石野純也の「スマホとお金」

ついに楽天が「Pixel 9a」を発売! 競合他社との違いやおトク度をチェック

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに続き、ついに楽天モバイルがPixelシリーズの取り扱いを開始しました。最初の1台になるのが、廉価モデルとして人気の高い「Pixel 9a」。

楽天モバイルが、Pixel 9aの販売を開始した。ついに4社がそろった格好だ

 同機は、4月に大手3社とグーグルが発売した端末。フラットに近いカメラ周りのデザインや、上位モデルと同じ「Tensor G4」を搭載していることで話題を集め、販売ランキング上位の常連になっています。

 また、楽天モバイルはこれまでiPhoneシリーズに限定して提供してきた「買い替え超トクプログラム」をPixelにも拡大。これは、他社の端末購入プログラムと同様、分割払いと下取りを組み合わせた仕組みで、2年間での支払いを抑えることができます。

 では、楽天モバイルはPixel 9aをいくらで販売するのでしょうか。その詳細を見ていきます。

ついに始まったPixel 9aの販売、本体価格はやや高めか

 ついに楽天モバイルでも販売が始まったPixel 9a。Pixelシリーズは、これまで、ドコモ、KDDI、ソフトバンクに加えてグーグルも販売していましたが、楽天モバイルでの取り扱いはありませんでした。

 そのため、楽天モバイルのユーザーは、他社で購入したPixelにSIMを入れるか、グーグルが販売しているオープンマーケット版を購入するしかありませんでした。

 楽天モバイルが取り扱いを開始したことで、新規契約と同時にPixel 9aを購入したり、楽天モバイル内で機種変更したりといったことが可能になります。Pixelを使いたい人がひと手間かけることなく購入でき、かつ楽天モバイルの用意した端末購入プログラムで毎月の負担を抑えられるため、ユーザーにとっては朗報と言えそうです。

新規契約などと一緒に申し込めるのは、キャリアから購入するメリットの1つだ

 PixelシリーズはiPhoneと同様、どのキャリアで購入しても機能的な差分はなく、ソフトウェアも共通しています。

 ただし、楽天モバイルでは、カラーバリエーションが「Iris」「Porcelain」「Obsidian」の3色に限定されており、他社やグーグルが取り扱っているピンク色の「Peony」はありません。

 また、Pixelの販売はオンライン限定。この点は、ショップでも扱っている他社との違いになります。

 Pixel aシリーズは廉価モデルということもあり、楽天モバイルでもハイエンドモデルと比べるとお手頃な価格で販売されています。本体価格は、128GB版が9万2000円、256GB版が10万8700円に設定されています。

 ただし、グーグル直販価格がそれぞれ7万9900円、9万4900円で販売されており、それらと比べるとやや高め。後述する買い替え超トクプログラムを前提にした価格になっていると言えるかもしれません。

グーグル直販価格との比較。本体価格はやや高めに設定されている

 一括でなるべく安く購入したいときや、使い終わったあと、中古店などに自ら持っていき下取りに出す手間をいとわないというときには、他社はグーグル直販での購入を検討した方がいいでしょう。

 その方が、トータルでは安くなるからです。一方で、買い替え超トクプログラムを使うと話が変わってきます。

分割払いでおトクに、MNPならポイントも

 買い替え超トクプログラムとは、他社の端末購入プログラムに相当する仕組みで、仕組みはシンプル。48回の分割払いで端末を購入して、使い終わったらあと下取りに出すことで、最大24回分の支払いが免除されます。

買い替え超トクプログラムは、48回払いの内、後半24回を下取りで免除する仕組み。いわゆる端末購入プログラムになる

 前半24回と後半24回で分割払いの比重が違ったり、残価を設定してそれを免除したりする他社との違いは、純粋な48分割(端数による支払額の微差はありますが)というところ。基本的には、下取りに伴って最大で半額が免除される形です。

 ただし、iPhone 16eのように、キャンペーンとして前半24回の支払いを980円に抑えている機種もあります。Pixel 9aの128GB版も同様で、単純な分割だと約1916円になりますが、前半24回は月1572円に抑えられています。

Pixel 9aは、前半24回分の支払いが後半24回よりも軽めになっている。これによって、毎月の支払額が下がる

 ちなみに、買い替え超トクプログラムは楽天カード限定の仕組み。他社の場合だと、クレジットカードの種類などに制限はなく、キャリア自身が与信を行っていますが、この仕組みは楽天カードがないと利用できません。

 それ以外のユーザーは、単純な24分割か一括払い。下取りを組み合わせた端末購入プログラムではなくなる点にも、注意が必要です。

 また、使い終わった端末を回収に出す際には、事務手数料として3300円がかかります。他社の端末購入プログラムでは、1年などの短期機種変更にはこうした手数料が設定されている一方で、残価を免除するだけであれば、無料で利用できます。楽天モバイルが提示している実質価格には、これが含まれていません。

実質価格には、端末回収時の事務手数料が含まれていない。ここにも3300円かかる点には注意が必要だ

 これをPixel 9aの128GB版に当てはめると、24カ月目までは月額1572円で、トータルでは3万7728円に。回収時の3300円を足すと、4万1028円になります。免除される金額は5万972円。

 廉価モデルのPixel aシリーズは、一般的な中古店での買い取り価格も下がりやすい傾向があり、2年前に登場した「Pixel 7a」でも使用感があるだけで3万円を下回っています。その意味では、約5万円が免除される買い替え超トクプログラムはおトクと言えます。

 これに加えて、他社からMNPで楽天モバイルに移ると1万6000ポイント、乗り換え以外で楽天モバイルを契約すると最大1万3000ポイントが付与されるキャンペーンも実施中。

 端末代を直接値引くわけではなく、あくまでポイントが5カ月間に渡って付与される形ですが、これを加味すれば実質価格はさらに下がります。楽天モバイルで使うということが決まっているのであれば、この仕組みを使った方がいいと言えるでしょう。

MNPなら、1万6000ポイントがもらえる

MNPでの実質価格はau、SBに軍配、機種変価格は他社並みか

 では、この価格設定は他社と比べるとどうでしょうか。Pixel 9aは人気の端末、かつ大手3キャリアが横並びで販売合戦を繰り広げていたこともあり、特にMNPでの価格が安く抑えられています。

 中でもインパクトが大きいのは、128GB版がMNPで実質1200円になるソフトバンク。auも他社からのMNPでは、実質価格を1200円に設定しています。これに対し、ドコモの実質価格は2万2440円とやや高めになっています。

 ソフトバンクのPixel 9は、128GB版の本体価格が8万8560円とやや高めになっている一方で、「新トクするサポート(スタンダード)」の支払い額が24回目まで50円になっています。25回目から48回目までは3640円。前半24回分の負担額を最大限軽くすることで、この実質価格を実現しています。

ソフトバンクは、MNPの場合の前半24回を月50円まで下げている

 これに対し、auは本体価格が8万円で、グーグル直販価格とほぼ同じ。ここにMNPで適用される「au Online Shopお得割」が3万9600円ぶん適用され、4万4000円で割賦を組む形になります。auの設定したPixel 9aの残価は3万9200円になっており、これが免除されると残りは1200円。これを23回に渡って払っていく形です。

 ソフトバンクは免除額を、auは割引を多めにすることで実質1200円を実現しています。手法は異なりますが、安価でインパクトがあると言えそうです。

auは本体価格が安く、そこにMNPの割引がドンっと乗って価格が4万円台まで下がる。残価が免除されると、実質価格は1200円に

 ただし、ソフトバンクとauの双方とも、機種変更ではここまでの金額にはなりません。ソフトバンクの場合、機種変更だと1回目から24回目までの支払額が2000円へと一気に上がり、総額は4万8000円になります。

 auも同じで、機種変更だと「auマネ活プラン+」に入ったときですら、5500円しか端末割引がなく、残価が免除されても3万5300円になります。本体価格を抑えつつ、そこに割引を絡めているぶんauの方が安くなりますが、どちらもMNPのときのほどのインパクトはありません。

ソフトバンクの場合、機種変更だと割賦そのものの金額が変わる
auは割引額が大きく下がり、実質価格が3万円台に上がる

 とは言え、先に挙げた楽天モバイルは、MNPでポイントを加味したとしても実質価格は2万5028円で、1200円のインパクトには及びません。機種変更で4万1028円という価格も、他社と同水準です。

 楽天モバイル側は、料金プランと端末価格の合算での安さを訴求しているものの、どちらかと言えば通信料が安い恩恵の方が大きいと言えるでしょう。こと端末代に関してはキャッチアップしきれていない面もある点には、注意が必要です。

石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya