インタビュー

モトローラのキーパーソンに聞く「razr 50」、その魅力と製品に込められた想いとは

 9月27日に発売されたモトローラの「razr 50」は、フリップタイプ、つまり縦折りタイプのAndroidスマートフォンだ。

 razrシリーズとしてはスタンダードモデルという位置づけながら、外側のディスプレイが以前のものより大型化し、さまざまなアプリをこれまで以上に使いやすくしている。

 今回、モトローラ・モビリティ カスタマーエクスペリエンス&デザイン ヴァイスプレジデントのルーベン・カスターノ氏に「razr 50」についてインタビューした。

カスターノ氏

――「razr 40」の登場から約1年、今回の「razr 50」で実現したかった、最も重要な要素は何ですか?

カスターノ氏
 9月17日の発表会でご紹介したように、「razr 50」の最も重要なアップデートは、間違いなく外部ディスプレイです。もちろん、それだけではなく、カメラ、バッテリー、チップセットなど、多くの点で改善が進められました。

 もう1つの重要な点は、40と50を比べたとき、サイズが大きくなったり厚くなったりしていない、という点です。もっと角張るという仕上がりでもありません。

――スペックをアップしながらサイズが大型化していない、ということは、デバイスの設計やパーツがさらに進化したという意味でもありますね。ユーザー体験と外部ディスプレイの関係について、もう少し詳しく教えてください。

カスターノ氏
 縦折りタイプのフォルダブルというフォームファクターの携帯性と持ち運びやすさは、多くのユーザーの方々に支持されています。外部ディスプレイで表示される情報が増えると、折りたたんだままでアプリを使える範囲が広がりますよね。

 そして、インストールされているアプリだけではなく、グーグルの「Gemini」を外部ディスプレイから使えるよう組み込んだという点もあらためて特徴として挙げておきたいですね。

――スマートフォンにおいて、コンパクトさや持ち運びやすさは確かに重要です。一方で、より大きな画面のスマートフォンが販売数を伸ばしています。

カスターノ氏
 確かに横開きタイプのスマートフォンも存在しますが、我々の製品は「razr」、つまり、このサイズや携帯性が特徴です。これ以外の形になると、それはrazrではなくなってしまいます。

 razrを作り上げるのは、「小さく」「ポケットに入れやすく」「外部ディスプレイで使いやすく」する必要があります。そして開けば、6.9インチの高精細ディスプレイを利用できます。さきほど挙げた3点に加えて大きな画面でバランスを取っているわけです。

――開発時にはどういった苦労がありましたか? あるいは、Geminiの搭載に向けてグーグルとどういった課題を乗り越えたのでしょうか。

カスターノ氏
 グーグルとのことについてお話できるのは、彼らが私たちモトローラのパートナーであるということであり、常に協力しているという点です。グーグルと競合するのではなく、補完するような機能や体験を揃えています。外部ディスプレイでのGemini搭載は、その好例でしょう。

 この「フリップタイプのフォルダブルデバイスで、外部ディスプレイへのGemini搭載」を果たしたのは、モトローラが最初です。

――ほかのスマートフォンメーカーも、フリップタイプのスマートフォンを開発、提供しています。razrならではのオリジナル要素は、ここまでご紹介いただいた内容以外に、どういったものがありますか。

カスターノ氏
 razrは20年以上という非常に長い歴史を持ちます。razrでは、とても革新的であることで、差別化を図ってきました。それは、ハードとソフト、両方で実現できていると自負しています。

 特にrazr 50では、そのAI機能が革新的な機能のひとつですし、パントーンとのパートナーシップにより、色や素材・仕上げを進化させていることもそういったもののひとつです。

 これらの取り組みがお客さまに共感していただき、魅力を感じていただけると思っています。「razr」はライフスタイルに寄り添う製品であり、特に若い方にとって、常に手にするスマートフォンは自身を表す存在にもなり得ます。

 「razr 50」は、スマートフォン版のrazrとして5世代目にあたります。市場にもたらす、もうひとつの革新性として、非常に堅牢で信頼性の高いヒンジ機構と折りたたみシステムを設計しました。

 これまで5世代にわたる経験と知的財産をモトローラは持っています。ボディサイズを大型化することなく、バッテリーが長持ちになり、カメラやチップセットも改善し続けられているということです。

――話は変わりまして、製品開発にあたって、日本市場から得たフィードバック、リクエストを盛り込んだ仕様にはどういったものがありますか。

カスターノ氏
 たとえば、防水性能です。「razr 50」にはIPX8等級の防水性能(水没し続けても浸水しない性能)を実現しています。

 また、外装に用いるヴィーガンレザーも汚れに強く、手入れも簡単です。美しさだけではなく耐久性も高いです。

 そうしたハードウェア面だけではなく、ソフトウェアとセキュリティのアップグレードに関するモトローラの取り組みもまた、日本のユーザーに向けて大切な要素だと思っています。

――最後に、本誌読者へ向けて、将来へのメッセージをお願いします。

カスターノ氏
 今後の製品について、具体的なお話はできませんが、将来像として、ハードウェアとソフトウェアの連携を挙げたいです。

 また、「razr」のフリップタイプというフォームファクターは、非常に柔軟性があり、ユーザーが写真・動画の撮影などで使いやすい最適なものです。

 さらなるAIによる改善を取り入れることで、今後、数年間で、このフォームファクターで非常に興味深いことが実現できるでしょう。

――ありがとうございました。