【MWC Barcelona 2025 】

KDDIはスタートアップと世界を目指す、MWCブースで見せた姿

 スペイン・バルセロナでの展示会「MWC25」に出展したKDDIのブースは、ローソンをリアル店舗をモチーフにしたものだった。

 そして、そのブース内には、KDDIのソリューションだけではなく、KDDIが出資する、あるいは支援するスタートアップの製品・サービスも展示され、未来の小売店のDXを示す内容となっていた。

清水氏

 KDDIオープンイノベーション推進本部BI推進部エキスパートの清水一仁氏によれば、今回、コラボして展示するスタートアップは7社。そのうち4社は、期間中、KDDIブースにおいて催されたピッチイベントに出演してもらい、英語でプレゼンテーションしたという。

 「スタートアップ企業が海外を目指す」という話を、もしかしたら当たり前のように受け止める人がいるかもしれない。しかし、清水氏は「日本で実績を作り、米国や欧州を目指すことはあったかもしれないが、うまくいっていない実態もある」と語る。海外の投資家からすれば、日本発のサービスや製品が本当に自国で展開するかいぶかしげに見られることもある。

 日本政府には、岸田政権時代の2022年、「ユニコーン企業(企業評価額10億ドル以上の未上場スタートアップ)を5年で100社にする」という目標があるものの、現状、100社には遠く及ばない。

 清水氏は、そんななかで、この1年で、国内のスタートアップやファンドで、グローバルへの意識が高まってきたと指摘。政府の目標があり、助成金も存在はするが目標には届かない。

 そんな状況を変えるには、そもそものマインドを変え、日本で実績を積んでからではなく、最初から世界を目指す。そして、誰かがきちんとスタートアップを支援する必要があり、国内でスタートアップ支援トップのKDDIがやることではないか――それが清水氏、ひいてはKDDIの考えであり、今回のMWCブースでのスタートアップとの連携につながった。

 展示物としては、商品を載せ、自動運転でユーザーの元を目指す自動車があり、こちらは自動運転スタートアップのティアフォーの技術を活用。

 店舗の棚を模したコーナーでは、商品を手にすると棚のデジタルサイネージの表示が変わる。これは、カメラと人物認識技術を利用したもので、Ideinと協力して構築した。

棚を模したコーナーでカメラとAIを駆使したデジタルサイネージ

 Telexistenceと協力したコーナーは、自動制御で、棚へ商品を追加する飲料品出し業務を紹介。ローソンとの発表会でも紹介されたもので、日本からロボットを運び込んで、世界へ発信した。

 STYLY、スペースデータとともに提供したコーナーでは、Apple Vision Proを用いて、ARで“宇宙でのショッピング体験”を紹介した。

 こうしてスタートアップとともに店舗や小売のDXがKDDIブースの大半を占めており、目玉と言ってもいい仕上がり。清水氏は「ひとつひとつの技術には、競合もいるが、たとえば北米の先行事例を模倣しているわけではない。KDDIが参画するOpen GatewayのAPIも利用してほしいし、パートナーも集めていきたい」とコメント。MWCをスタートアップの世界進出の契機にしたいと語っていた。