三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

モトローラ「razr 50」、軽快なフリップスマホで味わう撮影体験はどう進化したか

 モトローラからコンパクトな縦折り型Androidスマートフォン「razr 50」が登場した。以前「razr 40」をこの連載で取り上げたが、軽快で使いやすい印象はそのままに、今回の「razr 50」は進化した印象だ。

 端末のスペックや機能、価格など詳細は本誌別記事を参照していただきたい。

ポケットへの収まりと握り具合が秀逸な「razr 50」

 畳んだときに小さく、開けば懐かしいガラケー(フィーチャーフォン)のように持ちやすい「razr 50」。このスタイルは2月に紹介した「razr 40」と同様である。今回の大きなアップデート点はアウトディスプレイが大型化されたこと。

 畳んだときに外側になるこのディスプレイは、3.6インチ有機ELで解像度1066×1055ドット。「razr 40」では約1.5インチと小さかったが、大型化されたことによって折りたたんだ状態でも写真撮影や、さまざまなアプリの操作が可能になったのだ。これはうれしい。

 撮影時に、アイキャッチ画像を表示させて赤ちゃんなどの目を引いたり、撮影画像をリアルタイム表示してモデルに確認してもらいながら撮影したり、テントスタイルでのセルフィー時にプレビューを見ながらジェスチャーでシャッターを切ったりと、使いやすさが大幅に向上したのが特徴的だ。

「razr 50」のカメラはどんな感じ?

 搭載されているカメラは2つだ。スペックはこのとおり。


    標準カメラ:約5000万画素 F1.7 光学式手振れ補正対応
    広角カメラ:約1300万画素 F2.2 マクロ撮影対応

 ピクセルビニング対応で、出力はそれぞれ約13メガピクセルになる。

 なお、SoCはMediaTekの「Dimensity 7300X」を採用。メインメモリ容量は12GBで、内蔵ストレージ容量は512GBとガンガン撮影しても余裕である。

「razr 50」画角比較カット

 写りは「razr 40」と同じ路線で、高精細でシャープネスが高く、彩度も明るめで高い印象だ。

0.5x
1x
2x(2倍デジタルズーム)
10x(10倍デジタルズーム)

 超広角カメラ搭載のデュアルカメラ仕様となるが、日常的な記録やスナップ撮影ならば、ほとんどのシーンをカバーできるだろう。やや「盛った」絵作りが気にならなければ十分実用的である。

 撮影画面もオーソドックスで、スマートフォンに不慣れな人でもすぐ馴染めるに違いない。撮影機能も一般的なもので過不足は感じない。

「razr 50」でブラブラ実写スナップ

それでは「razr 50」を手にブラブラと街中をスナップ撮影してみよう。「razr 40」と同じくカメラの起動は簡単だ。手首を2回振ればカメラが立ち上がる「クイック撮影」がいい。またスリムなボディはホールド感が高く、うっかり落としたりする心配も少なそうである。

街中の落書きを撮った。やや線が太い写りながら、画面中心部から周辺部まで、貼られているステッカー類がしっかりと判別できる写りだ。色合いは見た目よりやや鮮やか目になった
マクロモードでランチに迫った。屋内照明の影響でやや暖色系にホワイトバランスが振れているが、レンズにくっついてしまいそうなほど接近できるこのモードは魅力的だ
「razr 50」は「razr 40」と同じく鮮やか目な写りを見せてくれる。SNS投稿中心ならば加工せずとも使える写真を手軽に撮影できる
ポートレートモードで吊られているライトを撮ったが、ボケの処理がなんとも面白い感じに仕上がった。これはこれでいい感じ
下北沢を徘徊していると空に虹が架かった。手首を2回ひねってカメラを立ち上げて撮影したが、HDRが存分に効いて鮮やかなカットになった。空と建物の明暗差をうまく補正して、記憶ベースの再現性に近くなっている
多摩川の土手で自転車をポートレートモード撮影。盛大に境界判定がコケたカットになった。こういうことが結構起こるので撮影時には注意が必要だ
「Ultra-Res」モードとノーマルモードの比較カット。さすが50メガピクセルは解像感が高く、葉の1枚1枚をノーマルモードよりしっかりと描いている。夕方が近かったせいか、グッと色合いを派手めに仕上げてくれた
ビール醸造所でのカット。外光と室内照明とのミックス光源だったが、見た目に近い印象の写真に仕上がった。メタリックの質感も高い
このようなシンプルな形状の被写体ならうまく背景をぼかせるようだ。被写体を選ぶポートレートモードと言えそうである
積まれた酒樽と大入り袋の描写がいい感じである。発色が鮮やかに感じるが、ミドルレンジ機らしいそつがない写りだ
夜景も鮮やかに盛って撮影できる。手ブレ知らずで、これからのホリデーシーズンはイルミネーション撮影などで活躍しそうである。ハイライトにややハロが出るが強力な点光源撮影時には注意したい

「razr 50」まとめ

 「razr 50」はハイエンド機と比べると買いやすい価格なので、フォルダブルスマートフォンデビューにピッタリの端末だと感じさせる。

 折りたたみ式の利点を活かした撮影法や(ビデオ撮影ではカムコーダースタイルも可能)、カメラ起動が簡単なところ、2画面を活かした写真編集作業など、モトローラの「razr」らしい使い方が好印象であった。何よりも軽量コンパクトで持ちやすいのがいい!

 ハイエンド機までの写りや機能が不要で「人とちょっと違ったスマホを使いたい」という人にはオススメできる端末だ。気になる人は実機を触って「パカパカ」してみてほしい。

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三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau