石野純也の「スマホとお金」
2023年春の「初めてのスマホ」向け料金プランは“大容量”でかなりおトク!? ドコモ・au・ソフトバンクの割引キャンペーンをチェックする
2022年12月1日 00:00
携帯電話やスマホの新規契約がもっとも多く、獲得合戦が激化する春商戦。ここに向け、キャリア各社が初めてスマホを持つ若年層やシニア層に特化した料金プランを発表しています。
かつては「学割」と呼ばれていた割引キャンペーンでしたが、最近では、年齢を区切って提供しているのが一般的。一般的な料金プランより割安に使えて、お得な料金体系になっています。
携帯電話の総契約者数は、すでに日本の人口を超えています。新規獲得をしようと思うと、新たに携帯電話を持つ層を獲得しなければなりません。また、若年層を囲い込んでおけば、数年後に、より単価の高い無制限プランなどに移行してもらえる可能性が上がります。
このような理由もあり、 春商戦向けの割引は比較的大胆な料金設定になるケースが多い と言えるでしょう。
中容量を加え「+」に進化したソフトバンクのスマホデビュープラン
このようなニーズにこたえ、各社とも、初めてスマホを持つユーザーに向けた料金を正式なプランにしています。 NTTドコモの「U15はじめてスマホプラン」やKDDIの「スマホスタートプラン」、ソフトバンクの「スマホデビュープラン」 がそれに当たります。
ただ、若年層とシニアの両方をカバーしていることもあって、データ容量はいずれも少なめ。最近では、徐々にデータ容量を増やしてはいたものの、動画などの閲覧でデータ通信の利用量が多い若年層のユースケースをカバーしきれていなかったのも事実です。
これに対し、23年の春商戦は 「大容量化」が1つの鍵 になっているようです。その先駆けとなったのは、ソフトバンクが11月14日に発表した「スマホデビュープラン+」です。
もともと同社は、「スマホデビュープラン」を展開していましたが、データ容量は3GBと少なめでした。キャンペーンとして5GBに増量されてはいたものの、期間は12カ月間限定。一人暮らしの大学生などで家に固定回線を引いていない場合だと、なかなか厳しい容量だったと言えます。
一方の「スマホデビュープラン+」は、料金体系が「ライト」と「ベーシック」の2つに分かれています。データ容量は前者が4GB、後者が20GBです。ライトに関しては旧スマホデビュープランと大きくは変わりませんが、ベーシックは中容量帯の料金プランに踏み込んでいます。若年層をターゲットにしたahamoも同じ20GB。若年層に中容量帯の引きが強いことを考えると、この容量を設定したのも納得できます。
料金は「スマホデビュープラン+」としての基本料が1078円。ここに、データプランをつける建て付けになっています。4GBライトは1188円、20GBのベーシックは2838円で、合計するとライトが2266円、ベーシックが3560円になります。
ただし、契約から1年間は「1年お得割+」がつくため、料金は1188円引きに。これを考慮すると1年目の料金はライトが1078円、ベーシックが2728円になります。通話無料や国際ローミングの条件は異なりますが、@@em|sl|ベーシックは1年間、ahamoの2970円より割安@になります。
「スマホデビュープラン+」は、ざっくり言えば、初めてスマホを持つことが条件。ケータイからの機種変更やMNPに加え、5歳~22歳の場合は新規契約でも申し込むことが可能。さらに、この年齢のユーザーが契約すると、「20GBデビュー割」が適用され、1年間1650円の割引が受けられます。1年限定ですが、トータルで1078円になるのはかなりお得感があると言えるでしょう。
ただし、2年目からは料金は正価の3560円に上がります。
この点をどう捉えるかにもよりますが、中容量プランとしてはそこまで割高感もありません。申し込み時点で22歳なら、その後も使い続けることは可能。違約金が発生するような縛りもないので、割引が切れた際に、あらためて継続するか、他社/他プランに移るか検討してもいいでしょう。
ドコモは「U15はじめてスマホプラン」を10GBに、ahamoとの住み分けも
ドコモも、若年層向けの料金プランで、大容量化に追随しています。11月28日に発表された「U15はじめてスマホプラン(5GB)」と「U15はじめてスマホプラン(10GB)」がそれです。
もともと、「U15はじめてスマホプラン」は毎月のデータ容量が5GBで、料金は1980円でした。ファミリー割引グループ内の家族への発信は無料でしたが、それ以外は30秒あたり21円の通話料が発生します。完全通話定額の「かけ放題オプション」も1100円で提供されています。
12月1日に改定される「U15はじめてスマホプラン(5GB)」も、そのプラン名どおり、データ容量は5GB。内容は旧「U15はじめてスマホプラン」とほぼ同じで、料金は1980円になります。
165円引きの「U15はじめてスマホISP割」が自動で適用される点も同じ。ISP割という名称が何を指しているのか分かりづらく、イマイチなネーミングですが、これは料金に含まれる「spモード」の料金である330円を割り引く仕組みのこと。実質的な料金は1815円になり、「dカードお支払い割」を適用すると、料金は1628円まで下がります。違いになるのが、12カ月間、毎月500円分のdポイントがもらえる特典です。
もう1つの「U15はじめてスマホプラン(10GB)」は、データ容量が倍の10GBになっています。新設されたのはこちら。ドコモの料金プランには、中容量帯がahamoしかなく、それよりデータ容量を少なくしようとすると一気に「ギガライト」や「(U15)はじめてスマホプラン」まで落とす必要がありましたが、 「U15はじめてスマホプラン(10GB)」は、その中間となる料金プラン と言えるでしょう。料金は2860円。ISP割はこちらも自動適用され、2695円が事実上の料金になります。
ここから、dカードお支払い割を適用すると、料金が187円下がり、2508円になります。音声通話が5分間無料なのも、U15はじめてスマホプラン(5GB)と同じです。
また、12カ月間、毎月もらえるdポイントは、U15はじめてスマホプラン(5GB)より多い1000ポイントになります。同じドコモのahamoは、20GBで2970円ですが、データ容量が少ないぶんだけ安価に使えます。ただし、dポイント特典を除くとその差はわずかとも言えます。 容量を超えてしまうようであれば、ahamoへプラン変更してもいいかも しれません。
ドコモのお得は19歳まで、KDDIの対抗プランにも期待
U15という名称のとおり、ドコモの「U15はじめてスマホプラン」の申し込みは15歳まで可能ですが、注意したいのはこのデータ容量が適用されるのは19歳になる誕生月までということ。
その翌月には、どちらのプランもデータ容量は1GBまで低下 してしまいます。両プランは、1GBもしくは2GBの料金プランに、4GBなり8GBなりのボーナスがついた料金プランという建て付け。19歳になる誕生月の翌月から、このボーナスが消失するため、1GBもしくは2GBプランになってしまうというわけです。先に挙げたソフトバンクのスマホデビュープラン+とは異なり、“年齢制限”が厳しいと言えるでしょう。
データ容量が下がっても料金は変わらないため、そのまま契約していると割高感があります。ストレートに進学したと仮定すると、19歳は大学1年生。一人暮らしで固定回線がないなど、状況によってはデータ容量が足りなくなる可能性も。5GBのユーザーはギガライト、10GBのユーザーはahamoと受け皿自体はあるので、こうした料金プランへの移行を促していく狙いもありそうです。いずれにしても、そのままだと“ギガ不足”は必至。料金プラン変更なりMNPなりは必要になることは覚えておきたいところです。
とは言え、若年層向けの料金プランやキャンペーンはコロコロ……もとい頻繁に改定されるので、今15歳のユーザーが19歳を迎えるころには、中身が変わっている可能性も十分あります。これは、ソフトバンクも同じ。
コンテンツの大容量化に伴い、データトラフィックは年々伸びているため、5GBなり10GBなり20GBなりでは足りなくなってしまうおそれもあります。契約時には、こうした利用スタイルの変化があることも、念頭に置いておくといいでしょう。 あくまで、向こう数年の料金プランと割り切ることが大切 です。
大容量化が進む若年層向け料金プランですが、 KDDIは現状(11月30日時点)、新料金プランやキャンペーンを発表していません 。29日には、春商戦に向けた「auスマホ応援割(U22)」が発表されたものの、これは端末代を1万120円値引くもの。通信料金関連では、「au Netflix応援割」がありますが、これも3カ月限定の割引です。同様の割引はドコモも「ギガホ」や「5Gギガホ」に適用される「ドコモ青春割(U22)」を導入する予定で、若年層向けの中容量プランという意味では、対抗馬がありません。
auの「スマホスタートプラン(S) 5G/4G」にも、10月から2GB増量オプションが加わり、22歳以下は2838円でデータ容量が5GBになりました。
「2GB増量オプション1年無料キャンペーン」と「スマホスタート1年割」に「au PAYカードお支払い割」を組み合わせると、1年間990円で利用できるようになりますが、10GBなり20GBなりの中容量プランはありません。20GBプランを導入したソフトバンクや、10GBプランを開始するドコモにどう対抗するのか、注目しておきたいところです。