本日の一品

temuで珍しいモノを買った……つもりが思わぬ高値になった理由

 ここ1年ほど、筆者はほぼ毎日のようにtemuやAliExpressのWEBサイトを巡回し、世界中から集まる奇抜で便利な品々を物色している。掘り出し物を探すのはもはや日課で、時には「こんなものまで?」と驚くようなアイテムにも出会う。そんな中、temuで見つけたのが、まるで新鮮なレタスの葉を一枚そのまま立体化したような抗菌お弁当カップ「ベジカップ」だった。

 見た瞬間、弁当の彩りや仕切りに役立つ姿が頭に浮かび、即ポチ。しかしtemuとしてはやや割高な価格設定で、しかも送料無料条件を満たしているはずなのに「この商品だけは別途送料が必要」という謎の表示が出た。やり取りが面倒で、そのまま了承してしまったのが今回の顛末の始まりだった。

temuなのにAmazonから届く不可解な経路

 通常、temuの商品は複数注文した場合でもひとまとめにされ、巨大なビニール袋に小袋が詰め込まれた形で届く。ところが今回、この「ベジカップ」だけが単独で、しかも他の商品より3~4日早く到着した。届いたのはまさかのAmazonの文字入りの見慣れた茶色の紙袋。

 最初は妻がAmazonで注文した品かと思ったが、宛先は筆者。直近でAmazonに注文した記憶はない。狐につままれた気持ちで開封すると、中から現れたのは、temuでポチったはずの「ベジカップ」。

 不思議に思いAmazonを検索してみると、まったく同じ商品が販売されており、プライム会員なら送料無料で税込550円。対して筆者がtemuで支払ったのは本体1055円から得体のしれない74円オフクーポンで割引。そこに送料410円を加えた合計1391円。結果、国内Amazon価格の約2.5倍という“高値掴み”になっていた。

「ベジカップ」そのものの魅力

 製造元は大阪のシンカテック株式会社。食品用抗菌加工が施され、電子レンジも食洗機もOK。耐熱温度は140度、耐冷温度はー20度と幅広い温度環境に対応できる。見た目はリアルなレタスの葉を模した立体成型で、光沢や葉脈まで再現されており、テーブルに置いても一瞬本物と見間違えるほどだ。

 大きさは直径約7.5cm、深さ約3cm。お弁当箱に入れると彩りのグリーンが加わり、トマトや卵焼きなど赤や黄色の食材が映える。実際、ポテトサラダやマカロニサラダを盛り付けてみると、形崩れせず汁気も受け止め、食べ終わった後はそのまま洗って再利用できる。

 外出用弁当の仕切りとしてはもちろん、家庭内ではソースカップや小鉢代わりにも活用可能。BBQやホームパーティーでディップソースを入れるなど、応用範囲は広い。

思い込みが生んだ“輸入品プレミアム”

 筆者はこれまで、temuで販売されている品の多くは日本国内では入手困難だと思い込んでいた。実際、過去にはtemuの人気商品を日本の輸入商社が扱い、適正なマージンを乗せて国内販売していた例も多い。

 しかしtemuが世界的に知名度を高め、日本市場にも積極的にアプローチするようになった今、国内メーカーや販社が直接temuに出品するケースも自然に増えてきた。

 今回の「ベジカップ」はその典型例だ。国内製造・国内在庫の製品が、temu経由で国内発送され、その送料まで余分に支払うという構図。しかもキッチン用品に疎い筆者は、日本のAmazonでも普通に売られているとは夢にも思わなかった。この“思い込み”こそが、今回の高値掴みの最大の要因である。

 今回の出費は千円少々と軽微だったが、衝動買い時の思い込みが判断を大きく狂わせることを改めて痛感した一件だった。今後、temuやAliExpressといった海外ECには、日本メーカーの直接出品がますます増えるだろう。それは選択肢の広がりを意味する一方で、「実は国内で買った方が安い」というケースも増えるはずだ。

 今回のベジカップは、偶然にも国内外ECの流通構造と価格差の現実を体感する教材となった。これからは購入前に国内主要サイトでの価格と在庫を必ずチェックし、「冷静な衝動買い」を心がけるよう、自戒を込めて肝に銘じたい。

製品名発売元価格
抗菌お弁当カップ ベジカップシンカテック550円