石野純也の「スマホとお金」
楽天モバイル×楽天カード連携の新特典「ギガ割クーポン」徹底解説、ドコモの”ahamo×dカード”とどう違う?
2025年7月10日 00:00
キャリア各社が、自社の通信サービスとクレジットカードの連携を強めている中、楽天モバイルと楽天カードが新たな一手を打ってきました。「ギガ割クーポン」が、それです。
このサービスは、「楽天カードプレミアムプログラム」の一環で、「Rakuten最強プラン」にデータ容量を追加するというもの。
単純な値引きではないものの、低容量から中容量のユーザーは、お得に楽天モバイル回線を使うことが可能になります。どちらかと言えば、クレジットカードを絡めたサービスは割引やポイント還元が多かった印象ですが、データ容量追加という点が新しいところと言えるでしょう。
ここでは、同種のサービスを提供しているドコモのahamoと比較を交えつつ、お得に使う方法を探っていきます。
最大で1100円の割引になる「ギガ割クーポン」
楽天カードプレミアムプログラムは、「楽天ゴールドカード」、「楽天プレミアムカード」、「楽天ブラックカード」の会員を対象にしたプログラム。ギガ割クーポンが付与されるのは、後者2つのカードに限定されます。プレミアムカードは5GB分、ブラックカードに関しては10GB分のクーポンが付与されます。
クーポンは自動適用ではなく、ユーザー自身が「my楽天モバイル」で入力する必要があります。単純な値引きではなく、データ容量の加算になっているのがおもしろいところです。
楽天モバイルと言えば、容量無制限というイメージを持つかもしれませんが、段階制を採用しているため、クーポンを使ってデータ使用量を抑えれば料金が下がるというわけです。
具体的に、どのようなケースで得になるかを考えていきましょう。もっとも分かりやすいのが、サブ回線として楽天モバイルを毎月3GBに抑えているユーザーでしょう。クーポンの容量が加算され、1078円の料金で使えるデータ容量が増える形になります。
プレミアムカードなら8GB、ブラックカードなら13GBになり、1078円で使えるデータ容量としてはかなりの容量。MVNO以上に割安感が出てきます。
視点を変え、毎月10GB程度使う中容量のユーザーの場合を想定すると、クーポンの適用で料金が下がるケースが出てきます。
ブラックカードの場合、3GB以下の料金で使えるデータ容量が13GBに上がるため、2段階目の3GB超20GB以下で2178円になっているユーザーが、料金を一段下げることが可能になります。この場合、毎月節約できる金額は1100円。割引額としてはかなり大きいと言えるでしょう。
また、20GBを少しだけ超えて無制限の料金が適用されていた人も、料金を下げる効果が期待できます。毎月25GB使っていた場合だと、プレミアムカード、ブラックカードのどちらのクーポンが適用されても、料金は3278円から2178円に下がります。
こちらも、同じく1100円の節約に。3278円の料金に対する割引としては、非常に大きな金額と言えそうです。
容量加算が無意味なケースも、年会費の元は取れる?
ただし、毎月10GB使っているユーザーの場合だと、プレミアムカードのクーポンの5GBでは足りずに、2段階目に突入してしまいます。そのため、クーポンがあろうがなかろうが、料金は2178円になります。
同様に、データ使用量が30GBだと、プレミアムカードの5GBクーポンは意味がありません。
また、30GBを超えるデータ使用量の場合には、プレミアムカードとブラックカード、どちらのクーポンを適用しても、料金は3278円のまま。料金を直接下げるのではなく、データ容量を増やしてRakuten最強プランの閾値を変えているため、このようなことが起こります。
ピッタリはまればお得になる一方で、そうでないケースもかなりあるため、注意が必要と言えるでしょう。
とは言え、1078円で8GBないしは13GBというのはインパクトが絶大。クーポンが適用されて、1100円割引を受けられれば、その価値は高いと言えるでしょう。このためだけに、楽天プレミアムカードや楽天ブラックカードを契約する価値も出てきます。
楽天プレミアムカードは年会費が1万1000円。毎月1100円、楽天モバイルの割引が受けられれば、10カ月で“元を取る”ことが可能。当然ながら審査はありますが、これだけのために楽天プレミアムカードに加入する価値があると言えるでしょう。
もちろん、プレミアムカードに付随する特典はギガ割クーポンだけでなく、プライオリティ・パスの無料発行や毎週火曜、木曜に楽天市場でポイント還元率が上がる特典などもあります。
一方で、楽天ブラックカードは年会費が3万3000円と少々高め。ブラックという名称を聞くと割安なように見えますが、他社で言うところのプラチナプリファードカードに近い位置づけと考えると妥当な価格です。
ただし、年会費がここまで上がってくると、ギガ割クーポンだけで元を取るのは難しくなります。最大まで割引を受けたとしても、1万3200円分にしかならないからです。
こちらの場合は、コンシェルジュサービスや、プライオリティ・パスなど、その他の特典も考慮する必要性が高くなると言えるでしょう。
もっとも、楽天ブラックカードは加入条件に楽天プレミアムカードを契約してから12カ月以上、かつ12カ月間のカード請求額が500万円以上というハードルがあり、損得だけを考えて申し込めるわけではありませんが……。
少なくとも、これからギガ割クーポンを使ってみたいユーザーには、プレミアムカードの5GB特典の方がより現実的と言えるかもしれません。
ahamoはノーマルカードで1GB、GOLD U以上で5GBが追加に
大手キャリア各社は、自社のクレジットカードで通信料金を割り引く仕組みを導入しています。これは、他社のクレジットカードにかかってしまう手数料相当を割り引くために生まれたもの。
通信サービスの契約者に、クレジットカードの加入を促進できることもあり、楽天モバイル以外の3社とも、メインブランドやサブブランドでこうした仕組みを導入しています。
ただし、ドコモのahamoは割引ではなく、データ容量の加算を特典にしています。金額を下げるのではなく、使えるデータ通信の量を増やすという意味では、楽天モバイルのギガ割クーポンの先駆けと言えるかもしれません。
ahamoのdカードと連動した仕組みは「dカードボーナスパケット特典」と呼ばれています。こちらも、楽天モバイルのギガ割クーポンと同様、カードの種別によって加算されるデータ容量が異なります。ノーマルのdカードの場合は1GB、dカードGOLD U/GOLD/PLATINUMは5GBです。
ahamoのデータ容量は30GBのため、dカードボーナスパケットが加算されると、それぞれ31GB、35GBまでデータ容量が増加します。最上位のdカードPLATINUMでも、年会費が無料になるdカードGOLD Uと同じなのが少々残念ですが、逆に言えば、dカードGOLD Uを契約できる若年層のユーザーにはおいしい仕組みと言えるでしょう。
ahamoの場合、30GBを超える場合、1GBあたり550円でデータ容量をチャージするか、「大盛りオプション」をつけてデータ容量を80GB追加する必要があります。毎月30GBを少し超えて追加料金がかかってしまっていた人には、実質的な割引効果があります。
一方で、楽天モバイルと楽天カードのギガ割クーポンに比べると効果が出るシーンは限定的。楽天モバイルのそれは、Rakuten最強プランが段階制であることと相まって、お得になるケースが多くなっていると言えます。
対象になるユーザーは限定されるものの、通信とクレジットカードの連動が、値引きだけではないことを示したおもしろい仕組みとして要注目と言えそうです。











