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POCO F7シリーズグローバル発表会で感じたシャオミの勢いと破壊力

 シャオミ内のオンライン専用ブランドである「POCO」は、3月27日に新フラッグシップモデル「POCO F7シリーズ」を発表。本誌でも紹介されている通り、日本でもグローバル市場に合わせて、POCO F7 Pro、POCO F7 Ultraが発売された。

 端末の詳細については、別記事を参照していただくとして、本記事では、グローバル発表会が行われたシンガポールから、肌で感じたシャオミの勢いやPOCOブランドの破壊力について紹介していきたい。

サブブランドも含めて年々存在感を増していくシャオミ

 そもそもPOCOブランドは、シャオミ内のオンライン専用ブランドとして、Xiaomiシリーズ、Redmiシリーズとは別軸の存在。メーカーとキャリアで違いはあるが、KDDIのUQ mobileや、ソフトバンクのワイモバイルのような、サブブランド的立ち位置とも言える。必要十分な性能を追求し、コストをできるだけ抑えるという意味でも、キャリアのサブブランドに近い思想があると言えるだろう。

 そんなPOCOが、グローバル発表会として、日本メディアを含む各国のメディアや、「mi ファン」と呼ばれる、いわばシャオミ公認のファンたちを集めて、大々的にイベントを行ったというだけでも、インパクトのある事実だろう。世界的メーカーでも、タブレットやPCの新製品発表を、リリースのみで行うことがある昨今の業界動向を鑑みれば、なおさらである。

タッチ&トライの様子

 POCOは、「Everything you need Nothing you don’t」というスローガンを掲げ、若者世代を中心に、コストに対する性能や、テック愛好家のニーズを満たすことを重視している。

 いわば「刺さる人には刺さる」ブランドのはずだが、グローバル市場で価値のあるブランドのTOP50に入り、POCOのフラッグシップシリーズは530万台以上を出荷するなど、シャオミのメインブランドと同様に、年々存在感を増している。

 日本市場視点でいえば、2025年2月12日に、POCO X7 Proを発売したばかり。同時に、POCOブランドとして、日本市場に本格参入することを明言しており、今回発表されたPOCO F7シリーズも、さっそく日本で発売を開始している。

 Xiaomi全体で言えば、2025年だけでも、すでにXiaomi 15 UltraやRedmi Note 14 Pro 5Gを発売しており、POCO F7シリーズ、4月に発売されるXiaomi 15も含め、3か月のうちに6機種が発表、発売される見込みとなる。

 グローバル発表から、あまり時間をおかずに日本市場でも展開するために、シャオミジャパンが尽力した結果ではあるが、これだけのスパンでスマートフォンを投入できる勢いが、今のシャオミを象徴している。

 また、日本ではイオンモール浦和美園、イオンモール川口と、2店舗続いて常設店をオープンするなど、勢いはとどまることを知らない。常設店を開くため、品数が必要だったという側面もあるが、IoT機器も続々と日本で展開され始めており、スマートフォンメーカーの枠から飛び出している点からも目が離せない。

Xiaomi Storeイオンモール浦和美園店グランドオープンの様子

 ちなみに、日本のXiaomi Storeでは、オンライン専用ブランド(であるはず)のPOCOシリーズも展示、販売されている。現状は埼玉県に2か所のみではあるが、実機を触ってから、端末の購入ができるというメリットは大きいだろう。

POCO F7シリーズはメイン端末として活躍できるバランスも備える

 今回登場したPOCO F7シリーズは、POCOシリーズの中でも、フラッグシップモデルという位置づけになる。特にPOCO F7 Ultraは、シリーズ初の〝Ultra〟を冠したモデルとなっており、Snapdragon 8 Elite、12GB/16GBメモリを搭載。Xiaomiブランドのハイエンドモデルと同等のAI機能も利用できる。

 グローバル発表会で強調されていたのが、ゲーム体験とカメラ機能、そして価格。もとより、価格に対するパフォーマンス性能を重視してきたPOCOシリーズであるため、ゲーム機能と価格にフォーカスをする方向性には納得感がある一方、フラッグシップモデルとして、カメラ機能も強調することで、普段使いにも快適なハイエンドスマートフォンとしても実用的であるアピールを強めた。

 カメラは、POCO F7 Proが、約5000万画素広角、約800万画素超広角の2眼、POCO F7 Ultraは、約5000万画素広角、約5000万画素望遠、約3200万画素超広角の3眼。ライカと共同開発したカメラを搭載する、Xiaomi 15シリーズと比べれば見劣りするのに加え、ミドルレンジモデルのRedmi Note 14 Pro 5Gにも、2億画素の広角カメラが搭載されていることを鑑みると、フラッグシップモデルとしての必要十分を突き詰めた構成だと感じる。

 ゲーム体験としては、Ultraモデルに、グラフィック専用のVisionBoost D7チップを搭載したのに加え、両モデルでPOCO初の3Dデュアルチャンネルによるアイスループシステムを採用、2K解像度の有機ELディスプレイを搭載し、ゲームプレイ時専用のソフトウェアコントロール機能も利用できる。

 原神といった複数のゲームタイトルにおいて、ブースト機能が利用できるのも特徴。これらの処理性能、およびゲーム機能の紹介シーンでは、会場でも逐一拍手が起きており、「POCOシリーズ最大の魅力はここ」と言わんばかりの盛り上がりも見せていた。

 グローバル市場での販売価格は、POCO F7 Proが449ドル~、POCO F7 Ultraが599ドル~となる。日本では、POCO F7 Proが6万9980円~、POCO F7 Ultraが9万9800円~。シリーズの特徴であるコストパフォーマンスは抜群で、フラッグシップSoCを搭載するUltraモデルですら、10万円を切る衝撃の値付けとなる。

 このようにスペックと価格を並べてチェックすると、POCOシリーズのコンセプトである、求められるハイパフォーマンスを実現しながら、価格を抑えたのが、POCO F7シリーズだと感じる一方、フラッグシップモデルながら、これまでよりも若干大衆向けで、メイン端末としての活躍もできる端末であることをアピールしているという側面も見えてくる。

 特にプレゼンでは、Androidスマートフォンの中で”最も有名なUltraモデル”であろう競合他社のGalaxy S25 Ultraとの比較が頻繁に行われ、POCO F7 Ultraの強みを強調。魅せ方はさておき、「みんなが知っているUltraよりも優れた点が多く、安い」というアピールは強烈だった。

XiaomiとRedmi、POCOのすみわけでさらなる躍進も視野

 POCO F7シリーズで強調されているゲーム、カメラ、コスパの3軸は、シャオミ内のブランドを俯瞰してみたときに、それぞれ、ゲームのPOCO、カメラのXiaomi、コストのRedmiという当てはめ方もできる。

 ライカと共同で開発した、強力なカメラを中心に構成されたXiaomi 15シリーズ、メインカメラを強化しながらも、お手頃価格で展開されるRedmiシリーズ、カメラ性能も上げながら、ゲーム機能やコスパにこだわるPOCOと、それぞれが個性をもったブランドとして成長しているのが、わかりやすく面白い。

 より多くの人に受け入れられるよう、バランスよく構成されているのが、XiaomiやRedmiブランドだったが、今回のPOCO F7シリーズでは、カメラ機能も強化されたことで、これまで一点、二点にとがっていたパラメーターが、バランスよくなってきている。

 発表会では、ゲーム機能を強調して紹介しながらも、「ゲーミングスマートフォンではない」と語られているのも、POCOブランドとして主張したいポイントなのだろう。

 つまり、全体的に機能向上を図り、ユーザー体験のベースを底上げしながら、ブランドごとの個性を出しているのが、今のシャオミの特徴だ。オンライン専用という特徴を持つPOCOブランドにて、感度の高いユーザーが求める傾向にある、ゲーム体験に注力されているのも、納得感がある。

 短期間で多数のスマートフォンを展開しているため、わかりにくさを感じる部分もあるが、内訳をよくチェックすれば、「自分に合った端末」が見えてくるはずだ。言い換えれば、それぞれに合った端末を、ブランドを分けて用意できているシャオミという見方もでき、今後さらに躍進していく期待感高まる。

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