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ドコモ傘下のOREX SAI、インドネシアで5Gの宅内向けブロードバンド構築へ

 NTTドコモ傘下のOREX SAIは4日、インドネシア企業のSolusi Sinergi Digital(SURGE)と複数年の商業契約を締結した。OREX SAI CTOの安部田貞行氏によれば、この1年でもっとも大きな取り組みになるという。

 OREX SAIは、携帯電話の無線通信ネットワークを複数のメーカー製品で構成できるようにする「O-RAN」という仕様でのソリューションを提供する。通信サービスを手掛ける事業者が顧客となリ、ドコモではNECなどと協力して、世界市場を狙う。

 安部田氏によれば、SURGEとの取り組みは、OREXにとって初めての商用環境での案件。1.4GHz帯を用いた5G SA方式になるという。既存の通信ネットワークがなく、新規での構築になるため、既存設備との互換性を確保する必要がなく、シンプルに構成できる。

 モバイル向けの免許はないとのことで、宅内向けのブロードバンドサービスとして構築される。機器構成は非公開だが、CPE(宅内向け端末)のテストはノキア製品で実施される。

 インドネシアは、ジャカルタが大都市として発展する一方、少し離れると、FTTHの整備もまだまだという。ラストワンマイルをカバーするための光回線の敷設よりも、5G方式を活用してスピーディ、かつ光回線よりも低コストで、ジャカルタのみならず、インドネシア各地でエリアを広げることになった。

 月額1000円程度(10万インドネシアルピー)でのサービスになるとのことだが、日本と比べてサービス品質は、その分違いがある。

 OREX SAIは構築を手掛け、運用はSURGE側が担う。とはいえ、いわゆるゼロタッチオペレーションになる見込みで、運用コストも省力化される。

 OREX SAIは、コンペティションを勝ち残ってSURGEとの契約を獲得。ちなみに競合に楽天シンフォニーはいなかったと安部田氏。これまで、ペルー、カタール、インドネシア、シンガポール、最近ではカンボジアやフィリピンでも展開するなかでも楽天シンフォニーの話はクライアントから出ていないとした。

 OREX SAIは、SURGEだけではなく、3日にはシンガポールのStarHubとも戦略的パートナーシップを締結。4G/5GネットワークにO-RANソリューションを商用展開することを目指す。

 井伊基之前社長は、O-RAN事業について100億円の売上を目指すとしていたが、安部田氏はその達成に手応えを感じてる様子。SURGEとの契約は複数年にわたるもので、単年で一気に稼ぐわけではないが、ドコモがO-RAN市場で着実な一歩を踏み出した格好だ。