石野純也の「スマホとお金」

年末年始に見直したいスマホの料金プラン、そのコツを徹底解説!

 2022年も残すところあとわずか。すでに年末年始の休暇に突入している人も多いのではないでしょうか。時間があるときにこそ、あらためてゆっくり見直したいのが携帯電話の料金プラン。

 特に年末年始は、帰省で家族、親族が一堂に会することも多く、まとめて料金プランを変更するチャンスとも言えるでしょう。旧プランがそのままになっていたり、家族割引が適用されていなかったりする場合、それを見直すタイミングと言えます。

時間が取りやすかったり、家族・親族で集まる機会が多かったりする年末年始は、料金プランを見直すチャンス。初売りなどのセールも多い

 働き方改革の一環として、キャリアショップは年末年始の休暇を取るようになり、三が日は休業している店舗も増えていますが、オンラインでできる手続きも増えています。こうした料金プランの変更を、家族ぶん、まとめてやってあげてもいいでしょう。一方で、キャリアショップやApple Storeなどは営業している店舗も多いため、初売りやセールを狙う手もあります。

 そこで今回は、年末年始に合わせて携帯電話の料金プランや端末を見直すコツを紹介していきます。

2年以上料金プランがそのままの場合は要見直し、簡単な手続きで値下がりする場合も

 前総理大臣の菅義偉氏が携帯電話代の値下げを打ち出し、2021年は各社が新料金プランを発表しました。一方で、ザックリ言って2022年は料金プランに関して、変化の少なかった1年と総括できます。各社とも、21年に値下げしきってしまったため、1GB以下0円だった「UN-LIMIT VI」を廃止した楽天モバイル以外、料金プランという観点では大きな動きはありませんでした。

 逆に言えば、この2年間で携帯電話の料金プランを見直していない人は、金額を下げる余地があると言えるでしょう。総務省が2022年11月に発表した、新料金プランへの移行状況は、22年9月末時点で4500万人。かなりのユーザーが、値下げの恩恵を受けたとも言えますが、裏を返せばまだ半分以上の人が旧プランに残ったままです。

総務省の発表した、新料金プランへの移行状況。約4500万人が、すでに値下げの恩恵を受けている

 アンケートでは、26.4%が新料金プランに「乗り換えるつもりがない」と回答しているため、さすがにこのようなユーザーの移行を促すのは難しそうですが、「今後乗り換えたい」と「知らないので分からない」の合計も26%ほどいます。1/4ほどのユーザーは、これから新料金プランに移る可能性がある潜在層と言えます。

 割合的に見れば、正月に集った家族、親族の中の何人かは、料金プランがそのままになっていることも十分ありえます。家族団らんの最中に、親や兄弟の料金プランを改めて見直してみてもいいでしょう。

アンケート結果では、計26%が「今後乗り換えたい」または「知らないので分からない」と回答。この層は、まだプラン変更の余地がある

 大手キャリアの場合、旧大容量プランから新大容量プランに移るだけで、料金が安くなる場合があります。たとえばNTTドコモの「ギガホ」は、割引適用前の正規料金が7865円。

 これに対し、料金値下げ後の「ギガホ プレミア」は7205円と、660円ほど料金が下がっています。ギガホからギガホ プレミアへは自動移行ではないため、 料金改定を見逃していると、月660円、年にすると7920円ものお金を損してしまう というわけです。この際に、5Gに契約変更して「5Gギガホ プレミア」に加入すれば、料金が7315円に下がったうえに、データ容量も60GBから無制限になります。

ドコモの旧ギガホ。料金は7865円で、現行プランより割高だ
現行のギガホ プレミアは7205円と、割引前の料金自体が下がっている

小~中容量ならどうする?

 ドコモはあくまで一例ではありますが、auやソフトバンクも同様に大容量プランを値下げし、データ容量無制限に舵を切っています。2年間、料金プランがそのままという場合は、一度見直してみてもいいでしょう。一方で、少々困るのが小容量~中容量ぐらいの場合。

 現状、大手キャリアのメインブランドは、基本的に段階制プランと大容量プランの2本立てで、これに加えて初めてスマホを持つユーザーなどに限定した料金プランを用意しています。小容量~中容量の場合、多くがこの段階制プランを契約することになりますが、ここがほとんど値下げされていません。

各社とも、小容量から中容量の段階制プランは、ほとんど値下げされていない。画像はドコモのギガライト

 逆に、データ容量が少ない場合は、サブブランドへ移ってしまうのも手です。

 UQ mobileやワイモバイルといった大手キャリアのサブブランドも、21年に値下げを断行。UQ mobileの「くりこしプランM +5G」(15GB)は月額2728円、ワイモバイルの「シンプルプランM」(15GB)は3278円で利用できます。毎月のデータ利用量が3GBから10GBぐらいの場合なら、大手キャリアのメインブランドから移るだけで料金が安くなる可能性があります。そのために必要なのは、毎月のデータ利用量を把握することです。

21年にはワイモバイルやUQ mobileといったサブブランドも、値下げに踏み切った。小容量や中容量の場合、そちらに切り替えることで料金を節約できる。写真は21年2月に開催されたソフトバンクの発表会

 働き方改革の一環として、正月はキャリアショップが休業することも増えましたが、料金プランの変更だけであればオンラインでできることも。サブブランドへの契約変更も、eSIM、eKYC(オンラインでの本人確認)を使えば、自宅や実家で完結できます。

 そもそもオンラインで手続きができるのであれば、ahamoやpovo2.0、LINEMOといったオンライン専用プランを契約する手もあります。正月休みで実家に帰っている人は、手続きの仕方が分からない家族のために契約を手伝ってあげてもいいでしょう。家族や親族が集まることの多い正月は、こうしたプラン変更をしやすいタイミングとも言えそう。

 こうした小~中容量では、格安SIMとも呼ばれたMVNOの料金プランもチェックしておきたいところです

正月こそ改めて確認したい家族割引、ドコモやソフトバンクは親戚も対象

 同様に、家族割引に加入しているかどうかを、改めて確認することもできます。特に、“家族の定義”の範囲が広いのはドコモやソフトバンク。同居していない族も対象で、かつ親戚までここに含まれるからです。

 ドコモの「みんなドコモ割」場合、契約者を中心とした三親等以内。ソフトバンクの「新みんな家族割」は親等数を定めておらず、「親戚はOK」と緩く家族を規定しています。少々厳しいのはauで、キャンペーンで別居している家族も対象になりますが、続柄は1親等に定められています。

ドコモのファミリー割引グループは、三親等まで。叔父・叔母やひ孫の配偶者などまで対象のため、適用対象の家族を探してみてもいいだろう。各社共通だが、家族には事実婚や同姓パートナーも含まれる
ソフトバンクも、家族の範囲が広い。同居中のパートナーやシェアハウスの仲間まで家族として認められる

 みんなドコモ割は、ギガホやギガライト(5Gやプレミアを含む)が対象。5Gギガホ プレミアの場合、家族2回線で550円、3回線以上で1100円の割引が受けられます。5Gギガライトやギガライトも同様で、家族2回線で550円、3回線以上で1100円の割引です。4回線以上だと特に意味はありませんが、「ファミリー割引グループ」に含まれると割引対象になるのがポイント。離れて暮らす親戚が1人暮らしの場合などでも、ファミリー割引グループに入れれば割引が適用されるからです。

2回線で550円、3回線以上で1100円と割引の仕組みはシンプルだ。ファミリー割引グループ同士の通話も無料になる(ahamoからの発信を除く)

 また、ファミリー割引グループ内の家族が誰か1世帯でもドコモ光を使っていた場合、「ドコモ光セット割」の対象になります。こちらは、5Gギガホやギガホの場合、1100円。5Gギガライトやギガライトの場合、1GB未満のステップ1には割引が適用されませんが、3GB以下のステップ2で550円、5GB以下と7GB以下のステップ3、4で1100円の割引が適用されます。ドコモ光を引いている家族を親族の中から探し出してファミリー割引グループを組めれば、割引の恩恵を受けられるというわけです。

ドコモ光セット割も、三親等以内の家族が対象。親戚世帯のドコモ光で自分が割引を受けたり、逆に自分のドコモ光で親戚を割引対象にしたりすることが可能だ

 ソフトバンクの新みんな家族割も、同様に、加入している人数で割引額が変わってきます。現行の無制限プランである「メリハリ無制限」の場合、2人で660円、3人以上で1210円です。旧プランのメリハリプランは、2人が550円、3人が1650円、4人以上で2200円と割引額が大きくなっていますが、こちらは元々の料金がメリハリ無制限より割高な8480円。割引フル適用の場合、メリハリ無制限の方が安くなります。光回線とのセット割である「おうち割 光セット」も家族が対象。ドコモと同様、親族にSoftBank 光などのユーザーがいないかを探す価値はありそうです。

ソフトバンクは現行のメリハリ無制限の場合、2人で660円、3人以上1210円の割引を受けられる

 ドコモとの違いは、段階制プランの「ミニフィットプラン+」に新みんな家族割が適用されないこと。あくまでメリットがあるので、大容量プランや無制限プランに入っている場合だけです。ただし、ミニフィットプランもおうち割 光セットの対象にはなり、データ容量別の料金から、各1100円ずつ割り引かれます。データ利用量が1GB未満の場合、料金は3278円から2178円まで下がります。

 1親等までと家族の範囲が狭いauも、「家族割プラス」で料金を下げることはできます。こちらは、「使い放題MAX 5G/4G」などの場合、2回線で550円、3回線以上で1100円の割引になります。また、段階制の「ピタットプラン 5G/4G」も、同額の割引対象になります。auスマートバリューも、50歳以上の場合、離れて暮らす家族が対象。auひかりなどのサービスに入っていれば、親世帯も割引対象に入れることができます。また、ピタットプランの後継として2月に登場する「スマホミニプラン 5G/4G」も家族割プラスに対応しています。

auの家族割プラスも、キャンペーンで別居家族が対象になる。ただし、ドコモやソフトバンクと比べると家族の範囲は狭い

サブブランドにも家族割が、スマホの初売りにも要注目

 ただし、一部のオンライン専用ブランドは、家族割引の対象に含まれません。一例を挙げると、ドコモのahamoはファミリー割引グループに入ることはでき、人数としてカウントされるものの、割引には非対応。一人暮らしの人が加入すると、みんなドコモ割の“頭数”にはなる一方で、自らの料金は割引されません。また、ドコモの場合、同一ファミリー割引グループ内の通話は無料ですが、ahamoからの発信は有料です。さらに、povo2.0やLINEMOは、家族割引のグループに入ることすらできず、頭数としてもカウントされません。

ahamoは、ファミリー割引グループの頭数としてカウントされるが、割引の対象外。ahamoからの発信も、10分を超えた場合有料になる

 一方で、ワイモバイルやUQ mobileといったサブブランドには、それぞれ独自の家族割引があります。ワイモバイルはシンプルプランの2回線目以降が、毎月1188円割引になる「家族割引サービス」を用意。親等数の制限がなく、同居、別居問わない点や、同居していれば恋人でも適用される点はソフトバンクと同じです。1回線目は割引されませんが、そのぶん、元々2178円と安価な「プランS」も対象です。同プランは、家族割引サービスを適用すると、料金が990円まで下がります。

ワイモバイルの家族割引サービスは2回線目以降が対象だが、割引額が大きい。家族の範囲は、ソフトバンクと同様、広く取られている

 注意したいのは、あくまでワイモバイル内でしか家族割引サービスを組めないところ。ソフトバンクとワイモバイル、どちらも同じソフトバンクが運営するサービスですが、ブランドをまたがった家族割引は組めません。この点は、ahamoをサブブランドではなく、オンライン専用“料金プラン”と主張しているドコモとの違いと言えるでしょう。

 これに対し、KDDIのUQ mobileには、現在、家族割引にあたるものがありません。家族が対象になるのは、「自宅セット割」。こちらは、固定回線などのネットか、auでんきを選べるセット割引です。auと同じく、離れて暮らす家族は50歳以上の場合が対象。「くりこしプラン」の場合、SとMが638円、Lが858円の割引になります。元々の料金がワイモバイルより安価なぶん、割引も少なめ。また、ソフトバンクと同様、メインブランドであるauとの家族割引も組めません。

UQ mobileには直接的な家族割引はない。ただし、自宅セット割に別居している50歳以上の家族を含められる

 こうした料金プランの見直しに加え、初売りでスマホをお得に買うのも正月の醍醐味。例えば、KDDIは、現在、「年末スペシャルセール」を開催しています。期間は1月10日間で。「Galaxy A53 5G」や「Xperia 10 IV」「arrows We」といった端末の割引が増額されています。ワイモバイルも、「年末年始セール」を実施中。MNP限定ですが、あの「BALMUDA Phone」がわずか2023円で販売されています。新規契約でも2万3000円と、発売時の価格を考えるとかなりリーズナブルです。

ワイモバイルは年末年始セールを実施中。あのBALMUDA Phoneも、MNPでわずか2023円に

 キャリア以外では、アップルも1月2日から初売りを開催。「iPhone 13」や「iPhone 13 mini」「iPhone 12」「iPhone SE」を購入すると、最大8000円ぶんのApple Gift Cardや、ウサギのマークが入った特別なAirTagがもらえます。抽選がすでに終わってしまったところもありますが、一部の家電量販店では、SIMフリー端末の福袋も用意しています。このような初売りに参加するのも、正月ならではと言えそうです。それでは、よいお年を!

アップルも、1月2日から初売りを行う
石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya