本日の一品

蚊の季節に“装着する退治力”を買ってしまったが……

 近年、日本の夏は明らかに“暑さの質”が変わってきた。そして気温の変化とともに、気になるのが「蚊」の存在だ。昔より減った気がするという声もある一方、都市部の公園やイベント会場では、あっという間に刺されてしまうこともしばしば。実際にはどうなのだろうか。

 筆者が過去に紹介した蚊よけ製品「おそとでノーマットV130」(2019年)などもそうだが、日本では毎年のように新機軸の蚊よけグッズが登場する。とりわけ屋外での活動が増える夏には、テクノロジーと実用性を融合した“持ち歩ける蚊取り線香”に注目が集まる。

 では日本は世界的に見て“蚊が多い国”なのか? 実は熱帯・亜熱帯に比べれば少ないが、都市部の水辺や雑木林では依然として無視できない存在であり、家庭用から携帯型まで対策製品の市場は確実に存在する。

 今回ご紹介するのは、フマキラーが販売する「どこでもベープNo.1 未来セット」である。商品名だけでも未来感にあふれているが、パッケージには「世界最高水準」、「5倍効く!」という強気のコピーが踊る。

 構造は単4アルカリ電池2本で駆動するファン付きディフューザーで、専用の薬剤カートリッジを内部に装着して使う。

 この「5倍効く!」の根拠は、フマキラー公式サイトによると、同社旧製品と比べて有効成分の空間拡散性能が約5倍に向上したことによるもの。

 また、“世界最高水準”とは、有効成分「メトフルトリン」の含有量や拡散効率の指標において、グローバル競合製品と比較して高レベルであることを示しているという。

 対応する蚊は「ユスリカ」、「チョウバエ」などで、いわゆるヒトスジシマカやアカイエカなどの吸血蚊を明示していない点が気になるところだ。

 とはいえ、日本の都市部でよく見かけるのがユスリカであり、蚊柱を形成する姿はあまりにも有名だ。吸血はしないが、集まる不快感や繁殖力の強さからしても、ターゲットとしては納得できるだろう。

 使用方法は極めてシンプル。本体のトップカバーを開け、薬剤カートリッジをセット、付属の単4アルカリ電池2本を入れてスイッチをONにするだけ。

 付属のストレッチベルトで腕や足首、ベルトループなどに装着でき、軽量設計で邪魔にならないのも特徴だ。電源を入れるとファンが静かに回り、薬剤を周囲に拡散し続ける仕組みとなっている。

 実はこの構造や用途、さらには薬剤ディスクの形状にいたるまで、筆者が2019年に紹介した「おそとでノーマットV130」と非常によく似ている。ベルトの幅やロック機構など細部は異なるが、製品ジャンルとしては“ほぼ姉妹機”と呼べる存在かもしれない。

 なお、同製品の連続稼働時間は約120時間(1日6時間使用で20日間)とされており、長期イベントやアウトドアにも安心だ。

 今回は真夏の風物詩・隅田川花火大会でのフィールドテストを敢行。例年、100万人近い人が集まるこの環境は蚊にとって絶好の狩場。だが筆者の左腕にはGalaxy Watch Ultraとともに、この「どこでもベープNo.1未来セット」が装着されていた。

 果たしてその効果は? 結果的に蚊に刺された形跡はなく、少なくとも“蚊に嫌われるオーラ”は出ていたのかもしれない。ただし、打ち上げ花火の大音響に蚊が逃げた可能性も否定できない。

 危険な猛暑が続く今夏、蚊の活動期も通常より長引く可能性がある。屋外での活動が多い人にとって、こうした携帯型虫除けのニーズは今後も広がっていくだろう。

 とりわけ“装着するタイプ”は、バッグの奥で忘れ去られがちなスプレー式とは異なり、視認性と実用性を兼ね備えている点でも優れている。

 蚊は二酸化炭素、体温、汗などに反応して人間に寄ってくるとされているが、これを逆手に取って“蚊を呼び寄せる装置”を一時的に設置したうえで、この「どこでもベープNo.1未来セット」を同時に使えば、その真価がよりはっきりと確認できるかもしれない。今後は「蚊を呼んで、蚊を撃退する」ハイブリッド運用のテストも検討してみたい。

商品名発売元実売価格
どこでもベープNo.1 未来セットフマキラー956円