インタビュー

KDDI髙橋社長に聞く、ローソンとの「リアルテックコンビニ」への期待とpovoの新施策への考え

 18日、三菱商事とローソン、KDDIの3社は記者説明会を開催し、「リアルテックコンビニエンスストア」に向けた具体的な取り組みを発表した。

 会見後、ごく短い時間ながら、KDDI代表取締役社長CEOの髙橋誠氏へ話を聞くことができた。

ローソンのLポーズをしてくれたKDDI髙橋社長

髙橋氏
 発表会、どうでした?

――povoの取り組みにグッときました。

髙橋氏
 あれ、いいでしょう? 結構、隠し玉で。どこか(競合を)意識してるのかって感じたでしょ?

――auスマートパスが「Ponta パス」へリニューアルし、目標会員数を現在の1500万会員を2000万会員にする、とのことでしたが、もっと多く獲得できるのでは?

髙橋氏
 いったらすごいですよね。これまでの「auスマートパスプレミアム」だと、auだけと思われるところがって、やっぱり販売しづらい。名称を変えて、ローソンさんでも扱っていただけるようになります。

――auとUQの通信回線を利用する人に向けた施策は?

髙橋氏
 今回は「Pontaパス」ですね。

――通信サービスとの直接的な連携の取り組みはpovoということになりますか。

髙橋氏
 本当はpovoで“吊るし”(ここでは店頭で吊るして展示し販売されるもの)をやりたかったんですよね。

 データチャージカードでもやってきましたが、“吊るし”はいわば、プロモーションなんですよ。知ってもらえるようになると。

 今回はローソンを訪れると1回100MBがもらえる。データ通信専用のeSIMも買えるようになるので、使っていただけるようになるかなと。

ギフトカードを買って、povoのデータ専用eSIMをすぐ使えるようになる

――「当たり」が出るようになるとか。

髙橋氏
 あ、それいいですね。考えますよ。今日は300MB当たった! とかね。

 povo2.0がpovo3.0へ、というコンセプトでは、さまざまなサービスに通信を埋め込むという考え方です。

――“povo3.0”のわかりやすい例になりそうですね。

髙橋氏
 “主人公”がpovoから、そのサービスへ変わるわけです。今回の発表もまさに同じ。ローソンの竹増貞信社長が主人公で、すごくわかりやすい取り組みになるのかなと。

会見最後のフォトセッションでは、Lポーズのローソン竹増社長を中心に、三菱商事の中西勝也社長とKDDI髙橋社長が両脇を支えた

――ローソンとの協業については、2月の発表時点では、KDDIとしては法人向けの取り組みをメインに発表し、その後、インタビューなどを通じて個人向けにも取り組むことが明らかにされていました。どちらかに傾倒しない、みたいなバランスについては、どう考えていたのでしょう。

髙橋氏
 いや、個人向けについては、当社の竹澤(浩取締役執行役員常務パーソナル事業本部長)がリードしている部門によるもので、今回はPontaパスを実現させました。

 一方、法人向けとしては、当社の桑原(康明代表取締役執行役員副社長 ビジネス事業本部長)のチームです。

 正直、ローソンさんのシステムも、これまでの歴史もあって、手を入れなきゃいけないところがあるようです。

 なので、バランスを取るのではなく、両方がっちりやっていく。

――今回、展示も数多くラインアップされていました。

髙橋氏
 そうでしょ? 結構、気合入っているでしょ?

 社内で「ワクワクツアー」という取り組みをやっていて、そのテーマが「サステナビリティ経営」。サステナビリティ・持続的な社会に向けて、どう貢献するのか。事業にどう紐付けるのか。それをみんなで考える場です。

 でも、「サステナビリティ」と言うより「ソーシャルインパクト」と伝えたほうが、伝わりやすい。自分たちの事業が、どう社会へ影響をもたらしているのかと。

 その社内向けイベントである「ワクワクツアー」と、今度、スケールアップして「ワクワクフェス」として開催するんです。で、今回の展示をそのまま並べて、全社員に見てもらおうと思っています。

 その流れで、来年のMWC(モバイル業界の世界最大の展示会イベント。毎年2月~3月ごろにスペイン・バルセロナで開催される)で、「リアルテックコンビニエンス」を紹介しようかと思っています。

――訪日外国人にも日本のコンビニは人気と言われますよね。

髙橋氏
 日本は少子高齢化が進み、いろんな事柄での課題先進国とも言われます。各国、同じような課題へ直面していくなかで、日本ならではの付加価値・取り組みが役立つんじゃないかと。その中心にいるのがコンビニですよね。

 そこで、(リモート接客の)“よろず相談”がどこまで受け入れていただけるかが課題でしょう。

 先日、データを見返していたんですが、日本の場合、AIに対する関心は高いのに利用率は低いんですよね。これって、たとえば音声認識で操作することがハードルになっているかもしれません。そのあたりを乗り越えたらAIがもっと浸透するでしょうから、仕掛けづくりが大切です。

――とはいえ、コンビニでITテクノロジーをアピールしすぎると、ちょっと敬遠されそうです。

髙橋氏
 ですよね。テクノロジー(の積極的な導入)は法人向けでいいと思っています。個人向けはまず「あげすぎチャレンジ」など、定番の取り組みからでいいと思います。