インタビュー

国内でもライカ搭載になったお手頃価格のハイエンドモデル「Xiaomi 14T/14T Pro」を投入するシャオミの戦略とは

Xiaomi 14T/14T Pro

 10月11日にシャオミ・ジャパンは新モデル「Xiaomi 14T/14T Pro」を発表した。Xiaomi 14T ProはSIMフリー版のほかソフトバンクからも11月下旬に、Xiaomi 14TはauとUQ mobileから12月中旬に発売される。

 シャオミの国内ラインナップには、上位フラッグシップモデルとして夏発売の「Xiaomi 14 Ultra」があるが、Tシリーズはフラッグシップ並みの性能をコスパの高い価格で実現するモデルに位置づけられている。そして今年のモデルのXiaomi 14T/14T Proは、国内向けTシリーズとしては初めて、ライカと共同開発したカメラを搭載することも特徴となっている。

左=シャオミ・ジャパン プロダクトプランニング部 本部長の安達晃彦氏。右=同社の大沼彰取締役社長

 今回はこうしたシャオミ・ジャパンの積極的な商品展開について、同社の大沼彰社長とプロダクトプランニング本部の安達晃彦本部長に話を聞いた。

――まず、5月に日本で初投入となった上位フラッグシップモデル「Xiaomi 14 Ultra」の手応えはどうだったでしょうか。

大沼氏
 具体的な数字は出せませんが、想定を上回ったことは間違いありません。「オープンマーケットでは(数字的に)これくらいかな」などいろいろ考えましたが、すぐに在庫切れになってしまいました。すぐに生産できるわけではないので、販売機会を逃したという側面もあります。

Xiaomi 14 Ultra

 想定以上に売れた要因はなにか。フラッグシップでライカ共同開発カメラ搭載ということでギーク層中心に考えていましたが、実際にはこうした面白さや楽しさがギーク層以外にも広がりました。ライカならこういったことができるんだ、ということが幅広いお客さまに響きました。それが広がってきたことで、成果につながったと思っています。

安達氏
 ブランドイメージも大きかったかと。今回発表したTシリーズ、11Tから4世代目になりますが、日本ではこのTシリーズが最上位のフラッグシップとして認識されていた面があります。しかしギーク層には、本国(中国)やグローバル市場で展開している上位フラッグシップのナンバーシリーズが認知されていました。

 そのフラッグシップのナンバーシリーズの最新モデルである「Xiaomi 14 Ultra」が日本に入ってきたとき、コスパだけでなく最高峰の性能やカメラなど製品の魅力を伝えられたのは、いろいろなメディアなどに取り上げていただいたおかげだと思っています。YouTuberやブロガーの皆様にも自発的に情報を発信していただき、シャオミのブランドと上位フラッグシップの性能を伝えていただけたのは大きかったです。

――今後もUltraシリーズは継続されますか?

大沼氏
 当然、続きとして出していきたいと思っています。本社と話し合いながら、そういったところの可能性を引き続きやっていきたいです。

安達氏
 Xiaomi 14 Ultraでは市場にポジティブな反応をもらったので、本社とも話し合いやすいかと思っています。引き続き売れてくれれば、と。

国内向けTシリーズでは初搭載となるライカ共同開発カメラ

――カメラを共同開発したライカへの期待はどうでしょうか?

安達氏
 グローバルでは昨年のXiaomi 13T Proからライカのカメラを採用していました。日本でもXiaomi 13T Proからライカカメラを入れたかったのですが、実現しませんでした。ユーザーからもライカカメラが搭載されなかったことを残念に思うフィードバックが非常に多く、それがXiaomi 14 Ultraの発売にもつながりました。本来、お届けしたいと考えていたライカカメラの撮影体験をお届けできること、商品としてフルスイングでお届けできることは非常に嬉しいことです。

 Xiaomi 14Tシリーズは、昨年のXiaomi 13Tからアップデートされたポイントが大きいです。ライカカメラを昨年投入できなかったのは残念ですが、今年投入できたのは良かったと思います。

大沼氏
 SNSを含め、皆様のお声が大きいと思っています。昨年のXiaomi 13Tシリーズはグローバルではライカ搭載だけど日本ではライカなしで出た、と。ライカ搭載のグローバルモデルの話も、メディアなどのおかげで広がりましたが、それが日本では出ないということで、ユーザーのあいだでも残念感が広がりました。そこで今年のXiaomi 14 Ultraでライカ搭載で出る、と。昨年できなかったことが今年できる、ライカも一緒になっているというのは大きいところです。

――過去のTシリーズはキャリアからも販売されていますが、どういったユーザー層に選んでもらっているのでしょうか。

安達氏
 シャオミはSNSでのやりとりは活発ですが、いわゆるマーケット調査や細かい傾向の定量トラッキングはやっていません。しかしシリーズコンセプトの「フラッグシップ性能をお手頃な価格で」というのは変わりません。端末として高性能を求めるけど、予算は一定まで。商品のバリューを感じながら見極められる方、そういった方にTシリーズが届けば、と。

 そうした中で毎年アップグレードし続け、今回のXiaomi 14 Tにつながっています。いまはシャオミとしてもラインナップが拡大し、認知が広がっているタイミングなので、さらに多くのお客さまに手に取っていただければと思っています。

――Tシリーズの強みとは?

安達氏
 比較する相手によるところです。Xiaomi 14 Ultraとなると、同様の上位ハイエンドモデルは他社にもたくさんあります。Tシリーズはフラッグシップ級の機能を搭載しつつ、お手頃な価格としています。他社のフラッグシップと比べ、「この機能がこの価格で」というのが強みです。半額とは言えませんが、4割引くらいの価格になっていると考えています。

大沼氏
 グローバルでは他社との比較もやっていますが、日本ではそういった比較はしていません。同じ時期のものを比較できるわけではないので、そういったところは他社にも失礼なのでやりません。

Xiaomi 14T

――Tシリーズの課題、ここはクリアしたい、みたいなことはありますか?

大沼氏
 課題というかはわかりませんが、継続して出し続けることです。法規制などでマーケットの変化を見るところでも、出し続けるのが良いか、違うレンジが良いのか、いろいろな考えがあるとは思いますが。

――国内でもシェア第3位になりましたが、その原動力は?

安達氏
 まだ瞬間風速的なものですが。

大沼氏
 キャリアとのタッグがうまくいったと考えています。9割がキャリアのマーケットなので、そこをしっかりやらないと第3位にはなれません。そういったところでしょう。

――シャオミのポップアップストアは延長が決まりましたが、常設店舗はやらないのでしょうか。

大沼氏
 そこはやっていきたいです。いまは試験的にやっていますが、試験だけでは意味がありません。日本は流通や場所、コストの問題もあるので、まずは試験して、いつどこでどうやってやるかを考えていきます。

――本日はありがとうございました。