石野純也の「スマホとお金」
「ahamo大盛り」登場、使いこなしワザや「ギガホプレミア」との違いを徹底解説
2022年6月9日 00:00
ドコモは6月9日に、「ahamo大盛り」をスタートさせます。オンライン専用料金プランとして開始したahamoは、ワンプランを売りにしていましたが、ahamo大盛りで選択肢が1つ増えた格好です。ただし、あくまで料金プランは1つであることに変わりはありません。その理由は、ahamo大盛りがあくまでオプションという位置づけになっているからです。
ahamo大盛りとしての料金は、計4950円。データ容量は100GBになります。これだけ“大盛り”のデータ容量になってくると、無制限の料金プランが視野に入ってきますが、ドコモの他の料金プランと見比べてみると、ahamoの立ち位置がよりはっきりするような印象もあります。それはどういうことなのかを、ここで詳細に解説していきます。
オプションとして自由度を増したahamo大盛り、月途中での適用も可能
6月9日にスタートするahamo大盛りですが、これは正式な料金プラン名ではなく、あくまでオプションをつけた際の俗称のようなものです。実際にはahamo大盛りプランという料金プランはなく、ahamoに対して「大盛りオプション」をつけると、ahamo大盛りになるという仕組みです。ahamo大盛りは100GBと伝えられていますが、分解していくと、 ahamoが20GB、大盛りオプションが80GB になります。
料金も同様で、4950円という数字は、ahamoの通常の料金と大盛りオプションを合算した金額です。ahamo大盛り単体での料金は、1980円。元々のahamoが2970円のため、合計すると4950円になります。こうした位置づけになっていることもあり、追加した80GBは国際ローミングには利用できません。ただし、テザリングは大盛りオプションの対象で、100GBを丸々、パソコンなどで利用するといったことはできます。
合算したデータ容量は100GBと言われていますが、ahamoそのものに何か変更が加えられたわけではなく、ahamoとdカードやdカード GOLDをセットで持つとデータ容量が増える特典もそのままです。ahamoは、料金をdカードで支払うと1GB、dカードGOLDだと5GBのデータ容量が上乗せされます。ここにahamo大盛りを組み合わせると、前者が101GB、後者が105GBになります。100GBある中で1GB増えても……という気はしますが、少しでもたくさんデータ通信を使いたい人には良いサービスと言えそうです。
オプションであるメリットは、月の途中で簡単につけ、不要になったら外せること です。100GBものデータ容量になると、実際に使うのか使わないのか、月初めには分からない人も多いでしょう。そのようなときには、ahamo単体で使い、データ容量が尽きてしまったタイミングで初めて大盛りオプションをつければいいというわけです。毎月20GBを大きく超えてしまうようであれば、オプションをつけっぱなしにしてもいいでしょう。
注意点としては挙げておきたいのが、オプションの外し忘れ。ユーザー側で月末までの適用にしておかないと、翌月は月初から大盛りオプションがついた状態になってしまうようです。月ごとのデータ使用量の変動が多いユーザーは、必ず翌月の解約予約をしておくようにしましょう。1980円と、決して安くはない金額のため、申し込みは慎重にしておきたいところです。
また、大盛りオプションは翌月からの適用にすることも可能。この場合、当月のデータ容量は変わりません。次の月に出張があり、テザリングを大量に使うといったことがあらかじめ判明している場合には、翌月適用を予約できます。ただ、即日適用も可能なため、足りなくなったら80GBを付け足すといった考え方をしておけばいいでしょう。その方が、オプションであることの柔軟性を生かせるからです。
あと3GB超使いたいなら迷わず大盛りオプション、月末近くは悩みどころ
悩ましいのが、どのタイミングで大盛りオプションを付けるかです。
月が始まって早々に20GBが尽きそうというのであれば、迷うことなく大盛りオプションを即時適用にすればいいと思います。月の中ほどで20GBが足りなくなるような場合も、同様に大盛りオプションを契約すれば、気兼ねなくデータ通信ができ、無駄になることは少ないと思います。一方で、下旬に入って20GBが足りなくなったときには、1GBずつ購入していった方が安上がりになるケースもあります。
ahamoでは、1GBの追加データ容量を550円で提供しており、データ追加の画面では、1GBずつ追加するのか、大盛りオプションを付けるのかの選択肢が表れます。1GBずつの場合、料金は単純な合算になるため、1GBは550円、2GBは1100円、3GBは1650円、4GBは2200円の料金がかかります。ahamo大盛りは1980円のため、3GBで済むケースでは大盛りオプションを付けると330円、損をしてしまうことに。逆に4GBのデータ容量を追加すると、ahamo大盛りの80GBの方が220円安くなります。
今後、どの程度の容量を使うのかを判断するのはなかなか難しいところですが、3GBで収まりそうなら1GBずつ、3GBを超えそうなら大盛りオプションという形で選択するといいでしょう。普段の使い方を見ながら、1日あたり、どの程度のデータ容量が必要かを計算しておくと、選択がしやすくなります。残り3日で1日のデータ利用量が800MBのようなケースでは1GBのデータ追加を3回すればいいですし、20日ごろに20GBがなくなりそうな場合はどう考えても1GBのデータ容量追加では割高になるため、早々に大盛りオプションをつけておくことをお勧めします。
100GBものデータ容量があれば、実質的に、無制限に近い使い方ができます。自宅や会社で通信速度が安定していれば、Wi-Fiに接続する必要すらないかもしれません。かく言う筆者も、ドコモの「5Gギガホ プレミア」を契約して以降、一切、Wi-Fiにつながなくなりましたが、1カ月のデータ使用量は多い時でも60GBを上回る程度。特に制約を感じることなく、動画の視聴や大容量データのアップロードができています。
例外があるとすれば、Wi-FiルーターにSIMカードを挿したり、スマホでテザリングしっぱなしにするといった使い方をする場合。このようなケースでは、複数の端末がネットにつながって同時に通信したり、ファイルを移動させただけでクラウドとの同期が始まったりして、何かとデータ容量を消費します。バックグラウンドでこうした処理を行うこともあり、どのぐらいデータ通信を使うかが読めないのが難点です。逆に言えば、100GBというデータ容量の区分を設けることで、このような使い方に歯止めをかけているとも言えます。
ahamo大盛りと5Gギガホ プレミア、選択の基準は割引にあり
一方で、ドコモには先に挙げた5Gギガホ プレミアというデータ容量に制限のない料金プランが存在します。100GBではどうしても足りないという場合は、そちらに料金プランを変更してもいいでしょう。5Gギガホ プレミアの料金は7315円ですが、ahamoとは異なり、割引も存在します。1つが「みんなドコモ割」。こちらは、家族や3親等以内の親族とファミリー割引のグループを組むだけでよく、2人で550円、3人で1100円の割引が受けられます。
もう1つは「ドコモ光セット割」で、ドコモ光を契約していると、1100円の割引になります。また、割引額は小さいですが、dカードやdカードGOLDで料金を支払っている場合、187円の「dカードお支払割」を受けることができます。3つの割引をすべて適用した場合の料金は4928円。ahamo大盛りの4950円よりも価格が安くなります。大容量データが必要で、かつ割引の条件を満たせる場合、ahamo大盛りをあえて選ぶ理由はないというわけです。
ただし、ドコモ光セット割は、モバイル回線だけでなく、光回線の料金がかかります。一人暮らしで自宅にいる時間も短く、固定回線を引くまでもないというケースでドコモ光を導入してしまうと、トータルでの金額は割高になることがあります。ドコモ光を引かずに5Gギガホ プレミアだけで自宅の通信をまかなうことも考えられますが、この場合、割引が効かなくなるため料金は6028円になり、ahamo大盛りよりも高くついてしまいます。
つまり、モバイルだけでネット回線をまかなおうとすると、4950円で100GBを取るか、6028円で使い放題にするかの選択肢になるということです。差額は1078円。
この差で使い放題になる方がストレスから解放されるというようであれば5Gギガホ プレミアを契約し、ドコモ回線を使う親族を探してファミリー割引を組むことをお勧めします。逆に、少しでも安い方がいい人や、割引を組むのが面倒という場合には、ahamo大盛りを選び、100GBを超えないように使えばいいでしょう。無制限の5Gギガホ プレミアと、100GBの制限があるahamo大盛りには、このような差分があると言えます。
端的に言えば、これはユーザー層の違いです。家族でネットを使うケースは、自宅という“場”にどうしても固定回線が必要なケースがあります。割引も適用されやすくなるため、5Gギガホ プレミアを選択することが多そうです。逆に、1人暮らしの人でIoT機器などを自宅に置いていなければ、回線は個人に紐づいているだけで十分。割引などの条件を気にすることなく、4950円で利用できるahamo大盛りが魅力的に感じるはずです。テレビやPCなどをネットにつなぐ際にはひと手間かかりますが、自宅では常時テザリングをオンにしておけば事足ります。
元々ahamoは、ドコモとして手薄になっていた20代、30代のユーザーを獲得するために開発された料金プラン。家族といった概念を持ち込むと取り込めない層が出てきてしまうこともあり、割引のような仕組みをやめ、1人でも契約しやすい料金体系を採用しています。料金を比較していくと、ahamo大盛りにもこうした特徴が受け継がれていることが分かります。
一方で、他社のオンライン専用プラン/ブランドとは異なり、20GB未満の小容量はカバーされていません。現状では、エコノミーMVNOがこうしたユーザーの受け皿になるとしていますが、ネットワークやサービスに“MNO品質”を求める声には答えられていません。やみくもに低容量で安価なプランを導入すると、収益が削られてしまうため、かじ取りが難しいところですが、データ使用量が3GB以下など、少なかった月のみ割引をする「ahamo小盛り」のような仕組みはあってもいいような気がしました。