本日の一品
名付けて“ロータス・ジュエルズ”、回転する宝石ダイヤル・ウオッチは買い!
2025年9月1日 00:00
女性用腕時計は、細身で極小ケースが主役だった時代から、いまや大径で装飾的なモデルも普通に受け入れられる時代へと移った。ロレックス「カメレオン」に象徴される16mm級のドレスから、28mm前後の定番、さらにG-SHOCKのレディースまで、用途に応じた選択肢は広い。近年は“腕元をアクセサリーとして楽しむ”潮流が加速し、華やかさこそ価値、というパーティ向けモデルも増えている。
本稿ではその極北とも言える、眩しくゴージャスな大型レディスを紹介する。価格は千円札でお釣り、しかし視線の集まり方は桁違いだ。
なんちゃってセレブの系譜に新顔
以前の本コラムで「1200円の“なんちゃってセレブ腕時計”」を取り上げたが、今回の個体はそれに負けないインパクトを備える。購入時価格は921円(原稿確認時は760円に値下げ)。名称は便宜上、筆者が造語した「ロータス・ジュエルズ」と呼ぶ。文字盤に12個の大粒の涙型ストーンが花弁のように並び、まるで蓮が開くかのごとく華やぐからだ。商品自体はAliExpressの長文キーワード名モデル(参考:AliExpress商品ページ)で、固有名はない。
回転する“宝石の花”
最大の魅力は、手首の動きに合わせてストーンを載せた円盤がスムーズに回転する仕掛けにある。傾けるたび、色石がきらめきながら花輪のように回る様は痛快だ。発想は、文字盤上を“ムービングダイヤ”が滑るショパールの「ハッピーダイヤモンド」に通じる。もちろん本機はあくまで庶民派だが、視覚効果だけ切り出せば、場を沸かせる力は十分だ。
余すところなくラインストーン
外周ベゼルもセンターディスクも細かなラインストーンでびっしり。ローズゴールド調ケースに黒エナメルのベルトがよく映え、派手とシックの境目を踏み越えるギリギリのバランスを作る。同型で白エナメル版も見かけるが、やや高価でも雰囲気は捨てがたい。どちらも“衣装”として割り切れば選び甲斐がある。
構造は簡素、だからこその“気まぐれ”
ムーブメントはクォーツ。時刻合わせはリュウズを1段引いて合わせ、押し戻すだけ。取説は簡素ながら、輸送時の電池ストッパーの存在には触れている。筆者の個体はリュウズを強めに押し戻さないと分針が走り出さないことがある。また回転ディスクは中央ピンに“載っている”だけの簡易構造らしく、衝撃や姿勢で止まることがある。とはいえ裏ぶた側からコツンと与える、しばらく置く、といった“機嫌取り”で大抵は復帰する。玩具的ギミックゆえの愛嬌として楽しむのがいい。
ベルトは“大きめ設計”
黒エナメルベルトの穴は7つだが、想定腕周りはおおむね17~21cmと感じる。日本人女性の平均14~16cmには緩いことが多いだろう。筆者の環境でも、ケース寄りに追加穴を1cm以上あけてフィットさせている。幸いエナメルは打ち抜きが容易で、細腕対応は難しくない。見た目に反して日常の取り回しは軽く、夏場のブレスレット的使い方にも向く。
“量”で冗長化できる価格
この派手時計は1本921円。10本まとめても1万円に届かない。回転ギミックの“駆動率”や”稼働率”を上げたいなら、複数本をストックして使い回すという、ブランド時計では絶対にできない冗長化戦略も現実的だ。衣装用・撮影用・貸し出し用と役割分担して複数所有しても惜しくない価格帯である。
野口英世たった一枚以下で手に入る“宝石の花”は、ブランドの模倣ロゴ頼みではなく、ギミックの楽しさで勝負している点が痛快だ。耐久性や精度を語る類ではないが、場を一瞬で華やかに変えるアクセサリーとしての価値は高い。パーティや食事会で「いくらに見える?」と話の種にするも良し、衣装撮影の小道具にするも良し。
千円級だからこそ使い方の想像力が広がる。本稿で呼んだ“ロータス・ジュエルズ”は筆者の造語だが、その名のとおり、腕の上で花開くジュエリー感覚の“なんちゃってセレブ時計”の進化形である。気分が上がる一品、という評価で締めたい。
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