石野純也の「スマホとお金」
「Galaxy Z Fold7/Flip7」発表、注目したいソフトバンクの価格攻勢
2025年7月17日 00:00
サムスン電子が7月9日に発表した「Galaxy Z Fold7」は、超薄型のフォルダブルスマホとして、大きな話題を集めました。対する「Galaxy Z Flip7」も、カバーディスプレイを本体の端まで拡大しており、閉じたままでの使い勝手を増しています。日本ではサムスン電子自身がオープンマーケットモデルを展開するほか、NTTドコモ、auからも登場します。また、今回はソフトバンク初のGalaxy Zシリーズとして、2機種の販売を開始します。
Galaxy S25シリーズに続いて、サムスンのフラッグシップモデルを取り扱うことになったソフトバンクですが、後発であるがゆえに、価格設定で攻勢をかけてきました。「新トクするサポート(プレミアム)」がそれです。
本稿執筆時点ではドコモが価格を明かしていないため、あくまで「現状では」と但し書きはつくものの、価格的なインパクトは大きいと言えます。そんな同社のフォルダブルスマホにかける意気込みを見ていきます。
オープンマーケット版はFoldが値上げ、Flipはほぼ昨年並みに
「Galaxy Z Fold7」「Galaxy Z Flip7」は、フォルダブルスマホゆえに価格は近いスペックのハイエンドモデルと比べても高め。サムスン電子が販売するオープンマーケット版は、Galaxy Z Fold7が26万5750円から、Galaxy Z Flip7は16万4800円からとなります。
Galaxy Z Fold7は256GBのほか、512GB版と1TB版を用意。Galaxy Z Flip7は256GB版に加えて512GB版が展開され、ストレージの容量が増えるとそれぞれ価格がアップします。
特にGalaxy Z Fold7は、スペックが高く、メインカメラも「Galaxy S25 Ultra」並みになったということで、価格は20万円を大きく超えています。
昨年登場した「Galaxy Z Fold6」は256GB版が24万9800円でしたが、そこから1万5950円の値上げになりました。これは為替レートというより、価格自体が上がっているためだと思われます。
元々の価格がぶっちぎりで高額なためか値上げがスルーされた感はありますが、米国でのGalaxy Z Fold6は1899ドル(約28万700円)でした。これに対し、Galaxy Z Fold7は1999ドル(約29万5400円)。
ギリギリで2000ドルは下回ったものの、価格自体は100ドル(約1万4800円)ほど上がっています。日本でのオープンマーケット版も、この値上げぶんを反映した形と言えるでしょう。
ただし、米国価格を日本円に換算した数値からも分かるように、日本版は比較的割安な設定になっています。米国価格はここに州ごとに異なる小売売上税がかかるため、税抜き同士の比較だとその差はさらに広がります。
サムスン電子の日本法人が頑張ったのか、本国の通貨であるウォンがドルほどは高くなっていないためなのかは定かではありませんが、これでも価格は抑えられている方と言えそうです。
一方のGalaxy Z Flip7は、オープンマーケット版の価格がほぼ据え置きに。前モデルの「Galaxy Z Flip6」は16万4899円からと少々中途半端な価格設定でしたが、今回は16万4800円からとキリがよくなったぶんだけ値下げされています。
こちらは、カバーディスプレイが大きくなったものの、Galaxy Z Fold7ほど大胆なデザイン変更はされておらず、カメラも大きな刷新はなかったため、価格を維持したと見ていいでしょう。
“新参者”のソフトバンクは、新トクするサポート(プレミアム)で割安感を演出
とは言え、いずれのモデルもかなり高額。ハイエンドモデルの中でも、 トップクラスの価格 設定になっているため、簡単には手が出せないという人は多いかもしれません。
このような中、新たにGalaxy Zシリーズの取り扱いを開始する ソフトバンクが、毎月の負担を大幅に軽減する施策 を繰り出してきました。「新トクするサポート(プレミアム)」が、それです。
新トクするサポート(プレミアム)は、48分割にした端末代の内、端末の下取りで最大で36回ぶんをチャラにする端末購入サポート。1年での利用には「早トクオプション利用料」がかかるものの、それを含めても比較的割安に端末を使えるのが特徴です。
Galaxy Z Fold7、Galaxy Z Flip7のどちらも1回目から12回目までの支払額をかなり抑えられているため、1年限定ながら、比較的安価に維持することができます。
まず、Galaxy Z Fold7は、ソフトバンクでの本体価格が26万6400円です。これを、12回目まで3990円、13回目から48回目までを6070円で分割払いにします。端末を下取りに出すと、6070円×36回ぶんの支払いが免除され、実質価格は4万7880円まで下がります。
ただし、ここに早トクオプション利用料が2万9700円かかり、トータルでの支払いは7万7580円になります。
なお、この価格は他社からの乗り換えや新規契約の場合。機種変更だと、分割払いの金額が変わり、毎月均等に5550円がかかります。早トクオプション利用料は2万9700円で変わらないため、1年での実質価格は9万6300円まで上がります。
とは言え、元々が26万円を超える価格ということを考えれば、この実質価格はかなり割安。1年で端末を売却したとしても、この免除額にはかないません。
対するGalaxy Z Flip7は本体価格が16万4880円で、こちらも本体価格に関してはオープンマーケット版とほぼ同じ。新トクするサポート(プレミアム)では、1回目から12回目の支払いが1470円に抑えられており、早トクオプション利用料の1万9800円を支払っても、実質価格は3万7440円で済みます。
ただし、こちらも機種変更だと1回目から12回目の支払いが3990円に上がり、実質価格は6万7680円になります。
Galaxy Z Flip7の機種変更の場合、13回目から48回目の方が3250円と支払いが安くなるため、1年で下取りに出さないという選択肢も出てきます。
この場合、免除されるのは24回ぶんの料金になりますが、早トクオプションは不要。実質価格は8万6880円に上がるものの、1年との差は小さくなります。いずれのケースでも10万円を下回っているため、比較的手に取りやすい価格になると言えるでしょう。
auは2年返却から用意
現状で価格が発表されているauでは、Galaxy Z Fold7が2年実質14万1900円から。機種変更の方が安く抑えられているものの、ソフトバンクのような1年で機種変更する選択肢がありません。
Galaxy Z Flip7は2年実質7万6800円となっており、こちらはソフトバンクの2年での価格を下回っています。ソフトバンクやワイモバイルにはrazrやnubia Flipといったフリップ型のスマホもあるため、auではどちらかと言えばGalaxy Z Filp7の方に力が入っていることがうかがえます。
1年で機種変更するのはちょっと……と思われる向きもありそうですが、フォルダブルスマホは進化や競争が激化しているジャンル。Galaxy Z Foldシリーズは、6から7で厚さが26%も減少し、閉じたときでも普通のスマホとほぼ変わらないサイズ感になりました。
重さも215gと軽く、こちらに関しては、一部のハイエンドモデルよりも軽いほど。Galaxy Z Fold6から劇的な進化を遂げています。
その一方で、Galaxy Z Fold7ではメインディスプレイのカメラがパンチホール型になってしまったり、Galaxy Noteシリーズから同社の売りになっていたSペンに非対応になってしまったりと、Galaxy Z Fold6にあった特徴が一部失われています。反響を踏まえて次機種で復活する可能性もあるため、1年で機種変更するという選択肢を残しておきたいところです。
また、メインディスプレイのフィルムが経年劣化するなど、耐久性の面でも一般的なスマホとは異なるメンテナンスが必要になります。これに関してはフィルムを張り直せばいいのですが、買い替えてしまうのも手と言えます。
競合他社からより魅力的な製品が出る可能性も踏まえると、最新機種にキャッチアップしておくのは1つの手と言えるでしょう。
”1年機種変”という手法で実質価格を抑えたソフトバンクですが、他社に比べると制約もあります。1つがカラーの選択肢。Galaxy Z Fold7はブルーシャドウのみの1色展開で、Galaxy Z Flip7もブルーシャドウとジェットブラックの2色展開になっています。
Galaxy Z Fold7はドコモが2色、auが3色、Galaxy Z Flip7はドコモ、auともに4色展開で、オープンマーケット版にはオンライン限定のミントもあります。他の販路と比べて、選択肢は少なめと言えるでしょう。
ストレージの容量も256GBのみ。他社は色とオンラインに販路を限定して、512GB版や1TB版も取り扱っているため、こちらもバリエーションは絞られています。また、修理体制も不安要素。
同社のGalaxyは店頭での即日修理が可能なのがGalaxy Harajukuのみとなっているため、可動部分が多く、フィルムの経年劣化のあるフォルダブルスマホを利用するにはやや不安も残ります。価格で攻めるだけでなく、サポート体制の拡充も期待したいところです。











