【MWC Barcelona 2026】
楽天・三木谷氏が「MWC26」基調講演に登壇、世界に「楽天エコシステム」強さを語る
2026年3月4日 00:57
MWC26 Barcelonaの会期初日にあたる3月2日(現地時間)に、楽天グループの会長兼社長の三木谷浩史氏が基調講演に登壇。楽天モバイルの現状や、モバイル通信事業者がエコシステムを持つこの重要性を説いた。基調講演後には囲み取材にも応じ、楽天モバイルや楽天シンフォニーに関する質問にこたえた。
三木谷氏は、まず楽天市場創業の経緯から始め、楽天モバイルを立ち上げたときのエピソードを披露。周囲からは「クレイジーだ」と言われながらも、完全仮想化ネットワークを導入したことを紹介した。
伝統的なキャリアが収益を上げていく方法は、「とてもシンプル」だとする三木谷氏。「1つが加入者、もう1つがデータで、収益を最大化しながらトータルコストを下げるというとてもシンプルな話」とした。
ただ、その手法も限界にきている。そこで重要になるのが経済圏になる。三木谷氏は、既存のキャリアと楽天モバイルの違いを、次のように説明する。
「既存のオペレーターの多くは、モバイルネットワークの上にエコシステムを築くのに対し、我々はもともとがOTT、Eコマース、トラベル、保険、ペイメントといったさまざまな事業をしていた。そこにモバイルを組み込み、通信サービスからコンシューマーサービスにどうコンバートしていくか、ということに取り組んでいる」
その実例として、決算説明会などでも挙げられている楽天経済圏への送客効果を示す。三木谷氏によると、楽天のユーザーが楽天モバイルを使い始めると、平均して2.43個、追加でサービスを利用するようになり、楽天市場で約50%、楽天トラベルで約20%、楽天カードで約30%ほど、利用額も増加するという。
「データは金脈」と語った三木谷氏だが、そのデータを活用し、「Rakuten Link」でもお勧めの情報を「AIをベースにパーソナライズしている」という。また、「自社でLLMを構築し、ユーザーエクスペリエンスやリワードプログラム(ポイントプログラム)をパーソナライズし、収益を最大化している」ことも語られた。
楽天モバイルは、自身で構築した完全仮想化ネットワークのソフトウェアを楽天シンフォニーを通じて外販しており、世界各国の通信事業者が集うMWCでも商談を行っている。その楽天シンフォニーは、ポイントプログラムやコンテンツプラットフォーム、ソーシャルメッセージサービスのプラットフォームといった、楽天が得意とする上位レイヤーの導入も支援しているという。
三木谷氏によると、「テレコムカンパニーを支援するだけでなく、契約者をポイントプログラムにコンバートしていく」といった活動も行っているという。同氏は、「ノーエコシステム、ノーフューチャー」という言葉で、講演を締めくくった。
囲み取材
公演終了後には、日本のメディアからの取材にこたえた。その一問一答は以下のとおりになる。
――世界のキャリアにエコシステムを作れというのは、なかなかハードルが高い気がしました。
三木谷氏
いや、でも興味はすごいですね。このままだとなかなか難しいということですよね。
――シンフォニーでも、もっとポイントのエコシステムを売っていきたいという意思の表れでしょうか。
三木谷氏
そうですね。もともと海外向けに楽天ブランドではないリワードプログラムを提供する仕組みがあって、アメリカだと大手銀行や大手航空会社にも提供していて、かなり大きいんですよ。
今まではあまりテレコムには提供してこなかったのですが、それに結構興味を持っていただいている。
そういう単純なポイントプログラムを提供するというのはやりますし、それ以外のRakuten TVはOrangeさんやそれ以外のいくつもの会社が乗ってきています。
――単体ではなくシンフォニーのネットワークとのセット販売というようなこともあるのでしょうか。
三木谷氏
(海外の顧客に)行ったら、「エコシステムの構築も手伝ってくれ」と言われるんですよ。なんらかの取引があるとそこから広げやすいじゃないですか。入口としては、それもありだと思っています。
――欧州は強いのでしょうか。
三木谷氏
Rakuten TVは結構強いですね。
――SpaceXも次世代の話をしていましたが、ASTで他社にどう対抗していきますか。
三木谷氏
分かっているのは、衛星会社はその国にとって重要な施策ということなので1つというわけにはいかない。2社は必要なのかなと思います。
――ASTはいつごろサービスを開始しますか。
三木谷氏
目標としては年内のサービス開始、ただその時に24時間ではないかもしれないです。でも年内にはサービスインしたいです。派手さはSpaceXほどじゃないかもしれないですが、いいサービスですよ。
――そうなってくると、ローミングは必要ない感じですか。
三木谷氏
いやいや(笑)。ローミングは必要です。SpaceXもグランドステーションに比べるとという話なので、(衛星は)補完的に山間部や過疎地にということになると思います。
――講演では完全仮想化をクレイジーと言われたという話をしていましたが、楽天モバイルが1000万契約を超えて、見方は変わったような話はありますか。
三木谷氏
そうですね。1000万契約もそうですし、Open RANでレベル4の自動化ができているのはうちだけということになりました。
Open RANをすることで何がいいかというと、1つはオートメーションがしやすくなること。もう1つはベンダーロックインから逃れることができる。
うちは40以上のレディオ(無線機)を使っているので、それがこの規模で動いているということに興味を持っていただいています。
――ここ数カ月の三木谷さんのお話と比べるとAIの話が少なかったような気がしました。
三木谷氏
今日のオーディエンスは通信会社なので、シンフォニーの技術を買ってくださいというのがメインなので(笑)。ついでにエコシステムのプラットフォームを売りますという売り込みでした。
――シンフォニーを使う会社はどのような地域的な傾向がありますか。
三木谷氏
いわゆる先進国もRAN、OSS、クラウドの3つのどれかを使っている会社は増えていますが、最近は東南アジア、中央アジア、アフリカがかなり興味を持っています。アフリカが多いかな。南米はまだ少ないと思います。
――新興国の方が強いですか。
三木谷氏
これからネットワークを強化する局面に向かうじゃないですか。まだ5Gもこれからというところもあるので、やるなら新しいところでというようになるのだと思います。
――収入的にはどこまできていますか。
三木谷氏
細かい話は決算でやっていますが、けっこう大きくなってますね。ただ、ハードウェアの部分はできるだけやらないようにしています。ハードウェアは買って売ってになり、利益率は低いので。そのぶんを除いたソフトウェアの部分は順調に伸びています。
――手ごたえはどうですか。
三木谷氏
殺人的なスケジュールです(笑)。明らかに大きくなってますね。









