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楽天グループ三木谷社長「EC流通総額10兆円達成はAIエージェントと楽天モバイルが要」、加盟店向けイベントで力説
2026年1月30日 18:35
楽天グループは30日、楽天市場出店者向けのイベント「楽天新春カンファレンス2026」を都内で開催した。冒頭、同社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏による講演が行われた。
流通総額10兆円達成のキーは「AI」
三木谷氏は講演冒頭、2030年に国内EC流通総額を10兆円にしたいとコメント。そのためには、AIをどうやって活用していくかがキーになると説明。「AI超活用」をキーワードに、同社ではさまざまなサービスでAIを活用していると話す。
楽天市場の加盟店でも、楽天のAIプラットフォームやほかのAIを活用している店舗が多くなってきているといい、「基本的には生産性を倍増させられる」と呼びかける。AIの進化について三木谷氏は「AIエージェントの性能は7カ月ごとに倍増する」と指摘。半導体の集積密度が2年で2倍になる「ムーアの法則」をなぞり、半導体の性能向上をはるかに上回るAIの性能向上があるという。
楽天グループでは、約800人のAIエンジニアでAI機能を開発しているといい、楽天市場のAIコンシェルジュや楽天トラベルなどさまざまなサービスでAIエージェントが活躍している。たとえば楽天ビューティーでは、サロンの店舗選びから予約までをAIエージェントが行い、ユーザーはワンストップで最適なサロンを見つけられるという。
また、加盟店向けにも「Rakuten AI for Business」を提供しており、日頃の運営や書類整理、法的対応などを代行してくれる。たとえば、楽天市場に出品する商品の説明を画像からAIが生成してくれたり、画像を動画クリップに仕上げてくれたり商品管理に利用できる。また、ユーザーからの問い合わせ対応や、レビューへの返信、店舗のパフォーマンスの分析など、単純に効率を上げるだけではない性能強化が図られている。
これらAIエージェントが動く秘訣を、三木谷氏は「データを統合できたから」と指摘する。楽天市場でこれまで蓄積したデータや、月間4000万人のユニークユーザー数に加え、1000万回線を超える楽天モバイルユーザーのデータも生かされていると説明。楽天市場の外でユーザーがどのような行動をしているかまでを分析することで、より精度の高い提案ができるようになるという。
また、自社で開発しているメリットとして、コスト削減のほか、「専門性の高いAIが開発できる」ところが大きいと三木谷氏は話す。ショッピングに特化したAI、トラベルに特化したAIとすることで、よりきめ細やかな開発ができ、高性能なエージェントAIを開発できているのだという。
これらのAI開発では、実際に売り上げにつながる効果が出てきており、楽天市場のAIコンシェルジュでは購入決定までの時間を約43%削減、平均注文金額が約41%向上している。また、三木谷氏が「TikTokのような購入体験」と話す「ディスカバリーレコメンデーション」は、ユーザーの好みにあわせた商品がスクロールで次から次へと表示されるもので、今後もAIを使った機能強化が進められるという。
楽天モバイルで人手不足解消
2030年の国内EC流通総額10兆円達成に向けて、もう一つ重要なものとして「楽天モバイル」を挙げた。
楽天モバイルは、2025年12月に携帯キャリアサービスの契約数が1000万回線を突破した。三木谷氏は「楽天市場加盟店からも約3万回線の契約がある。できればもっと入ってほしい」とこぼしながら、楽天モバイルを活用することで、加盟店の“人手不足”を解消できると語る。
三木谷氏は、さまざまな企業で今直面している最大の問題は“人手不足”と指摘。楽天市場の出店者にも多い地方企業にとって「人手をどれだけ確保するのかが重要なポイントだ」と話す。そんな中、「楽天モバイル」を福利厚生に取り入れている企業が増えてきているのだという(楽天モバイル職域プログラム)。
その企業の1つが「エスワイフード」だ。同社は、「世界の山ちゃん」などの飲食店を運営しており、人による接客を大事にしているのだという。そんななか、従業員への福利厚生として「平等で価値のあるもの」として楽天モバイルのWi-Fiルーターを貸与している。従業員は自宅や会社などでの通信代金を会社が負担することで、可処分所得の増加につながっているという。実際に、ほかの施策なども含めて離職率が23.5%→6.7%へ低減する効果も見られた。特に、在日外国人のスタッフは、通信契約に関わるハードルが高いため、喜ばれているという。
三木谷氏は、「今後の少子化でますます人手不足になる。これは楽天グループにとっても大きな課題」と、このプログラムが課題克服の一助になると説明する。
楽天エコシステムの要
楽天モバイルがもたらす楽天エコシステムへの効果として、三木谷氏は購入額のほか年齢層にも注目し、「楽天市場の課題として若年層が薄いというものがあったが、楽天モバイルでは若年層の伸びが高まってきている」と説明。楽天モバイルから若年ユーザーを楽天市場に送り込むことで、楽天市場に直接的な効果を与えていると話す。
また、楽天モバイルの通話アプリ「Rakuten Link」からの送客も効果が上がっていると説明。Rakuten Linkアプリから楽天市場への送客が進んでいるほか、加盟店による「公式アカウントサービス」による送客も進んでいる。メールでの送客が難しいなか、アプリ経由でのメッセージで新規顧客の創出に寄与しているといい、松屋フーズでは新規顧客の45%近くがRakuten Link経由で獲得するなど、効果も上がっている。
加盟店向け紹介プログラム
楽天グループでは、楽天市場の加盟店が楽天モバイルをユーザーに紹介し、ユーザーが回線契約すると、加盟店に活動協力金が進呈される紹介プログラムを実施している。
加盟店の1つである澤井珈琲では、商品発送時に紹介のチラシを同封したり、楽天モバイル紹介用のドリップパックを制作したりすることで、これまでに760回線を獲得。自店でも、楽天モバイルの契約前後で購入額が23%向上する効果も見られたという。澤井珈琲常務取締役の澤井理憲氏も、楽天モバイル契約による売り上げ効果を期待し、「楽天社員と一緒に日本一のモバイルを目指す」とコメント。楽天市場加盟店とともに、楽天エコシステム全体の拡大を印象づけた。













