RANで仮想化を採用したネットワーク構築に向けて前進していると説明した。

 アミン氏は「楽天シンフォニーは、世界中の通信事業者から100を超える引き合いがある。楽天シンフォニーの未来は明るい。楽天シンフォニーの革新的なソリューションは、5Gへ移行する通信事業者にとっても明るい未来を提供できる」とコメントした。

povo2.0の影響について三木谷氏「影響はない」

楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷 浩史氏

 質疑では、KDDIのオンライン専用プラン「povo2.0」に関する質問があった。povo2.0では月額基本料0円の料金プランで、先日のKDDI決算説明会でもKDDI高橋社長が「楽天モバイルを意識した」旨の発言をしていた。

 楽天モバイルへの影響について山田氏は「細かい流出入についてコメントすべきでない」と前置きしつつ「povo2.0の発表で、多少数字に影響は出ていると感じるが、大きく見ると、すごく大きな影響が出ている感じはしない」と説明。

楽天モバイル代表取締役社長の山田 善久氏

 楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷氏も「前年同時期で比較すると倍くらいの契約数増。povo2.0については影響はないと考えている」とコメントした。

 また、三木谷氏は「MNP転入による新規ユーザーも多い」と説明した。

 また、モバイル事業の黒字化見通しについて、「2023年単月黒字化」の進捗を問われた三木谷氏は「自社ネットワークの方が、ユーザー体験価値が高い」とし、自社エリア拡大が黒字化の要になると説明。

 新規申し込みの数も昨年の倍となっていることにも触れ、この勢いを維持できれば黒字化の見通しに影響することはないとした。

iPhone 13の安さの理由

 9月に発売したiPhone 13シリーズでは、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクよりも安価で販売している。

 これについて三木谷氏は「端末と言うよりは、サブスクリプションで利益を上げていく(経営スタイル)」とコメント。楽天エコシステムや、「楽天モバイルユーザーだと、楽天グループのほかのサービスを多く使ってもらえる」ことなど、他社と比較して多様な売上を上げるベースがあるため、「全般の端末戦略にアグレッシブになれる」と説明した。

楽天モバイルオンラインショップ
最新機種の情報をチェック