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アップル、「iOS 15」発表

 アップルは8日(日本時間)、開発者向けイベント「WWDC21」で、「iOS 15」を発表した。今秋提供される。7月にはパブリックベータが登場する。あわせて対応機種も発表された。

ティム・クックCEO
iOS 15のサマリー

対応デバイス

 iOS 15の対応デバイスは、iPhone 12、iPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、iPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone SE(第1世代)、iPhone SE(第2世代)、iPod touch(第7世代)

FaceTimeの新機能

 FaceTimeでは、いくつかの新機能が導入される。

 より自然な会話に近づけることを目指したとのことで、空間オーディオに対応。また周囲の音を抑え、ユーザーの声を優先的に届ける。

 グループ通話ではグリッドビューや、ポートレートモードが導入される

 そしてFaceTime linkとして、iOSデバイス以外でもブラウザからアクセスできるようになる。

FaceTimeで「SharePlay」

 FaceTimeで新たに導入される「シェアプレイ(SharePlay)」は、家族や友達と一緒に映画や音楽を楽しんだり、画面を共有したりできる新機能。

 FaceTimeの通話中に、映画やテレビをストリーミングして、友人らと同じコンテンツをリアルタイムで同時に楽しめる。同じように音楽も一緒に楽しめる。一時停止、巻き戻し、早送りなどSharePlayでの再生は同期される。また音量コントロールも自動調節され、騒がしいシーンなどでも友人の声が聞こえるという。

 また画面を教諭することで、Webブラウジング、アプリを使う様子を見せられる。

 複数のデバイスがサポートされ、Apple TVで映像を見ながら、あるいはHomePodで音楽を聴きながら、SharePlay自体はiPhoneのFaceTime経由でつながる、というかたちになるという。APIが用意され、サードパーティアプリにもFaceTimeを組み込めるとのことで、講演のなかでは、対応アプリとしてDisney+、hulu、HBO MAX、twitch、TikTokなどの名前が紹介された。

あなたと共有

 また「あなたと共有」という機能が、メッセージやアプリに組み込まれる。メッセージでURLや画像などを共有できる。写真、Safari、Apple Musicといったアプリに組み込まれ、そのアプリからメッセージに返信できるようになる。

集中モード(Focus)

 集中モード(Focus)と名付けられた機能では、ユーザーが今、何かをしている際にそのモードを選ぶことで、友人など他のユーザーにその状況を知らせられる。

 モードとしては、運転中、フィットネス、ゲーム、読書などが用意される。

通知サマリー

 通知機能が再設計され、アプリのアイコンが大きくわかりやすく示されるようになる。

 また数多く届く通知を要約(サマリー)して届ける機能も用意される。スケジュールをあらかじめ設定しておくことで、届くたびに通知を見るのではなく、ユーザーの日常にあわせてユーザーの好みのタイミングでアプリからの通知をチェックできるような仕組みとして提供される。

 デジタルウェルビーイングの一環としての提供となり、デバイス上で稼働するAIがユーザーの活動を分析することで、たとえば仕事中は同僚からの通知、あるいはメール、カレンダー、Slackなどの通知を優先して受信するといった使い方を実現する。この設定はiPhoneだけではなく、iPadやMacでも適用されるという。

Live Text

 あらたに「Live Text(テキストの認識表示)」機能が導入される。たとえばカメラ機能を使い、ホワイトボードのメモを撮ると右下にインジケーターが示される。そのインジケーターを、タップすると、写真内の文字列をテキストとして認識、コピー&ペーストできるようになる。なお日本語は非対応。

 またカメラで撮った風景のなかにテキストがあれば、その部分を認識してくれる。

Spotlight検索、オンデバイスAIで強化

 検索機能のSpotlightでは、デバイス上で動作するAI機能により、写真内の場所、人物、オブジェクトを認識。ホーム画面から簡単に「〇〇で撮った写真」といった形で検索できるようになる。また先述したLive Textと組み合わせ、写真内のテキストや手書き文字を検索できるようになる。

 また、俳優、ミュージシャン、テレビ番組などの画像検索結果を示せるようになる。

写真アプリの「メモリー」強化、Apple Musicとの連携

 写真アプリでは「メモリー(思い出)」機能がパワーアップ。
 ライブラリにある写真、動画を組み合わせ、家族の思い出の動画などショートムービー「メモリーミックス」を生成してくれる。

 Googleフォトにも同様の機能はあるが、iOS 15の「写真」アプリのメモリーでは、さらにApple Musicの楽曲を利用できる。ユーザーの好み、聴いた履歴をもとに、写真や動画と組み合わせて、ユーザーごとにマッチしたコンテンツを作成してくれるほか、好みの楽曲を選ぶこともできる。

Apple Payの機能拡充、デジタル身分証明書に

 Apple Payでは、米国の一部の州において、運転免許証やIDカードをWalletに追加し、デジタル身分証明書として利用できるようにする。まずは空港のセキュリティチェックポイントで利用できるようになるという。

 またiPhoneで自宅、ホテルの部屋、職場などの鍵を解除できる機能も追加される。

 iOS 14で導入された、iPhoneが自動車の鍵になる機能では、UWB技術の活用により、iPhoneをポケットやかばんに入れたまま、対応車種ではロック解除できるようになる。

天気アプリの改善

 天気アプリはiOS 15でリニューアルし、デザインが刷新される。背景がアニメーションで表現され、その場の天気を反映したものになり、雨風や雪、晴天などがわかりやすく示される。データも紫外線(UV)、気圧などがわかりやすく紹介されるという。

 天気図では、気温、降水量、大気の状況がアニメーションで紹介される。

マップアプリ

 iOS 15のマップアプリでは、商業施設、建物、標高、道路の色、カスタムデザインされたランドマーク、月明かりで照らされる夜間モードなどが導入される。

 iPhoneやCarPlayでナビゲーションを利用する際、マップは3Dで表現され、右左折、中央分離帯、自転車専用レーン、横断歩道などが従来よりわかりやすくなる。

 ARを使った道案内にも対応。iPhoneのカメラで周囲を捉えると、マップアプリでARを使い、進むべき方向を案内してくれる。

 このほか、公共交通機関を使った経路検索では、近くの駅と乗り継ぎの時間が表示され、Apple Watchでも「出口がもうすぐ」といった通知を受けられる。また好みのルートを上部にピン留めできるようになる。

Siri、「画面内容を教えてくれる」ように

 Siriは、AirPodsの「通知の読み上げ」や、ユーザーからの質問に応じて、画面に何が表示されているか、教えてくれるようにある。

「探す」がAirPods Pro、AirPods Maxに対応

 iOS 15では、「探す」アプリを使って、AirPods Pro/Maxを探せるようになる。

 また手元から離れたときに通知してくれる機能では、AirTag、アップル製デバイス、「探す」対応アクセサリーを、普段と異なる場所に置き忘れると通知してくれる。

 「探す」ウィジェットを使ってホーム画面からすぐ確認できるようになる。

翻訳がシステム全体に

 翻訳機能は、Live Translate機能で、より自然な会話ができる。またシステム全体で利用できるようになり、iPhone上のどこでもテキストを翻訳できる。

Safariに拡張機能

 WebブラウザのSafariでは拡張機能をインストールできるようになる。

ヘルスケア、プライバシーなど

 アプリプライバシーレポートという新機能では、アプリに許可したアクセスが、どの程度使われているか、頻度、アクセス先のドメインなどがわかる。

 またSiriではオンデバイス音声認識が追加され、ユーザーの声がiPhone、iPad上で処理される。この恩恵として、オフラインでもSiriの機能を活用できる幅が拡充されることになる。

iCloud+が登場

 クラウドサービスのiCloudの有料プランとして、価格は従来と同じのまま、新たな機能を追加した「iCloud+」が追加される。

 従来の機能はそのままで、さらにHomeKitのセキュアビデオサポート、ユーザー自身しか知らないメールアドレスを新たに生成して、メールを転送して隠しておける「Hide My Email」などが利用できるようになる。